文献調査 |
調査するにあたって、つくば市の街の成り立ちや交通などの特徴を知っておくことが必要であろうと考え、文献を調査することにした。 「つくばのバス交通を考える」(つくば都市交通センター発行)より、つくば市の交通環境の特徴を知ることが出来た。 つくばは、マイカー依存型の完全な自動車社会である。この街は日本のニュータウンの中でも異例で、非常にスローテンポで建設されてきた街であり、人口の伸び率も他の事例の大体2分の1以下となっている。このゆっくりした姿というものは、混乱を起こさないように、適度にコントロールしながら進めていく時間的な余裕を与えてくれた、という点でプラスに作用した面があるが、交通に関しては、それが決定的な自動車依存型交通環境をつくるという方向に作用している。例えば、三千人しかいない所にバスが多く走るわけがない。すると、個人個人が自力で何とかしようとする。つまり、自家用車に頼るというわけである。次にその三千人が五千人になっても基本的には状況は変わらず、来る人来る人が自家用車族に追いやられていく。そういうものが積み重なって現在があるわけです。このように自動車社会であるために、バス利用者は多くないのである。老人、身障者、子供等、交通弱者への対応を考慮しなければならない。 自家用車依存型であるということから、つくばは分散型の都市を形成している。鉄道やバスなどの公共交通機関に依存する社会では、駅、停留所の周辺にいろいろなものが集中的に立地する。経営的に有利であり、利用者も便利であるから固まりを作る傾向がある。しかし、自家用車依存型の社会の場合、固まりは、むしろそこに渋滞が生じたりして、必ずしもメリットではないのである。 その他の特徴として大量輸送機関が不十分であるということ、都心部は便利であるが周辺部との格差が大きい、ということがある。周辺部の住民は買い物をするのにもわざわざ車を走らせなければならないのだ。都心部と周辺部の格差の是正を考慮する必要がある。 また、つくばは生活時間の使い方が特徴的である。東京では、昼間時の移動もあり、夜の帰宅時に関する移動が10時くらいまで続く。それに対し、つくばは昼間の移動は少なく、帰宅時の移動が大体6時〜7時をピークにして一こぶの山があるだけになっているという実態である。 |
※参考文献 「つくば市のバス交通を考える」 つくば都市交通センター、1992年