対応策
上記より「つくばちびっ子博士」は周辺市町村の子供達の
体験型科学学習の機会として、
意義のあるものであり、
夏休みのイベントとして周辺市町村に広げていく可能性は十分にあると考えた。
しかしその一方で拡大したことによって来訪者数の増加
(来訪者予測の調査により)により、
受け入れ先の研究所や交通アクセスなどの様々な問題が生じてくる。
ここからはその問題点について述べていく。
図9-1はちびっ子博士の3つの構成要素(つくば市教育委員会
・筑波研究学園都市交流協議会、小中学生、各研究所)を示している。
3つの構成要素がどのような役割を担っているかを示した組織図が図2である。
この図2から、「つくばちびっ子博士」の現在の状況と対象地域を
土浦市へ広げたときの状況を比べたときに、
どのような変化が起こるかをみていく。
また、その変化の中から問題点を抽出していく。
土浦市の小中学生が参加者に加わることで挙げられる変化は、
一つ目に主催者の小中学生への広報という点、
二つ目に小中学生が研究機関・大学へ行くためのアクセス方法という点、
三つ目に小中学生を受け入れる機関の人的負担という点である。

図9-1:

図9-2
◇広報◇
−つくば市を対象地域とするとき−
つくば市教育委員会へのヒアリング調査より、
パスポートの配布方法は教育委員会が市内にある全小中学校に対して、
各学校の全校生徒数の半数分のパスポートを配布し、
教師が希望者に配布する形をとっている。
各学校で余ったパスポートは教育委員会が集め、
市内のインフォメーションセンターや関東鉄道バス車内に設置される。
これにより市内のちびっ子博士参加希望者には、
もれなくパスポートが配布される。
−土浦市へ対象地域を拡大するとき−
ちびっ子博士によって土浦市の子供たちが
「体験型科学学習」を選択できるようになるという利点がある。
パスポート配布方法をつくば市と同様にすると、
具体的な増加数は図1より、土浦市の小中学生約12,000人の半数である
6,000部程になる。
また、土浦市教育委員会へのヒアリング調査より、
土浦市がつくば市と予算面で協力する可能性はあるという意見が得られた。
パスポート増加分の費用は土浦市教育委員会が負担することになり、
つくば市の予算負担を増加させることなく近隣市町村への対象地域の拡大が
可能になり、需要の拡大が予想される。

図9-3:つくば市・土浦市の年齢別人口比較
−周辺市町村へ拡大するとき−
将来予測のデータを元にしたとき、周辺地域からちびっ子博士の延べ来場者数は
42,047人となる。よってパスポート配布数は44,000部程になり、
土浦市を対象地域としたときと同様に各市町村の教育委員会と
連携する必要性がでてくるだろう。
また、つくば市も含め市町村数が19にも及ぶので、
ちびっ子博士のパスポート配布のために教育委員会を統括する機関が
必要になると思われる。
◇アクセス手段◇
−つくば市を対象地域とするとき−
図9-4は、つくば市・土浦市の小中学生に対して、
ちびっ子博士に参加する場合のアクセス手段についての
アンケートを行った結果である。バス交通の整備が必要であると予想されたが、
自転車・自家用車の回答数が多かった。
また、バスへの需要は小さく、現状での早急な交通手段の改善の必要性はみられない。
−土浦市へ対象地域を拡大するとき−
図9-4から、土浦市からのちびっ子博士に訪れるためのアクセス手段は、
つくば市と同様に自動車に依存していることが分かる。
両市とも「家族と一緒に車で行く」という声が多く得られた。
よって土浦市への対象地域拡大の際には、交通手段の改善の必要性はないと考える。

図9-4:つくば市民・土浦市民のちびっ子博士へのアクセス手段
しかし、土浦市以外の近隣地域へ拡大し、大幅な需要の増大が生じれば、
各研究施設における駐車場の確保、
バス路線などの第二の交通網の整備をしなければならないだろう。
そうしたときに、体験型イベントの一つである科学技術週間を例に挙げてみる。
まず、駐車場不足が懸念されることについては、
平成16年度の科学技術週間(4/18〜4/24)において、
つくば市内の公的研究施設への来訪者は37,157人である。
1日あたり約5,000人という数でありながら、
駐車場不足が言われ始めたのはつい最近のことである。
一方、ちびっ子博士においては、同年度のパスポート配布数が14,424部であり、
開催期間が科学技術週間より長期であることを踏まえ、駐車場不足はないと考える。
次に、バス路線の整備であるが、筑波研究学園都市交流協議会への
ヒアリング調査より、科学技術週間における無料循環バスは、
民間のバスを借りて運行し、バス運行の予算は55万円であり、
常に予算を上回る支出があることがわかっている。
さらに、科学技術週間はその歴史が長く、参加研究所も多いため連携しやすいが、
ちびっ子博士においては、無料バス運行のような連携は
まだまだ難しいと回答している。
これらを受け、現状でのバスの整備の可能性は低いと考える。
−周辺市町村へ拡大するとき−
将来予測データを元に、つくば市を含めた周辺市町村から
ちびっ子博士の延べ来場者数は56,471人となる。
単純に小中学生の夏期休日期間(40日)で割ったときに、
一日の来場者数は1,411人になり、上記のように駐車場問題はないと考える。
しかし、土日などはそれより来場者数が多いと考えられるので一概にないとは言えない。
駐車場問題は来場者数のほとんどが自動車でアクセスする
という前提をもとに仮定したが、周辺市町村に対しては
アクセス手段のアンケートを行っていないため、
バス交通の増加も視野に入れなければならない。
筑波研究学園都市交流協議会へのヒアリング調査より、
無料循環バスの可能性は低いという結果を出したが、
56,471人という将来予測数があることは、
つくばセンターをハブとした無料循環バスを提案する理由に十分なり得る。
◇人的負担◇
−つくば市を対象地域とするとき−
昨年のちびっ子博士参加研究所へのアンケート調査より、
現状でボランティアの導入をしている施設はなかった。
また、筑波研究学園都市交流協議会へのヒアリング調査より、
各研究所では研究員が自ら研究成果を伝えたいと考えているため、
研究所単位でボランティアを募集する可能性は少ないこと、
研修費や研究所外部の人間を雇うリスクがボランティアを導入する上での問題点
であることが分かった。
−周辺市町村へ対象地域を拡大するとき−
昨年のちびっ子博士参加研究所へのアンケート調査から、
需要が増大した場合、研究所の人員では対処できなくなる状況が想定できる。
さらに、半数の研究所では今後の状況によってボランティアの導入
を考えると回答している。
よって私たちはちびっこ博士の誘導・説明の補佐役として
「大学生によるボランティア参加」を提案する。
筑波大生に対してボランティア参加についてのアンケートを行った結果、
図9-5より半数以上の学生が参加の意思を示している。
また、ボランティア参加を大学の授業の単位として扱うことのできる
「単位認定制度」を導入した場合では75%もの学生が参加する意思を示している。

