基本計画
広域都市圏の中核都市として地域間における連携や交流を促進し、一体的な発展の主導的な役割を果たしていくことを目指す。このため、広域的道路、幹線道路および新交通システムの整備を進め、多様な交流機会を創出する都市機能の充実を図る。そのために以下の点を重点項目として挙げる。
○交流拠点の形成(土浦駅前の整備)
○交流拠点ネットワークの整備
○交流環境の充実
○交流拠点の形成 (土浦駅前の整備)
土浦駅とその周辺を整備し、交流拠点の形成を図る。土浦駅には現在常磐線が乗入れており、水戸-牛久-東京への主要なアクセスルートとなっている。 常磐新線開通に備えてつくば−土浦間の結びつきを強化するためにつくば-土浦間に新交通システムを新設し、土浦駅西口に連結させるべく駅を高架にする。 土浦駅前の自動車交通に配慮して駅を高架にすることによって新しく生まれるスペースを利用して、駅下の駐車場・バスターミナルの整備によって自動車・タクシー・バス交通の円滑化を図る。
人口地盤・駅1階部分の歩行者スペースの拡張により歩行者動線の強化・増加を図り、市民や土浦を訪れた人たち楽しめるような交流の場として駅西・東口を再開発し、商業・アメニティー機能を充実させる。
また市内外、県内外から人を集めるべく運河を新たに敷き、現存する観光資源「霞ヶ浦」「亀城公園・中城通り」に加え、都市アメニティー空間「ボードウォーク505」をモール505跡地に新設し、これらを運河によって繋いで観光産業を興し、『人が集まる都市』へと拠点性を強化する。
○交流ネットワークの整備
土浦駅前の自動車交通の逓減と公共交通への移行を図るべく、つくば−土浦間を結ぶ新交通システムを新設し、常磐線・新交通線に新駅とニュータウンのセット開発し、サイクル&ライド、パーク&ライドを徹底し、運河の敷設・駅の高架化に伴い市街地周辺の幹線強化して交通面でのネットワークを整備する。また運河を通したり自動車交通を減らすことで駅前の歩行者交通の強化も図る。
広域から人が集まる都市として交通網の整備を促進する。常磐線・常磐道・国道6号(東京、東北方面への連携)、新交通システム - 常磐新線(東京、つくばへの連携)のような主要幹線・公共交通の整備を土浦駅を核にして促進させる。観光産業の新興をうけて観光バスを受け入れるために、駅の高架下に大規模バスターミナルの建設をすすめる。
福祉のさらなる広域ネットワーク化を目指して、県南生涯学習センター(うらら)等の駅前の福祉施設を核とし、土浦市に点在する9つの公民館によって『れんこんねっとわーく」を形成する。このネットワークによって福祉面での広域的なサービスの提供、施設の共有化を行なう。
○交流環境の充実
土浦市が人を集めるような都市であるためには、その環境、そこに住む人間は魅力あるものでなくてはならない。そこで交流都市に相応しいように土浦の景観を美しく整備し、まちづくりをすすめていく人材の育成を図る。
訪れる人々の心に憩いとうるおいを与えるために土浦駅西口・東口にオープンスペースをもたせたゆとりある開発をすすめる。また中心市街地に運河を敷き霞ヶ浦のイメージを持たせ、運河沿いの景観を美しく整えることで、土浦に個性と風格をもたせる。
都市にさらなる魅力を持たせるには、交流都市の基本単位である市民一人一人があたたかいもてなしの心を持ってまちづくりに参加し、実践していく必要がある。そこで運河の管理・清掃を市民に依託することで‘まちと共生する意識’を促したり、『れんこんねっとわーく』によって福祉面での人材の発掘・育成をはかり、新設のニュータウンでは環境共生への取り組みを促したり、市全体で市民として、人間としてのレベルアップを図る。
土浦市では現在、従来からの農業・商業と、近代的な商業・工業との間の対立に起因した産業的停滞がみうけられる。産業間の相互の連携により、相乗的効果がもたらされるような産業構成こそが望ましい。次代の産業集積都市を目指し、各産業の機能強化に加え、観光との連結による販路拡大、新規需要の開拓に努める。
○農業(地域経済を支える産業の振興)
土浦市の農業は、首都圏のなかにあるという立地優位性を必ずしも活かしきれているとはいえない。また、都市化の進展にともない、都市住民の流入による混住化の問題や、農業従事者の高齢化により、都市的発展の中で農家数は年々減少する傾向にある。より効率的な近代化を促進するため、経営・生産基盤の確立と生活環境・交流基盤の向上を図り、安定した農業の展開を目指す。
○工業
現在土浦市北部には、46社が操業する土浦・千代田工業団地がある。今後は首都圏との交通アクセスの良さを活かし、さらなる工業的集積を図るべく、工場アパート、工場団地の整備や先端技術産業、知識集約型産業の集積・育成を促進する。
