ここで、道徳意識、行動意図、実行意図が事前と事後で有意に変化しているのかを実験群、制御群で表に示す。

ここでの行動変容の値は、一週間の迷惑駐輪回数の平均をとったものである。

 

1

 

制御群

実験群

 

平均値

t値

平均値

t値

 

事前

事後

事前

事後

道徳意識

3.26

3.16

0.94

2.83

3.05

-1.90

行動意図

3.05

2.81

2.08

2.95

2.98

-0.32

実行意図

2.43

2.45

-0.13

2.24

2.53

-2.03

行動変動

1.66

1.92

-0.59

2.34

1.68

1.72

(アンケート結果より作成)

1より実験群の道徳意識、実行意図、行動変容が協力行動へと有意な変化をみせている。

ただ、制御群の行動意図については、非協力行動へ有意な変化もみられる。

 

行動依頼法では、人が行動変容をするには道徳意識、行動意図、実行意図の一連の変容が必要であることがわかっている。

次に、階層重回帰分析を行い、その変容過程の変化の有意さについて表にまとめる。

ダミー変数は、制御群を0、実験群を1として設定する。

 

2

従属変数

独立変数

パラメータ

t値

 

行動意図

定数

-0.217

-1.742

 

道徳意識

0.281

2.839

*

ダミー

0.197

1.055

 

実行意図

定数

0.106

0.902

 

行動意図

0.346

4.275

*

道徳意識

0.086

0.908

 

ダミー

0.179

1.052

 

行動変容

定数

0.370

0.901

 

実行意図

-0.249

-0.820

 

行動意図

0.613

2.048

**

道徳意識

-0.419

-1.263

 

ダミー

-0.892

-1.437

***

*:1%有意  **:5%有意  ***10%有意傾向

                    (アンケート結果より作成)

 

行動依頼法で示されている通り、道徳意識が行動意図に、また行動意図が実行意図に1%有意の極めて強い働きがあることがわかる。

ただ、行動変容に対しては実行意図の有意な働きが示されていない。また、ダミー変数は行動変容にしか働いておらず、実験群と制御群で有意な変化が確認できるのは行動変容の部分だけであることがわかる。