理論仮説

 

会的ジレンマ問題を解決するにあたって、社会的ジレンマに定義される非協力的行動(あるいは、逃避行動)

から協力行動へと行動が変容する過程を記述する行動変容プロセスモデルを提案しなくてはならない。

藤井他(2002)は、迷惑駐輪などの社会的ジレンマに対して

こうしたコミュニケーションを行う方法を行動依頼法と呼び、次の図1のように説明している。

 

 

 

 

 

 

 

 


協力行動誘発プロセスにおける仮説的因果関係

コミュニケーションの影響に関する仮説

1:行動依頼法

 
 

 

 


      徳意識…道徳意識とは行動意図の元になるもので、協力的行動を実行するための

行動意図に必要なのは道徳意識が活性化されることである。

道徳意識が活性化するためには、現状の問題が深刻であると考える必要がある。

この意識が「重要性認知」と呼ばれている。今回の問題においては、迷惑駐輪行為が公共空間に悪影響を及ぼしている、

或いは、迷惑をかけていると認識を持つことで、道徳意識が活性化されるのである。

 

    動意図…行動変容が生じるために不可欠なのは、

当該個人が、行動変容についての意図を形成すること、すなわち、

個人が「放置自転車行為を止めよう」と考えることである。

こうした意図は、行動の目標についての意図であるから行動意図と呼ばれている。

 

    行意図…行動意図が形成されることは行動変容のため

に必要な条件ではあるが、十分な条件ではない。

行動意図によって実行意図が活性化された場合に限り行動変容は生じる。

実行意図とは、ある状況の下ではある行動を実行しようという形の、具体性を伴う意図である。

行動意図は「~をしよう」という抽象的な意図であるのに対し、実行意図は具体的な環境を前提

とした行動実行のための意図である点が相違点である。

以上のような行動依頼法に基づいて、筑波大学構内における迷惑駐輪の社会的ジレンマについて調査を行う。