4.補完計画
重点計画で示した提案を行ったとき土浦市内の道路交通はどう変化するのか、応用都市経済モデル(以下、CUEモデル)を使って分析した。現状は図4-1-1に示すとおりである。
図4-1-1 現状の混雑度
今回は、中心市街地に植物工場、テクノパーク土浦北とおおつ野ヒルズの工業用地に工場を建設することを想定する。工場の面積は、わらべや日洋というコンビニ食品製造工場と、カゴメ那須工場という食品加工工場の面積を参考にした。CUEの入力値を決めるにあたって、土浦1区の従業者数を10,967から11,900に、土浦3区の従業者数を1,770から1,850に、土浦4区の従業者数を9,082から9,200に、土浦5区の従業者数を11,866から11,100にして、利用可能面積を1区は51,000u、3区は10,000u、4区は8,000u増やし、5区は17,000u減らした。 さらに、前述した中心市街地における一般車両進入制限や、市役所など公共施設の移転事業をあわせて分析すると図4-1-3になる。
図4-1-3 施策後の混雑度
この図から一部の道路では混雑が緩和されるが、土浦駅前から西へと延びる区間の混雑が悪化することが読み取れる。そこで、都市計画道路・川口田中線の新設(4車線)、宍塚大岩田線の新設(4車線)、大和上高津線の改良(4車線化)を図4-1-4の区間において行うと、混雑度は図4-1-5に示す通りとなった。
図4-1-4 整備する道路
図4-1-5 整備後の混雑度
国道125号の真鍋〜若松町間や、旧国道6号の亀城公園付近の混雑が緩和されたことがわかる。また、図からは読み取れないが、土浦駅前から西へと延びる区間は混雑度が2.39から1.78へ、同南へと延びる区間は混雑度が1.67から1.52へ軽減するなど、さらなる対策は必要といえるが改善が見られた。
次に、3路線の整備が妥当であるかを判断するために費用便益分析を行う。3路線の概要は表4-1-6の通りである。
表4-1-6 整備路線の概要
まず、3路線の費用を算出する。地価は国土交通省の土地総合情報システムをもとに、計画路線付近の地価公示価格を参考にした。土工部の工事費用は茨城県企画部企画課『茨城県におけるコンパクトなまちづくりに関する調査』の道路整備費データを引用した。これによると、1m当たり整備費は30400円である。橋梁部の工事費用は京都市の祥久橋架設の工事費を参考にした。祥久橋は橋長322.7m、幅員22.8mの4車線であり、工事費は39億円となっている。これより、1m当たりのコストは約1200万円と導出できる。
これらを各路線に当てはめて表4-1-7のように工事費を算出した。
表4-1-7 各路線の事業費
次に、Evaluatorを使って整備前・整備後の時間費用・走行費用・事故損失額・環境損失額を出力し、整備による便益を求めた。結果は表4-1-8の通りである。
表4-1-8 路線整備による便益
以上を踏まえて、費用便益分析を行った結果、費用便益比(B/C)が1.22となった。費用便益費が1を超えたので、この3路線の整備は妥当である。
※維持管理費を入れた場合の費用便益分析
維持管理費20年間を含めた場合の費用便益分析を行った。
維持管理費用は茨城県企画部企画課『茨城県におけるコンパクトなまちづくりに関する調査』の道路整備費データを引用した。土工部の維持管理費は7440円/年で、橋梁部には街路樹がないものとして維持管理費は4180円/年である。
費用を求め、内訳を表4-1-9に示す。
表4-1-9 費用計算内訳
この費用と前述した便益をもとに分析した結果、費用便益比(B/C)が1.21となった。やはり、費用便益費が1を超えたので、この3路線の整備は妥当と結論付けられる。