第4章 部門別構想 (2)
「部門別構想 2)活力とにぎわいのあるまちづくり」に関して,構想を実現するための具体的な方策として,今回は以下の2つの計画【重点整備計画】について説明する.
・中心市街地の活性化
【住み替え補助制度】
【Central parkの整備】
【Hospitality mall 505の整備】
・農業を活かすまちづくり
【新治地区での市民農園開園】
4.2.1 中心市街地の活性化
第2章2.3で述べたように,近年は土浦駅周辺にある中心商店街の衰退や,市街地の空洞化が深刻になってきている.市の顔ともいえる市街地の活性化は,まちのにぎわい創出のための大きな役割を担っており,市民の要望も高い問題である.また2.5で述べたように新治地区での高齢化が顕著である.高齢化に即し,高齢者が便利で安心・安全な暮らしが送れるようにする必要がある.よって,本計画では,市の中心部の空洞化を抑え,また市民が安心・安全な暮らしを送れるように,さらに商店街に活気をもたせ,結果としてまちににぎわいを生み出すことを目的とする.
重点整備計画【住み替え補助制度】
土浦駅や荒川沖駅周辺では空き部屋のあるマンションが現在も多数存在している.実際に2009.12.1時点における,土浦駅1km圏内で空き部屋のあるマンションを調査したところ,82棟存在した(分譲4棟,賃貸78棟 参照:HOME’S HP).このように現時点でも空きマンションがあり,今後はさらに人口減少が進むと予想されることから,より一層の市街地空洞化が進むと考えられる.同様に新治地区では高齢化が進行し,高齢人口割合が高くなっているが,それに対応した医療施設や高齢者福祉施設は十分に整備されているとはいえない.
そこでマンションの空き部屋を減らし,高齢者が安全で便利な生活ができるシステムである住み替えの補助制度を整備する(住み替え制度概要と土浦市への制度導入実現性は※参照).
整備内容と効果
市では住み替えを望む高齢者や若い世帯,入居者を募集しているマンション等相互の要望や情報を管理し,適切で円滑な補助を行う.また引越し費用や家賃補助を行い,住み替えを促進する.さらに高齢者が住みよい構造となっている高齢者優良賃貸住宅に対し,補助金を出すことなどにより,利用を促す.
これらの施策を公的機関の主導で行うことにより,利用者の安心感が生まれ,より円滑で効率的な住み替えを補助することができる.
(※住み替え制度概要と土浦市への制度導入実現性)
重点整備計画【Central parkの整備】
平成20年度の中心商店街空き店舗(土浦市商工会資料)は53にのぼり,市街地の衰退が問題となっている.衰退が顕著な商店街としては,モール505(空き店舗9),中央商店街(空き店舗5)などがある.また土浦駅からURALAへはペデストリアンデッキが整備されており,駅方面から来る歩行客はURALAへと流れることが考えられる.このことから,駅からモール505への歩行者動線は脆弱であると言える.
このようなことから,中心商店街の活性化と,モール505や商店街への歩行者動線強化が必要であると考える.
整備内容と効果
土浦駅前北地区第一種市街地再開発事業により,平成24年に図書館を含む公共施設を中心とした再開発ビルが建設される.再開発ビルは駅に隣接しており,駅から訪れる歩行者等を確保する能力があると考えられる.そこで再開発ビルを足がかりにして,モール505へ歩行者を呼び込むために,再開発ビルとモール505をつなぐ場所に公園(Central park)を整備し,歩行者動線を強化する(図4-4,4-5).これにより,再開発ビルとモール505の一体的な整備が可能になる.
Central park整備予定地に関して,現在は駐車場として利用されているが,利用率は低く,36%(41/112台 2010.2.5(金)12時)となっている.また再開発駐車場は再開発ビル一階に多数整備されることから,それによって代替は可能であると考える.
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(図4-6 Hospitality mall 505 フロアイメージ)
また本整備は4.3.1にて後述する歴史施設整備の一環とする.
重点整備計画【Hospitality mall 505の整備】
モール505では空き店舗が目立ち,衰退が進んでいる.古くからの歴史もあり,駅からも比較的に近く,土浦の商店街の顔ともいえるモール505の活性化が必要であると考える.
整備内容と効果
先述した住み替え制度利用を促進することで,駅前に高齢者が集まると想定する.よって高齢者をターゲットにした医療施設主体のモール「Hospitality mall 505」を整備する.モールに入る医療施設は,モール内に既存の2つの病院のほかに,現在URALAにある7つの病院(皮膚科,眼科,精神科,胃腸科外科,整形外科内科,小児科,歯科)の移転を考える.モール内にはすでに病院があることや,小規模な病院に適した面積は25㎡程度であり,モール505の店舗面積は15~66㎡であることから,病院の導入は現実的であるといえる.病院以外の店舗としては,土浦駅北再開発ビルと近接していることから,喫茶店やモール内に既存の飲食店を中心として整備する(図4-6).このように病院(Hospital)とおもてなし(Hospitality)の商店街として,モール505の活性化を図る.
