第4章 部門別構想 (1)

 「部門別構想 1)安心・安全なまちづくり」に関して,構想を実現するための具体的な方策として,今回は以下の2つの計画について,

 【重点整備計画】を中心に説明する.

・交通体系の整備
【神立駅周辺整備】

・防犯性の高いまちづくり
【中学校区単位での防犯網形成】

 

4.1.1 交通体系の整備


第22.4で述べたとおり,土浦市には優れたアクセス性能を持つ交通体系が整備されているが,それと同時に一部地域で混雑が発生している.部門別構想に掲げた「安心・安全なまちづくり」を目指すにあたり,交通分野においては交通渋滞に起因する交通事故の危険性を排除して安全な交通環境を確保することを目標に掲げる.土浦市には既に多くの都市計画道路の新設や既存道路の整備計画があり,それらを順次施工してゆくことによって現存するほとんどの交通環境問題は改善に向かうことが市の調査によって既に判明している.そこで本プランではミクロな位置に視点を置き,現在の整備で対処しきれない交通問題について,神立駅周辺を例として取り上げる.


重点整備計画【神立駅周辺整備】
神立地区は土浦市に存在する工場の7割が集中(従業員数比)する一方で,住宅も多く存在している.地区の交通拠点となる神立駅は,住民と工場就労者が通勤通学のために毎日利用しているが,朝と夕方のラッシュ時間帯には西口周辺において主に車や送迎バスによる混雑が発生している.駅舎の改札は駅西口のみに整備されており,駅の東側に住む住民の多くは踏み切りを越えて西口を利用していると考えられ,それが西口周辺での混雑を生んでいると思われる.また,市内で最も大規模な工場が駅の南東にあることから,多くの工場就労者が駅の東側を歩いて通勤している.整備されていない東側を多くの人が歩くことで,交通事故などの危険が生じることが懸念される.以上より,現在の神立駅周辺では「交通混雑解消」と「歩行者環境改善」の必要性が伺える.
上述の「駅の東側に住む住民の多くは西口を利用している」という仮説を検証するために,私たちは朝の通勤通学ラッシュ時間帯に交通流動調査を行った.調査方法は,(図4-1)のABCの各点に立ち,矢印の向きに移動する車のナンバーを記録し,どこからどこへ何台移動しているかを算出した.その結果を(表4-1)に示す.

  

(図4-1 神立駅周辺交通流動調査概要図)

(表4-1 神立駅周辺交通流動調査結果)

 この調査により,西口に入る車の15%が,駅の東側から来て駅の東側へと帰っていくことがわかった.その中でも,駅の北側の踏切から西口へとやってきて南側の踏切へと帰っていく車が大半を占めており,南側の踏切から西口へと向かう車はあまりいないこともわかった.また,現在7時半から8時10分の間は,図のような一方通行規制がなされているが,今回の調査により,多くの人々が規則を守っていないということが確認された.この現地調査によって,駅東側の住民による西口の利用が混雑の一因となっていることが明らかにすることができた.

 

現在計画されている整備計画

提案に移る前に,現在計画されている整備内容とその効果について確認しておく.神立駅周辺での整備計画は大きく分けて神立駅西口土地区画整理事業,都市計画道路の整備,駅舎橋上化の3つがある.神立駅西口土地区画整理事業では,現在歩行者と車がひしめきあう西口周辺の2.2haを区画整備する.これにより西口周辺で歩車分離が実現するため歩行者環境は改善するが,区域外の道路はそのままのため交通混雑は依然として残るうえ,駅東側に向かう歩行者環境は改善しない.また,駅周辺には2本の都市計画道路が計画され整備が進められており,これが完成すると神立から土浦や国道6号線への移動がスムーズになるうえに通過交通の一部は駅前を経由しなくなるので混雑が緩和されると考える.しかし,駅東側からの交通にはあまり影響を与えないため,駅東側の需要による交通混雑は残る.駅舎橋上化も検討されており,これが実現することで,歩行者は歩道橋を上り下りせずとも駅の東側へ行けるようになるので西口の混雑は若干改善すると予想される.同時に東側へと向かう歩行者が増えると考えられるが,東口ロータリーの整備は計画にないため,東側での歩行者環境が悪化することが懸念される.

 

整備内容と効果
現在計画されている整備が実施された上で,それらでは解決することが難しい問題,つまり「駅東側の需要による交通混雑」「東側歩行者の危険性」を解消するための提案を行う.この地域は土地の権利保有者による意向などにより,新しい開発を実施することが難しいとされている.よって,最小限の整備で大きな成果をあげることを念頭に入れた.整備内容を(図4-2)に示す.
                                

   (図4-2 神立駅周辺整備計画図)

まず,駅西口前に集中していた通過交通を分散させるため駅の北側の踏切から駅東側に至るまでの短い区間に道路を設ける.また,駅の東口にロータリーを作り,更にそこから工場方面へと向かう南方への歩道を整備する.これにより,駅の東側を利用する歩行者の安全を確保できる.
この提案にかかる費用に関して,既に決定している都市計画道路の予算を参考にすると道路整備に関してはおよそ5億円となる.提案の効果として交通量の変化をSTRADAにより算出すると,1日平均交通量は(図4-3)のように変化し,神立駅周辺域での混雑緩和が見てとれる.また,朝と夕方の通勤通学ラッシュ時に限った交通量変化は,現地調査の結果から,駅西口の利用は12%の減少,駅の南にある踏切の交通量は24%の減少が見込まれる.ことが分かった.整備規模は小さいが,これらの整備を行うことにより安心・安全なまちづくりを行うことが可能となる.


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(図4-3 整備効果)

 

 


4.1.2 防犯性の高いまちづくり


市民が安心して,安全に暮らせるまちにするためには,防犯性を高めることは必要不可欠である.第2章2.5で述べたように,土浦市では,市民による防犯活動が活発に行われており,近年は犯罪率も低下してきている. この活動をうまく利用し,さらに効率的に防犯活動を行っていくことが重要である.

重点整備計画【中学校区単位での防犯網形成】
防犯性の高いまちづくりを実現するためには,街灯の整備などといったハード面もさることながら,そこに住む人々の意識改革といったソフト面に大きく左右される.そこで私たちは地域活性化のための活動の一環として防災パトロールなどを行っている荒川沖の市民団体「荒川沖DO!!SPE会」にヒアリングを行い,その取り組み内容と市民が求めていることについてのお話を伺った.この団体では,防犯活動としては町内会の枠組みを超えたパトロール活動やメーリングリストなどを駆使して情報体系を整えた連絡網の活用などを行っており,その活動経験から,町内会単位でのパトロールでは範囲が限定的であることや,連携や交流を通じて情報を統括するネットワーク体系の確立が必要であると感じているということなどをおっしゃっていた.


整備内容と効果
現状の町内会範囲でのパトロールを発展させ,広すぎず狭すぎず迅速な対応が可能な範囲での防犯網の形成を目指すべく,各中学校区に防災組織連合会を設立し,各町内会の防犯組織が連携を図って活動をしてゆく.たとえば,防犯メールシステムを活用し,パトロールで発見された危険箇所や行方不明者がなどの異常事態の情報を共有する.これにより,より実用的で効率的な防犯体制を形成され,安心して暮らせるまちづくりを目指す.

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