各地域の地域性を考慮した対策案



私達は、ここまでに4つの対策案を提案してきたが、ここからは上郷地区・小白硲地区の地域性を検証し、どの提案が有効に働くのかを考えた。私達が挙げている提案を各地域の地域特性に照らし合わせ、対策案評価表を作成した。安全性に関する指標は次の通りである。

◎:

ここ数年で保健所、もしくはそれに準ずる公的機関で水質検査が行われており、安全性を保証されたもの

○:

水質基準はクリアしているが、基準値未満の硝酸性窒素が検出されている場合

×:

硝酸性窒素が含まれており、飲用に適さないもの

住民意識、つまり住民の(提案に対する)抵抗度合いは、アンケートから判断した飲み水確保コスト・飲み水の味についての好みを元に評価した。しかし、これには少々問題がある。これらの提案にかかるコストは、アンケート後に計算した。よって、アンケートから得られた住民意識は、コストを考慮に入れていないのである。アンケート実施以前にコストの計算まで終了し、住民にコストまで知らせた上でアンケートを実施すれば、違った結果だったかもしれない。

“上郷地区”

アンケートから判明した事だが、上郷住民は水に対する意識が他の地域に比べて高い事が伺えた。しかし、まだまだ不十分であろう。実際に飲み水は栃木県・尚仁沢まで汲みに行っている家庭もあれば、自主的に井戸水を消毒している家庭も存在した。

初期投資 月コスト 安全性 住民意識
上水道 30〜40万 1200
深井戸 100万 0
ミネラルウォーター 0 17700
紫賓水   4300
金命水   5100
銀命水   3800
尚仁沢   13300
水の共有 0 0
超簡易水道 100万前後 330
浅井戸 40〜50万 0 × ×


また、上郷地区には深井戸の多さも目立った。これらの深井戸は水質サンプリング結果からも分かるように水質基準には問題が無かった。しかし、ヒアリング調査によると、色度や臭度に関して、少し問題があるようだ。井戸水を飲用に適していないと判断している家庭も多い。上郷地区の井戸水は深井戸だからといって、飲み水に適しているわけではないのだ。

これらのものを地域性として考慮し、初期投資・月あたりのコスト・飲み水の安全性・住民意識を加味すると、上郷では『ミネラルウォーターを買ってくる』・『湧水を汲みに行く』という方法での飲み水の確保が最も適しているのではないか、という結果になった。


“小白硲地区”
初期投資 月コスト 安全性 住民意識
上水道 30〜40万  
深井戸 100万 0
ミネラルウォーター 0 15450
紫賓水   3800
金命水   4500
銀命水   3300
尚仁沢   11600
水の共有 0 0
超簡易水道 100万前後 1100
浅井戸 40〜50万 0 × ×


第2回水質サンプリング結果により、サンプル数の約半数の家庭の井戸から基準値を大幅に超える硝酸性窒素が検出された。ヒアリング調査から、この地区では3ヶ所の深井戸しか無かった。しかし、これら3ヶ所の深井戸では硝酸性窒素は全く検出されていない。また、色度、臭度にも問題が無かった。その上、小白硲地区では水の共有が実際に行われており、さらにミネラルウォーターを飲み水として購入している家庭もいくらかあった。

小白硲地区では浅井戸の水は完全に汚染されている。水の共有を昔から行っていることや、深井戸が安全であるという地域性を考慮した結果、『井戸水を共有する』案と『超簡易水道』が適しているといえる。