4.まとめと考察
4.1.ヒアリング調査において
4.1.1.心身障害の専門家へのヒアリング
さまざまなバリアフリー施設というものがあるが、サービスの提供主体の違いによって利用方法も異なるので、障害者のために設置したもの一つ一つは非常に優れていても、動線や移動というつながりを考えると、逆にバリアとなることがある。そして、バリアフリーとはいっても、工学的な考え方(町並み、施設との利用者の対応)、内面的な考え方(障害者のニーズ)などと多面的なものがある。
施設を提供するだけでは役に立たず、その情報をしっかり利用者に伝えなければならない。現につくばセンタービルはバリアフリー度の総合評価がもっとも高いにもかかわらず、障害者の利用は決して高くない。また、日本はハード面(施設や道具)に意識が行き過ぎるが、ヨーロッパなどではソフト面(障害者との接し方)について教育がなされている。
バリアフリー設備というハード面はもちろん、人の心というソフト面もユニバーサルデザインを構成する要素である。例え途切れなく点字ブロックが敷かれていても、その上に自転車などの障害物が置かれていてはその意味がなくなる。つくばセンター地区全利用者のモラルが問われていると言える。
4.1.2.都市交通センターへのヒアリング
老朽化という問題は至るところにあり、つくばセンターの構造上、仕方の無いことだという。つくばセンターは土台が土を盛っただけのものなので、沈下や隆起という問題が出てきてしまう。特にアーチの橋の両端はその最たる部分である。しかし、それでなくとも橋がアーチ状になっていると傾斜がきつくなり、下肢障害者(車椅子使用者)にはとても不便であり、このことは設計段階からの欠陥であるといえる。
4.1.3.模擬体験
車椅子では、スロープ・傾斜において点字ブロックが敷設してあると走行しにくく。また、段差の有無や傾斜の勾配も大きなバリアになる。
そして、松葉杖では車椅子を使った場合と同様に、スロープや段差等において歩行が困難であった。また、車椅子の場合と同じ問題点として、距離の長さがあがった。ルートが長い場合歩行に時間がかかり、身体に苦痛が発生してしまった。
このように模擬体験を通してバリアを実感するとともに、実態調査のために作成した評価基準の妥当性を確認することができた。
4.1.4.バリアフリー実態調査
1階の歩道部分よりも2階のペデストリアン部分のほうが、ユニバーサルデザインの評価が高かった。これは「歩行者がつくばセンター地区を移動する際は、ペデストリアン上を通行させよう」という計画者の意図の結果であると考えられる。
また、ペデストリアン部分でも特にセンター広場の評価は高かった。センター広場はつくば市が管理する施設があるため、同じつくば市が管理するペデストリアンからそういった施設への動線は評価が高くなったと考えられる。
反対にペデストリアンとつくば市以外の施設を結ぶ動線はバリアフリーが整備されていない。これはペデストリアンの建設とそれらの施設の建設に時間差があった結果であるとも考えられるが、施設の建設に合わせペデストリアン上のバリアフリー設備が拡張されていないということから、ペデストリアンの管理者であるつくば市とつくば市以外の施設が一体となった街づくりが行われていないことがわかる。そして、このことにより通行上重要である分岐点でのバリアフリー整備が不十分になっている。
ペデストリアン上の1/12以上の急な傾斜は1階部分から2階部分へのスロープによる接続部分上に多く存在し、「移動のしやすさ」項目の評価を低くした。
1階と2階を結ぶスロープの距離が短いため、傾斜が急になっていると考えられる。スロープの傾斜を緩やかにするには距離を延ばす方法があるが、距離もバリアになる可能性がある。スロープの途中に十分なスペースの踊り場など、休憩できるようなスペースを確保する必要がある。
実態調査の結果より、つくばセンターの施設の老朽化がバリアフリーに与える影響は大きい。施設の老朽化が新たなバリアとなっている点が現在のつくばセンター特有の問題であると考えられる。
これらの問題に関しては、改善を行う際に大規模な工事が必要になるものと考えられる。そのため、解決は難しい。
4.1.5.先進事例調査
さいたま新都心もつくばセンター地区も1階部分は車、2階部分は歩行者というように”歩車分離”がなされている。歩車分離の場合、歩行者は車に注意をしなくて済む。特に視覚障害者にとって、車に注意しなくても良いということは心理的負担の軽減につながり、バリアフリーという面ではとても良いと考えられる。
また、つくばセンターにおいては、ちょっとした改修によって点字ブロックの途切れや段差など現在あるバリアを取り除くことが可能であると考えられた。

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