4.実態調査の実施・分析と既存調査の収集・分析


4-5既存調査の収集・分析A



現在の学園都市のオープンスペースには、公園、割り当て花壇などの団地内の緑地、遊休地がある。これらの場所において、住民の新たなニーズに応えていく受け皿となることが可能かどうかを都市計画制度面と、現在の土地利用の状況の両面の既存調査から検討した。



a.公園について

公園には、都市公園法、つくば市都市公園条例(資料1)によって公園内で可能な行為や、公園内に設けられる施設が制限されている。「泥遊び・木登り」、「昆虫採集」についてはこのような行為を公園内ですることを禁止している規定はない。しかし、「植物採集」については、つくば市都市公園条例によって、公園内の植物を採取すること禁止しているためすることができない。また「野菜作り」については、公園内で特にそれを禁止するような制度はない。都市公園を農業公園として整備している事例として、練馬区の土支田農業公園がある。しかし、学園都市内の現状を考えると公園を農業公園として作り変えることよりも、地区内の遊休地や農地を効果的に利用していくべきである。


資料1 つくば市都市公園条例より

第4条 都市公園においては,次に掲げる行為をしてはならない。ただし,法第5条第2項,法第6条第1項若しくは第3項又は第2条第1項若しくは第3項の許可に係るものについては,この限りでない。

(1) 都市公園を損傷し,又は汚損すること。

(2) 竹木を伐採し,又は植物を採取すること。

(3) 鳥獣,魚介類を捕獲し,又は殺傷すること。

(4) 土地の形質を変更すること。

(5) はり紙若しくははり札をし,又は広告を表示すること。

(6) 立入禁止区域に立ち入ること。

(7) 指定された場所以外の場所へ車両を乗り入れ,又は留め置くこと。

(8) 都市公園をその用途以外に使用すること。

(9) 前各号に掲げるもののほか,都市公園の管理に支障のある行為をすること。

(平9条例20・一部改正)




b.団地内の緑地について

公務員官舎の敷地内にある住民のための花壇では、そこを家庭菜園として利用している住民は少なくはない。また、そこで「植物採集」することも可能である。しかし、団地内で「泥遊び・木登り」をするなど子供が自由に遊んだり、「昆虫採集」をしたりするのに適した場所であるとはいえない。





c.遊休地について

 学園都市内の遊休地の所有形態としては、公有(国、茨城県、つくば市)、公団所有、民間所有の3つがある。これらの遊休地については、その土地を住民の新たなニーズに応える場とすることを制限するような規則はない。それゆえ、遊休地においてはどの目的での利用も可能であるといえる。「野菜作り」も市民農園として整備を行っていけば可能となる。しかし、遊休地利用を考える場合、その利用が本来の利用が発生するまでの一時的なものであることに注意する必要がある。それゆえ、子供の遊び場として整備することを考えたとき、期間等の問題から子供が木登りをするような空間を新たに作ることは困難である。





d.農地について

地区内にある農地は市民農園として市民に利用してもらうことにより、「野菜作り」をすることが可能である。その敷地内において子供たちが泥遊びをすることは可能であろう。また、昆虫採集や植物採集についても可能である。木登りについては、地区内の農地は田んぼか畑であるために、現在木の生えている場所はない。そこに木を植えることは可能であるが、子供の木登りのためだけにというのはあまり現実的とはいえない。





以上、a.〜d.をまとめると、表5
のようになる。

表5 オープンスペースと利用方法の関係