図9-5:筑波大生のつくばちびっ子博士ボランティアへの参加意思
さらに、筑波大学広報課へのヒアリング調査より、
すでに180人の履修登録があり、単位認定がなされている「東西インカレ」を例に挙げ、
ちびっ子博士へのボランティア参加による単位認定制度導入の可能性を質問したところ
可能性はあるという回答が得られた。
また、ちびっ子博士において研究所へ大学生のボランティアを派遣する際に、
教職免許取得希望の学生に対し、
教職授業として大学ボランティアの単位認定を提案する。
このことより、教職免許取得希望者に実際に子供と触れ合う機会を与え、
教育実習などの実務経験の前に子供に教えるということを体験させる。
また教職免許取得希望の学生は、
様々な学類・学群に渡っており、
学生の専攻分野の研究所に派遣させることによって
その学生のインターン的役割も
この科目(ちびっ子博士ボランティア)によって果たすことになる。
さらには、展望としては教育委員会、研究所、学生での共同企画によって
ちびっ子博士の内容面での更なる充実が計れるかもしれない。
このように、大学生ボランティアによって
周辺地域にちびっ子博士の対象地域を拡大させた際に生じる研究所の負担を緩和することが可能であると考える。

図9-6:学生ボランティアイメージ図
◇調査方法◇
1.市民街頭調査(プレアンケート)
・目的:市民の研究施設に対する意識の調査(予備調査)
・期日:5月11日(水)
・実地場所:つくばセンター周辺
・標本数:49(うち31名はつくば市民)
・質問内容(ヒアリング形式):
居住地、大学施設の利用の有無、研究所のイメージ
2.研究施設へのヒアリング調査
・目的:研究施設の一般公開に対する考えの現状把握(予備調査)
・期日:5月13日(金)
・対象機関:
筑波宇宙センター(JAXA)、高エネルギー加速器研究機構国立環境研究所、筑波大学広報部
・なぜ上記3機関なのか:
HPやパンフレットの充実度、年間イベントの量などから地域に開けている
(人々が利用しやすい施設)と思われる3つの研究所に絞った
・質問内容:
一般公開の目的は、どのような層の来訪を期待するか、一般公開の懸念事項 等
3.つくばサイエンスツアーオフィスへのヒアリング調査
・目的:研究施設の一般公開の実態をより知るため
・期日:5月6日(金)
・場所:つくばセンタービル:インフォメーションセンター内つくばサイエンスツアーオフィス
・質問内容:つくばサイエンスツアーの目的
・研究施設の一般公開について
4.つくばセンターから研究施設へのアクセス調査
・調査内容:各研究施設へのバス路線の調査(本数、所要時間)
5.市民と研究施設間の情報伝達手段に関する調査
・調査内容:各研究施設のホームページ分析
・公民館・インフォメーションセンターでの広報手段(チラシやポスター)の調査
・調査対象:つくば市内公的(国立・独立行政法人)研究機関全て
6.つくば市教育委員会へのヒアリング調査
・目的:つくば市内における体験型科学学習の現状把握
・期日:6月3日(金)
・内容:出前レクチャーの頻度、内容・ちびっ子博士の実態
7.土浦市教育委員会へのヒアリング調査
・目的:土浦市におけるちびっ子博士の現状調査等
・期日:6月14日(火)
・質問内容:土浦市からのちびっ子博士参加人数、アクセス手段
8.小中学生へのアンケート調査
・目的:ちびっ子博士の現状把握
・期日:6月11日(土)、13日(月)
・実施場所:松代小学校・公文式
・標本数:119
・内容:ちびっ子博士を知っているか、行ってみたいか
9.筑波研究学園都市交流協議会へのヒアリング調査
・目的:筑波研究学園都市交流協議会の実態把握
・期日:6月3日(金)
・内容:ちびっ子博士への対応状況・研究所との連携状況
10.ちびっ子博士参加研究所へのアンケート調査
・目的:ちびっ子博士に対する各研究所の現状把握
・期日:6月10日(金)
・標本数:8
・内容:ちびっ子博士における来場者数・ボランティア導入状況
11.筑波大生へのアンケート調査
・目的:筑波大生のちびっ子博士に対する現状把握
・期日:6月10日(金)
・実施場所:筑波大学内
・標本数:107
・内容:ちびっ子博士の認知度、ボランティアへの参加意思
12.筑波大学広報課へのヒアリング調査
・目的:ちびっ子博士に対する今後の大学の取り組み方把握
・期日:6月9日(木)
・内容:公開内容の改善・地域との連携