4.調査・分析



最初に基本的な知識を得るため、次の2つの調査を行った。

@文献調査
 主として序論と背景で述べた硝酸性窒素の基礎知識について調査した。また、それ以外にも、水をキーワードに様々な調査を行った。世界水フォーラムについて、中水利用、地形と水質の関係、上水道・下水道の敷設方法・利用に至る経緯、海外における飲み水確保の事例など、幅広い分野に及ぶ調査を行った。

A各関係機関へのヒアリング調査
 水利用に関係すると思われる機関へとヒアリング調査を行った。

<つくば市水道部・環境課>

現在のつくば市の上水道敷設状況、行政側の地下水汚染状況の把握、汚染対策について。

<保健所、江東微生物研究所>

地下水の地域別汚染状況について。

<茨城県環境課・生活衛生課>

神栖町で検出されたヒ素の問題、つくば市の水質データについて。

ヒアリングから、現在のつくば市全体の上水道普及率は63.8%、井戸水使用率36.2%であることが判明した。また、地域別で調査すると、学園都市内の桜地区は93.4%であるのに対し、谷田部地区は60.3%、豊里地区は11.9%、大穂地区は31.6%、筑波地区(旧筑波町)は59.1%、茎崎地区(旧茎崎町)は67.8%であった。未整備地区に今後の敷設計画はあるものの、実際の敷設工事に遅れがあり、その敷設工事の優先順位は個人情報にかかわるものであるため、教えていただくことはできなかった。(つくば市水道部による)

また、井戸水に水質汚染の不安を持っている住民が保健所に水質検査を依頼し、その結果高濃度の硝酸性窒素が検出されても、行政側は個々に対して特別な対応をしておらず、また地域の汚染に対しても、他県のような市全体で汚染経路や汚染原因特定のための調査や農家の施肥方法に関する対策は講じていないとのことだった。

保健所、江東微生物研究所では個別に水質調査を受け付けており、過去に各地から寄せられた調査依頼とその結果から、大体どこの地域において高濃度の硝酸性窒素が検出されているかの情報が得られた。主に、つくば市西部の農村集落である。

私達は調査の手順として、井戸水を利用しているつくば市西部で具体的にどの地域が硝酸性窒素によって地下水が汚染されているのかを詳しく知るために、つくば市保健所と江東微生物研究所でのヒアリング調査から得られた地域とその近隣を広範囲にわたって調査した。