1.自転車のメリット


公平性
自動車 免許保有率 64%(茨城県)
自転車 自転車を利用できる人の割合(*) 87%(大穂地区)
*7歳から75歳の人が自転車を利用できると仮定。(7歳から75歳までの人口/総人口)によって算出。

自転車は自動車に比べてより幅広い年齢層で利用できる。よって公平性の面で、自転車は優位な交通手段と言える。


環境面
エネルギー消費原単位(1人を1km運ぶのに必要なエネルギー)
自動車 659.1(kcal/人km)
バス 182.4(kcal/人 km)
自転車 0(kcal/人km)    
       参考:「自動車交通研究 環境と政策 2001」 日本交通政策研究会

 バスは自動車の3分の1以下のエネルギー消費で済む。
自転車とバスを合わせて利用した場合、自動車よりも環境面で優位と言える。




2.アクセス交通(自宅→のりのりバスのバス停)における自転車利用


自宅からバス停までの交通手段に自転車を使うことにより、バスの利用を促進させることが目的である。

現在、のりのりバスのバス停には駐輪場がない。 バス停を含め、その周辺を自転車利用に適した環境に整備し、バス停までの移動を自転車で行えば、 バスがより使いやすくなるのではないかと考えた。

まず、現状においてその必要性があるのか、また、効果が見込めるのかを知るため、現状把握を行った。   現在のバス路線の特徴と、それがどれだけの集落を回っているかを把握するために、 地図上でバス停と住宅の位置関係を見た(付録)。手順は以下の通りである。

@のりのりバスの路線、関鉄バスの路線を地図に記入。

Aバス停をプロットする。

B300m以内の範囲を徒歩5分圏内と定め、地図上でバス停から道路をたどって 圏内に位置する住宅を赤の点で表す。また、それ以外の住宅は青の点で表す。


作成した地図を見て分かったことは、のりのりバスはほとんどの集落を巡回しており、 徒歩5分以内でバス停へ行ける家が多いということ。それ以外の集落でも多くは関鉄バスの路線にカバーされている。 現在ののりのりバスの路線は個々の集落を結び、住宅から近い位置にバス停を設置しているので、 多くの人が自宅からバス停へ歩いて行くことを可能にしている。

以上のことから、現状においては、バス停までのアクセス交通手段は徒歩で十分である。  しかし、将来的に先ほど提案した効率性重視路線を採用した場合、 住宅からバス停までの距離が長くなることが予想される。 そこで、徒歩に代わるバス停までの交通手段に自転車の利用が有効であると考えた。 その可能性を探るべく、以下のようなことを調査した。

■ 大穂地区におけるのりのりバスの全バス停の様子(立地場所・駐輪場スペースの有無)

■ バス停付近の道路状況


調査の結果は次のとおりである。

■ 大穂地区におけるのりのりバスの全バス停の様子

ほとんどのバス停は狭い路側帯に設置されている。 路側帯の幅は狭く、駐輪場を確保できるスペースが無い。 畑、住宅の付近に立地していることが多い(写真1・写真2)。


写真1、写真2   

だが、一部のバス停は集会所等の公共施設に設置されていた。 このようなバス停にはベンチや雨よけがあり、 また、自転車を駐輪できるようなスペースもあった(写真3・写真4)。


写真3、写真4   

また、路肩に設置されていてバスを待つ利用者にとって危険なバス停、 周りの木々に隠れてしまい発見しにくいバス停も多数存在した。 バス停周辺に電灯がなく、 日が落ちるとバス停がどこにあるのか認識しづらいものも多い(写真5・写真6)。

写真5、写真6

以上から、現在のバス停に駐輪場を設置するスペースを確保することは難しい。 また、危険であったり認識しづらかったりするものも多い。 現在のバス停の環境はアクセスにおける自転車利用には適していないと言える。


■ バス停付近の道路状況

のりのりバスは公平性を保つため、全ての集落を回っている。 そのため、細い道路を通らざるを得ない。 そのため、多くの道路は歩道の整備がされておらず自転車が通るには危険であると考えられる。 道路幅が細い上に交通量も多く、 すれ違う自動車が路側帯にまで及ぶ光景も見受けられた(写真7)。 現在の道路状況は自転車利用に適していない。

写真7

● アクセス交通のまとめ

現在の公平性を重視した路線では自宅から徒歩圏内にバス停が立地しているため、 バス停までのアクセスに自転車の導入をしなくてもよいと言える。

一方で、効率性重視の路線が実現されて自転車を利用することを考えると、 駐輪場を設置できるバス停づくりや周辺の道路整備が必要となる。 その実現のためには、地域の公共施設・商店等が協力して敷地の一部を駐輪スペースとして提供するなど、 まちが一体となった取り組みが求められる。





