3−3.重点整備計画Bまちなか居住プロジェクト

 土浦市では郊外化が進み,自動車中心の社会構造となっている.今後は少子高齢化が進行すると予測されている中で,自動車利用が困難な人々は増加すると考えられる.また,中心市街地の衰退は顕著であり,生活が困難なだけでなく人々が活き活きと交流する場も失われているといえる.

3−3−1.提案

  以上の問題背景から,
  ・「徒歩移動を推進し,必要な人が駅前居住できるまち」
  ・「人々が活き活きと交流することができるまち」
 を目標とする.これを「まちなか居住プロジェクト」とする.ここで,駅前居住が必要な人とは,自動車利用が困難だと考えられる高齢者と
 乳幼児子育て世代を主に考えている.

 【対象地】

  JR常磐線の3つの駅(土浦駅,荒川沖駅,神立駅)を中心とした約1kmの範囲を対象とする.各駅は公共交通の拠点となっていること,
  徒歩圏内に公共施設や銀行,病院などの必要性の高い公共サービスが集積していることが選定の理由である.(図8)また,約1kmというのは,
  高齢者が徒歩で移動することが容易な距離であると考えられる.(内閣府のアンケートより)この対象区域に居住することを「まちなか居住」と定義
  する.


図19 対象地

3−3−2.具体案

  まちなか居住を進める際に必要なこととして,住宅自体を整備する「住宅整備」と、住宅周辺の環境を整備する「周辺環境整備」の2点が挙げら
 れる.

3−3−2−1.住宅整備

  平成20年度現在,土浦市の空き家率は22%であり,茨城県全体の平均値12.7%を大きく上回っている.このことから,空き家を積極的に利用する
 ための補助が必要であると考えられる.また,現在不足している新しいタイプの住宅を導入することにより,住みたいと思った人が手軽に居住できる
 ことを目指す.
  【提案】@空き家の利用促進
   住み替えや建て替え,リフォームする際には,家賃債務保証制度や優良建築物等整備事業など様々な支援が国や財団法人などから行われて
   いる.これらの情報を公共施設の掲示板やインターネットで一体的に取り扱うことにより,まちなか居住を広めることができると考えられる.

  【提案】A新しいタイプの住宅導入
    ・バリアフリー
    ・介助を考慮した広さのトイレ,浴室など
    ・スタッフの常駐
   の条件を満たした高齢者向け賃貸住宅を市が提供する.また,
    ・段差の解消、エントランスにスロープの設置
    ・転倒時の危険防止(滑りにくい浴室床材仕上げ)
    ・危険箇所への進入制限(フェンスの設置)
    ・遮音性能
    ・介助可能な広さを確保した便所
    ・防汚使用の建材使用
   このような条件を満たす,バリアフリーや子育てに関する設備の整った住宅供給を行う民間企業に対して助成を行い,市のホームページや広報
   などでPRを行う.

3−3−2−2.周辺環境整備

  住宅の周辺の生活利便性を高めるよう整備することにより,まちなか居住を促進するインセンティブを与えることができる.前述したように,駅前に
 は公共施設や銀行,病院などの必要性の高い公共サービスが充実している.さらに利便性を高めるためには,人々が交流できる場となる商業施設
 を充実させることが重要である.特に土浦駅前の衰退しつつある商業施設を再生することにより,市内の他地域からも人が訪れるような魅力ある
 中心市街地の形成を目指す.

  【提案】
   商店街の再生として,現在の土浦市では各商店・商店街単位での改善が行われている.これをより効果的にするためには,行政・商店街の
  人々・地域住民がビジョンを共有し,一体的に事業を行うことが重要であると考えられる.そこで私たちは,様々な手法の中から「タウンセンター
  マネジメント(TCM)」制度を導入する.


 ○タウンセンターマネジメント(TCM)とは

  中心市街地活性化の手法であり,特にイギリスでは,1980年代以降300程の市町村において導入されている.商店街の再生や市街地の整備に
 関し,行政・各小売店・市民の全体がビジョンを共有し,点や線でなく,面としての事業を行っていくものである. 中心市街地の商店街が衰退する
 一方で,郊外型のショッピングセンターが市民に受け入れられ成功している理由として,その立地や自動車依存型である社会の傾向のみならず,
 市民が魅力を感じるような,ショッピングセンター全体に対してのマネジメントが行われている点が挙げられる.TCMは,そのSCの成功と同じ要因を
 取り入れ,市民の来訪・購買意欲への訴求を行っていく試みである.

 ○組織形態

  土浦市・民間事業者(大型店,各小売店)・商工会議所・地域住民団体(※土浦商店街連合会,中城倶楽部など)で構成されるパートナーシップ
 組織を提案する. 各団体の代表者で運営委員会を設立する.この運営委員会の元で,ワーキンググループを組織し,事業を実施する.


図20 組織形態図

 ○事業の流れ

  ・運営委員会で現状の課題を共有する.
  ・課題に対する事業計画(事業方針)を立てる.
  ・事業計画の下で具体的な行動計画をたて,実行する.


                                      表2 環境整備計画案


  TCMを導入するに当たり,私たちが最も重要だと考えたことは「ビジョンを共有すること」である.これを実現するために行政がすべきことは,
 そのための「場」を提供することであると考えられる.次に示す行動計画は一例であり,多様に変化するものである.