○商業
江戸時代から商都として栄えてきた土浦市は、県内トップの商業力を持ち、商圏人口は50万人にものぼる。東京近辺との交通アクセスの向上や、市街地の再整備による商業活力の活性化に取り組み、中心市街地商業の発展による広域交流拠点としにふさわしい活気とにぎわいを創出する。衰退商店街の協業化・共同化を促進し、流通基盤の強化をはかる。
○水産業
日本第2位の面積をほこる霞ヶ浦を有する土浦市では、古くからワカサギをはじめとする淡水魚の漁が行われてきた。また、佃煮などの水産加工品は、土浦の名産品としても人気が高い。運河などの諸事業による観光者数の増加によって、水産業がふたたび土浦市における重要な外貨獲得手段となるよう、農業と同様に近代化の促進をすすめる。
○新産業(消費者・生活者のニーズに対応した産業の振興)
余暇・レジャーや健康・医療など、主に居住者を対象とした生活支援サービス業の育成に努める。特に、土浦市において、観光業の発展が他の全産業にもたらす影響が多大であるとの考えから、重点的な補助政策を実施する。さらに、新交通に代表されるような、他市との交流・連携による広域的な交通基盤・情報通信基盤の整備を可能にすることで、多様な地域産業間の交流や技術交流を促進することが望まれる。
○学校教育
幼児教育
幼稚園間の相互交流および小学校との連携を深め、就学前教育の内容の向上を図るなど、教育内容を充実させる。教職員についても、研修機会の拡充と内容の充実を図り、教職員の資質の向上に努める。また、家庭教育の充実のために、学習機会の提供を行い、幼児教育に対する父兄の意識高揚に努めるなど幼児に対する望ましい家庭環境のあり方を志向していくことを目指す。さらに、安心して遊べる遊び場や幼児の発育にふさわしい学習の場の提供など地域教育の充実を図る。
義務教育
児童・生徒個人の良さや可能性を引き出し、自己実現を図るため、知的教育優先を是正し、個性重視の教育を推進していくと共に、いじめなどの教育問題に対応するため、教育相談体制の充実を図る。教職員については、資質向上を図り、人間性豊かな教職員養成のための研修を充実し、児童・生徒の指導を充実させる。
また、社会変化に対応できる児童・生徒の育成のために、国際理解教育、情報教育、福祉教育、環境教育、交通安全教育、防災教育などを充実させる。さらに、郷土の自然や文化、伝統に対する理解を深めることを目指し、郷土教育を推進する。特殊教育の充実については、障害の状態に応じた適切な教育を行い、一般の児童・生徒との交流を活発化する。
なお、ニュータウン開発に伴い、2つのニュータウン地区内に新規に中学校を整備する。将来において少子化による廃校の可能性も考慮し、地域の生涯学習施設として転用できる構造にする。
高等教育機関
地域との交流を深め、地域住民の多様な学習への要望に応えていくため、高等学校・専門学校・大学等の施設の開放と公開講座の開催について、関係機関に要請していく。また、地域の特性を活かした大学や専門学校など高等教育機関の誘致を促進する。
生涯学習との関連
生涯学習の観点を踏まえ、調和のとれた人格形成を図るため、基礎基本の習得を更に徹底すると共に、自己教育力の育成を重視した教育を推進し、創造的で人間性豊かな人材の育成に努める。また、子供会、ボーイスカウト、ガールスカウトなど各種青少年団体に対する指導・援助や団体間の交流を促進し、青少年期における学習活動の充実に努める。
○生涯学習
生涯学習推進の意義
就業構造の変化による余暇時間の拡大、本格的な高齢化社会の到来、生活水準の向上、個人の生活価値観の変化などの社会構造の変化に伴い、一人ひとりが生きがいのある充実した生活を営み、自己実現を図ることへの要求が高まっている。このため、市民がいつでも、どこでも、必要に応じて学ぶことのできる環境づくりを進めることが必要になっている。
生涯学習の基本理念
生涯学習は絶えず自分で自分の能力を伸ばし、自分を充実させていく「自己教育力」を育成し、個性を活かし、自分の能力や技術を社会の進展のために貢献できるように導くことが重要である。それによって、学歴偏重社会の弊害を是正し、急速な社会構造の変化に積極的に対応して生きるための専門的知識・技術を修得することにつながる。また、まちづくり、地域づくりに貢献し、社会の活力を持続・発展させるための学習である。
れんこんねっとわーく