3.イグレス交通(バス降車後)における自転車利用


地区ターミナルにおいてレンタサイクルを行うことにより、 バス降車後の移動が容易となりバスを利用しやすくなると考えた。

レンタサイクルとは、駅や交通ターミナル等で自転車の貸し出しを行うものである。 それにより、多数の利用者が効率的に自転車を利用できるようになる。 大穂地区の地区ターミナルである大穂庁舎付近において、 自転車を利用できる環境が整っているのかを知るために次のような調査を行った。


■ レンタルサイクルを行うための調査方法

・大穂庁舎敷地内の空きスペース、駐輪施設
・現在ののりのり自転車の問題点
・のりのり自転車台数・放置自転車台数


■ 自転車を利用できる環境かどうかの調査方法

・各施設の駐輪場の有無
・各施設付近の道路状況
・歩道から各施設への歩行者・自転車用入口


自転車環境調査対象地区

なお、大穂庁舎とその付近の商業施設13軒、郵便局、常陽銀行の計16の施設を対象とした。 上図が調査対象地区を表している。調査の結果は次のとおりである。

■ レンタルサイクルを行うための調査結果

現在大穂庁舎に駐輪場は全くない。一方で駐車場は98台分確保されている。 また、写真8から分かるように空きスペースはある。


写真8

現在ののりのり自転車台数は約160台である。また、市によると、 つくばセンター地区における撤去自転車台数は平成14年度で518台、 うち289台が引き取り手なしであるということだ。

■ 自転車を利用できる環境かどうかの調査結果

16施設のうち、駐輪場が設置されていたのは6軒、残り10軒は設置されていなかった。 一方、どの施設においても駐車場は十分確保されていた。 たとえ駐輪場が設置されていたとしても、目立たず分かりにくいものが多かった。

多くの施設が面している大通りでは歩道の整備がされており、 自転車の通行も認められている

しかし、写真9のように商業施設の入口に面しているにも関わらず、 歩道が設置されておらず、危険と思われる箇所もある。


写真9

歩道から各施設への入口は、基本的に自動車と同じとなっている。 自動車用入口と別に設置されている施設もあるが、 分かりづらかったり危険であったりする。


駐車場は整備されているにも関わらず駐輪場が整備されておらず、 施設への入口が自動車優先に考えられている。 これは、現在、この地区が自動車中心社会となっていることの証である。 これらを改善していくことで、良好な自転車利用環境の整備のみならず 自動車優先意識や自動車依存が軽減することにつながると考えられる。 以下に3つの具体的改善策を示す。


写真10

第一に、駐輪場に関するものである。写真10の商業施設には駐輪場が設置されていない。 自転車で来店した客は、駐車スペースの隅に駐輪している。 自動車1台分のスペースを駐輪場に換えるだけで自転車8台分の駐輪スペースが確保できる。

第二に、施設に面する道路に関するものである。 写真9の道路は商業施設の入口に面しているにも関わらず、 歩道が設置されていない。このような場所にはブロックを置くなどして歩行者・自転車の安全を確保する必要がある。

第三に、歩道から各施設への入口に関するものである。 写真11の商業施設には店舗入口前に駐輪場が設置されているが、 その駐輪場に行くためには駐車場への入口を通らなければならず、とても危険である。 そこで、写真12中で丸く囲むことによって示したブロック石を取り除き、 自転車が歩道から直接駐輪場へ向かうことができるようにする。


写真11、写真12


● イグレス交通のまとめ

調査を踏まえて、バス降車後のイグレス交通における自転車利用について以下のような提案を行う。

レンタサイクル

レンタル場所:大穂庁舎
車両:放置自転車289台とのりのり自転車約160台を有効利用
管理方法:管理人の設置、カードの作成によりいつ誰が借りたかを管理する


自転車利用環境

  • 施設の入口付近に駐輪場を設置する。また利用者の認知度を高めるため、表示の統一を行う。

  • 施設に面する道路での歩道設置により、自転車利用者の安全を確保する。

  • 歩道から駐輪場へ安全かつスムーズに誘導する。誘導施設の設置だけではなく、
    分かりやすい表示を行うことでよりスムーズにする。

  • 自転車による移動をスムーズに行えるような地区ターミナル周辺全体の環境整備を行う。
    個々の整備だけでなく、全体が整備されることによって初めて自転車での移動の安全性が確保され、また利便性も向上する。


  • このような提案の実現により、バス降車後の移動が容易になりバスの利用促進につながると考えられる。