(図4-4 Central Park 整備イメージ)
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(図4-5 歩行者動線図)
4.2.2 農業を活かすまちづくり
市の農業の中心である新治地区の耕作放棄地問題の解消を軸に,市内の農地の利用促進を図る.また地域の特産である農産物の生産拡大やブランディングを行い,地域の個性が光り,活気ある農業を展開する.
重点整備計画【新治地区での市民農園開園】
新治地区は農業が盛んである一方,就農者の高齢化や耕作不便地の増加による耕作放棄地の増加が見られる.土浦市の耕作放棄地面積割合は茨城県全域で見ても高い.また隣接しているつくば市に比べても耕作放棄地は多い.さらに土浦市内の地区別耕作放棄地面積割合では,新治地区の耕作放棄地面積は117.3haと,全体の半数以上を占めている(図4-7).よってこれらの問題を改善する必要がある.そこで,新治地区の農業の潜在能力を活かした問題点の解決として,地元住民と農家を触れ合える市民農園を開園する事で,新規就農者の獲得と耕作放棄地の解消を期待する.
(図4-7 地区別耕作放棄地面積[ha]の比較)
整備内容と効果
農業推進事業として新治地区で現在行われている取り組みとして,常陸秋そばのオーナー制度がある.この制度は平成21年度から行われており,種まきから収穫までは担当農家が行い,利用者は手打ちそば体験や収穫作業の補助など,年に数回行われるイベントを通して農業体験をするものである.
また,土浦市内にある市民農園として,行政が主催する「高津農園」・「摩利山農園」・「神立農園」・「中村西根農園」の4箇所,JA土浦が主催する「JA土浦貸農園」1箇所,土浦市農業公社が主催する「土浦市小町ふれあい農園」の7箇所が開園されている(平成22年度2月現在).市民農園は市民であれば誰でも応募可能であり,比較的安い値段で農業体験が出来る事から,地元住民に多く利用されている.土浦市内の市民農園はいずれも30~100区画(1区画16㎡~30㎡)程度開設されている.その中でも行政が開園する4箇所においては,平成21年度時点での空き区画は無いことが分かった(土浦市産業部農林水産課ヒアリング結果より).
このことから,現在行っている事業に十分なニーズと更なる拡大の可能性があると考え,システムや制度を活かした現状の改善を提案する. 具体的な提案として,市民農園の開園面積は新治地区における耕作放棄面積の10分の1と設定し,利用費用は5000円とする.開園する担当農家や行政担当者は,栽培指導や農園管理を行い,市民は積極的に小町の里の施設内にある農産物販売所で物産販売やそばを特産物として推進できるイベントの企画を行う. それにより農業集落と市民の交流が生じ,地域への活性化につながると考える.
整備提案に際し,計画の効果をより計量的に分析する事で,実現可能性を計る.
まず,耕作放棄地解消費用と効果について述べる.市民農園を開園するために整備する,新治地区内耕作放棄地を約10ha(全耕作放棄地の1/10)とする.農林水産省が推奨する再生事業を事例に事業効果を見ると,耕作放棄地を耕作可能農地に変換するためには56万円/0.01haかかるので,10haを農地に変換させると事業費は5億6000万円となるが,その中で市の実質負担金は半額なので2億8000万円になる.平成21年度土浦市農林水産課放棄地再生事業費は9億9484万5000円確保されているので実現可能性はあるだろう.
次に,市民農園開園の土浦市負担費用対効果分析から実現可能性を見る.費用は鳥取県耕作放棄地再生実証事業を参照にすると,整備施設及び経費に2億円掛かることがわかる.しかし実質負担金は,農林水産省が半額負担するので1億円になる.また,市民農園を維持するための維持費(土地代)に3万円/㎡掛かるので,全体で年間3000万円になる.(今回CUETより新治地区の地価を3万円/㎡とする).従って,今回20カ年計画で計算すると,費用として算出される整備施設及び経費と維持費の総費用は,7億となる.一方で収入は,利用費と事業支援費が該当する.利用費は先述した通り,1区画30㎡とし,半数の160区画を5000円とすると80万円/年,残りの150区画は常陸秋そばを推奨する農地活用を行うので,本来の農地利用費用の5000円に加えて常陸秋そば2kg分を保障する6000円の1万3000円にすると195万円/年なる.更に事業支援費は,農林水産課の都市と農村の交流事業の1/2を市民農園の開設支援費用と考え,今回は1/2の700万円を含ませる.すると,利用費と事業支援費を含む総収益は約1000万円になる.現在土浦市域における市民農園の利用率を参照に考えると,20年後も90%以上は維持出来ると期待すると,総収益は20年間で約2億円になる.
つまり,費用が1億3000万円で収益が2億円になるので効果が費用を上回ることが分かる.よって計画する新治地区における市民農園の実現可能性は高いと言える.