2.背景

TX建設は深刻な常磐線の混雑の緩和が目的であり、「都市交通政策上喫緊の課題」と位置付けられていた。 (昭和60年7月運輸政策審議会) そして困難な土地取得を早急に行うために、区画整理によって鉄道建設用地を確保する方策が示された 「大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法(宅鉄法)」の適用を受けた。 鉄道建設と区画整理を一体で行った結果、現在、TX沿線においては大量の宅地供給が行われる予定である。 つくば市はこの区画整理事業による宅地開発で定着人口10万人を見込んでいる。

つくば市域のTX沿線開発地区

しかし、つくばは東京から約50km離れた場所であり、都心からはかなり遠い街である。都心回帰現象が顕著になる中で、 定着人口10万人達成が危ぶまれている。

「今は都心回帰の流れ。東京から意味もなくつくばに移り住むわけはない」
(常陽新聞 2004年10月15日付)

「TX沿線開発の住宅供給量のすべてをさばくのは厳しい。沿線開発地区ごとに異なるテーマを持たせて、付加価値を生み出さないと、 買う側にとっては単に『距離』と『価格』の比較だけになってしまう」
(茨城新聞 2005年5月26日付)

都心の魅力が再確認されているなかで、あえて郊外の宅地を供給するためには、つくば特有の付加価値創出が必要である。

つくば市は地域の付加価値創出の核として「緑」を位置付けている。つくば市の『緑の回廊構想』によると、大小の公園、そしてそれらを結ぶ 緑道・街路樹、つくばに元々存在する里山、集落の屋敷林、農地などを含め、開発地区面積の約40%を緑で覆う計画である。

そのなかでも、里山は面積的にも自然体の約10%あまりを占めており、大きな魅力として位置付けられている。 里山の魅力を付加した住宅の構想なども示されている。




『宅地一体型民有緑地』計画図