現在ある7つの公民館にニュータウンに新たに整備する2つを加え、9つの公民館でネットワークを構築し、それぞれを補完しあい、広域的なサービスの提供を行えるようにする。このネットワークは施設のネットワークであるだけでなく、情報・人材・事業・学習者のネットワークでもある。このネットワークをレンコンの穴の数が9つであることから‘れんこんねっとわーく’と名付ける。そして、県南生涯学習センター、図書館・社会教育センター・市立の生涯学習センター(新設)、市民会館などがネットワークの核となる。また、企業、高校・大学・専修学校および博物館・文化会館などの中央施設、社会体育施設・公園・史跡などの広域施設が積極的にれんこんねっとわーくに参加するための環境づくりを推進する。
生涯スポーツ
ライフステージに応じた生涯スポーツの振興に努めるため、体育協会の機能強化およびスポーツ団体やグループの組織育成と活動強化を促進する。また、個人や少人数での利用を促進するため、身近なスポーツ施設の整備や学校体育施設等の開放を進めると共に、国際的な競技大会の開催やスポーツ観戦を楽しむ環境をつくるための施設整備を図る。さらに、スポーツに関する知識や技能修得のための教室、講習会や研修会等を開催し、指導者の育成強化を促進する。
○地域コミュニティ
地域コミュニティの形成
それぞれの地区の公民館がれんこんねっとわーくと連携して、地域コミュニティの中心となることを目指す。また、地区集会場などの整備充実を図ると共に、地域住民のふれあいや文化、芸術、学習活動の場として小・中学校の余裕教室の開放を進める。そして、ボランティアなどへの市民の自主的な参加を促し、コミュニティリーダーや団体を育成する。
女性・高齢者の参加
女性やが社会参加しやすい環境づくりに努めるため、様々な分野にわたる参加の機会を充実させると共に、学習、相談、交流などの場の提供を行う。
高齢者の豊富な知識、経験、技能が発揮できる地域社会の形成を目指し、就労の場の確保や地域コミュニティへの積極的な参加を促進すると共に、子供と高齢者のふれあいなど世代間交流を推進する。
○歴史・文化
歴史・文化ゾーン
亀城公園と中城通りに囲まれた地域を歴史文化ゾーンとして、運河と共に歴史・文化財をアピールする。具体的には、建物の外観整備、道路鋪装を石畳に変える、電線類の地中化、桜橋の復活などを行い、運河に調和した歴史的景観を形成する。
芸術文化活動の促進
市民の芸術文化に触れる機会を充実し、創作の場を整備すると共に、様々な芸術文化育成事業を推進し、団体や人材を育成する。また、文化活動の拠点として、公民館、図書館分館などの施設の整備・充実・活用を図る。さらに、つくば市など近隣市町村と連携し、広域的な芸術文化交流を進め、文化ホール、美術館などのネットワーク化を図る。
文化財保護
文化遺産の保護を推進するため、文化財保護推進体制の充実を図ると共に、埋蔵文化財に対する調査体制の整備を行う。民族芸能、伝統行事、風俗風習など無形文化についても保存・継承に努める。重要文化財は、国・県・市指定の拡大および推進を図る。
土浦市は首都圏の業務核都市の一角として、また茨城県南地域の中心都市としての性格を有しながら、 筑波・水郷国定公園に取り囲まれた豊かな自然資源と共生する、環境にやさしい都市づくり、社会基盤の整備、安定したライフラインの確保などを進めてゆく。
ここでは、市民一人ひとりがゆとりや豊かさを実感しながら安心して暮らすことのできる、安全で魅力的な地域社会を築いてゆき、21世紀土浦市の快適環境づくりにつなげてゆく。
そのために、次のような視点から総合的に整備してゆく。
○豊かさが実感できる生活基盤の形成(ライフライン)
○災害に強い都市づくりの推進(都市防災)
○安心して暮らせる地域社会の形成(防犯)
○人と自然が融和する環境の形成(環境共生、循環型社会)
○豊かさが実感できる生活基盤の形成
快適な市民生活を実現するために、道路や交通体系、駐車場、公園、下水道などの都市基盤整備に更に取り組んでゆく。
土浦市内の交通の特性として、自動車交通への依存度の高さや中心市街地での混雑が挙げられる。道路整備にあたっては、市民の魅力ある生活空間としての視点を合わせながら、交通需要、周辺市町村など広域交通との調和を考慮しながら進めてゆく。
また、自動車へ依存しがちな市民の移動手段を多様化し、効果的な交通体系を構築するために、新交通システムの導入、常磐線新駅の設置をはかる。ここには駐輪場、駐車場を配し、移動距離に応じた効率的な交通利用を促す。
市民へのゆとりある生活空間を確保していくにあたり、土浦の風土に沿った、公園整備などをしてゆく。土浦駅前の中心市街地においては、水都・土浦を思わせる水辺アメニティー空間の整備を進める。そして、霞ヶ浦、桜川、花室川、宍塚大池と里山などにおいても自然保全をすすめながら公園整備をする。それとあわせ、市民の近隣公園など、住環境も良好化してゆく。
都市生活基盤として、学校・文化レクリエーション・児童福祉施設や、上下水道・公園・安全防災施設などを適宜、維持・整備し、市民の快適生活に資してゆく。
○災害に強い都市づくりの推進
○安心して暮らせる地域社会の推進
○人と自然が融和する環境の形成
人々の生活は、現代そして未来の地球環境との調和を図りながら、資源循環的に進められることが求められている。また、高齢化や余暇時間の増大等の社会的背景から、住宅・街の健康・快適性を重視し、自然・周辺環境との調和や景観に配慮した、より質の高いまちづくりが求められている。
このようなことを配慮し土浦市においても、環境保全や資源の有効利用をすすめるため、ごみ減量・リサイクル活動・環境共生のまちづくりを推進する。また健康的で潤いのある市民生活を確保するため、公害対策や環境衛生に配慮した業務地区の形成をおこなう。
急速な高齢化、少子化、女性の社会進出などによる社会構造の変化と、それに伴う市民の意識の変化は、福祉のあるべき姿にも重大な影響を与えている。高齢者、児童、障害者、母子・寡婦家庭などにきめ細かな対応を行い、全ての市民が安心と生きがいを持って暮らせる地域社会を創出することが求められている。また人生80年時代と呼ばれる長寿社会を迎え、市民一人ひとりが充実した人生をおくるために、生涯にわたる健康づくりをサポートしていく必要がある。こうした社会構造の変化に柔軟に対応できるシステムの整備が急務となっている。人が住む街として魅力的な活力ある都市であることを目指し、市民一人ひとりが健康や福祉に関心を持ち、思いやりの心を持って暮らせる豊かな社会を創造していく。そのために次の基本方針を設ける。
○地域福祉の推進
○高齢者福祉の推進
○保健、医療体制の総合的な整備の推進
○地域福祉の推進
地域福祉の啓発と普及
地域福祉をはぐくむ活動を支援し、地域における連体意識の啓発を図る。また地域福祉活動の核となる団体の組織または拡充を促進し、団体相互の連携を強化する。同時に学校教育と生涯教育活動の双方においてボランティア活動の普及を進める。
福祉施設の整備
市民の地域福祉活動の拠点として、既存の公共施設の活用と福祉施設の整備を行う。また地域の活動拠点を人材、物、情報のネットワークでつなぎ、さらにネットワークの核としてコーディネート機能をもつ総合的な福祉施設を整備する。
人にやさしい環境づくり
道路交通環境の整備やその他の都市施設、公共施設でのバリアフリー化を進め、ひとにやさしいまちづくりを進める。また一人暮らしの高齢者や障害者に対し、緊急通報システムの整備を進める。
児童福祉の推進
家庭、地域、企業、行政が一体となって、子育てに関する相談・支援体制、保育サービス、遊び場等を整備し、ゆとりある育児環境を創出する。少子化、核家族化に代表される社会構造の変化に伴う保育ニーズへの柔軟な対応を図る。
障害者福祉の推進
障害者が地域社会の中で安心して自立した生活を送れるように、在宅福祉サービスの充実を進める。また公共施設や交通施設、支援体制の整備を進めると同時に、地域社会の理解を育て、障害者のレクリエーション・社会・文化活動への参加を促進する。
○高齢者福祉の推進
生きがいの創出と社会参加の促進
就労機会の拡大や、生涯学習活動その他の地域社会活動への参加を促進することで、高齢者の生きがいを創出し、同時に高齢者の経験や知識、技能を幅広く生かしていくことを図る。そのための拠点となるシルバー人材センターや老人福祉センター等の施設の整備拡充をすすめる。
高齢者の生活環境の整備
高齢者が住み慣れた地域や家庭で快適に暮らせるよう、ヘルパー派遣やデイサービス等の在宅福祉サービスの充実と、地域福祉と連携した介護支援体制の普及を進める。また生涯教育活動や通信を利用した在宅医療サービスの促進を通じ、高齢者の健康増進を図る。
高齢者福祉施設の整備
在宅で適切な介護を受けることが困難な高齢者のニーズに対応するため、老人ホームや老人保健施設の整備をすすめる。
○保健、医療体制の総合的な整備の推進
健康づくりの推進
保健・医療機関や関係各団体との連携のもとで健康相談や検診体制の充実を図る。また生涯学習活動を通じて、健康に関する知識を普及し、自分の健康は自分で守るという意識の高揚を図る。
保健、医療体制の整備と、総合サービスの提供の推進
医療・保健・福祉の連携を強化し、地域施設のネットワークを通じて、地域住民に対してより的確できめ細かな医療・保健・福祉の総合サービスを提供する。また多様化する市民のニーズに対応するために、医療施設、保健所の設備の充実を図るとともに、医療機関相互の役割分担や連携強化を通じて、効率的な医療体制の整備を図る。