3.重点整備計画


3-1.産業

「黄金コンビが盛り上げる産業」

【背景】

近年土浦では、第一次・二次産業人口が減少し、第三次産業人口が増加している。 これと同時に、 耕作放棄地の増加や工業団地への企業誘致の難航などの問題も発生している。 茨城県の耕作放棄地面積は全国2位(H17年農林業センサス)と 危機的な状況にある。 工業団地への企業誘致においても、 土浦市内の主要な工業団地3箇所 (テクノパーク土浦北、東筑波新治工業団地、おおつ野ヒルズ) において全42区画のうち分譲中が15区画と約36%もの未利用区画がある。 このまま農工業離れが進むと、環境や景観の悪化を招いてしまうだけでなく、 市内の第三次産業だけでは十分な雇用を確保できないため、 市外、県外への人口流出へとつながる。 この一方で土浦には、農業・工業に適した特長がある。 農業については、野菜作りに適した気候にあり、全国一のレンコンをはじめ、 多種多様な作物を栽培できる恵まれた自然環境にある。 工業については、工業団地が複数整備されている。 加えて交通に関しても、高速道路インターチェンジ、 貨物鉄道駅が近くにあり、茨城空港や成田空港も利用可能な範囲にあり、 巨大消費地の東京へも近いため広範囲に販路を拡大できる。 さらに、これらの農業、工業、 交通が土浦市北部にコンパクトにまとまっているため、 原材料の栽培から、製造、流通までを集約し一貫して行える魅力がある。

図 3-1 土浦市産業別人口割合 図 3-2 土浦市産業イメージ

【整備計画】

農工連携事業

土浦産の農作物の利用を促進するために、企業間での集約した輸送の支援による農工連携事業を提案する。 土浦市内の工業団地で食品加工業を行っている企業へのヒアリング調査を行った結果、 ほとんど土浦産の野菜を使っておらず、現状としては、 土浦市内での農業と工業のつながりは薄いということがわかった。 また、全国各地へとトラックで出荷している企業が多く、交通の利便性を重視して立地していた。 さらに、このヒアリングの結果、農道の整備が十分にされていない箇所があること、 大半の企業が中小企業であることがわかった。 現状は、各企業が原材料となる食品を運搬する際に支障となる点が多いと考えられる。 そこで市が、企業間の集約した原材料の輸送を支援することを提案する。 これによって、農業、工業、市ともにメリットが生じる。農業にとっては、 土浦産の食品への需要が増加することで経営が安定し、将来的には耕作放棄地発生を抑制する効果も期待できる。 工業にとっては、 工場→消費地(東京など)だけではなく産地→工場への輸送が容易となるため、 仕入れや出荷にかかる輸送費が抑えられるだけでなく、保存料などの添加物を使わずに出荷でき、 新たな付加価値が加えられる。市にとっては、市内の雇用が増加し、人口、税収の確保が期待できる。


3-3.住環境

「緑とともに暮らす住環境」

【背景】

土浦市は、霞ヶ浦や筑波山、里山、蓮田など自然資源に囲まれた魅力的な環境にある。 しかし、一人当たり都市公園面積は5.92u/人(茨城県内44市町村中22位)で、 全国平均の8.4u/人と比べても低い値となっている。 さらに、昭和58年に開園した霞ヶ浦総合公園は、開園後約30年が経過し、 施設の老朽化が進行しているなど、市民が安らぐことのできる公園の整備が遅れている。 土浦市では、昭和40年頃から乙戸、 神立、木田余地区など郊外部を中心に住宅地が積極的に造成され、土浦市の発展に寄与してきた。 しかし、それらの住宅地は現在の住環境のニーズには即しておらず、道路や設備の老朽化が見られる。 近年造成されたくつかの新興住宅地は、 人口の増加に寄与した一方で現在その売れ行きは芳しくない。 それらの中で最も未利用地が残っている住宅地がおおつ野ヒルズ(おおつ野地区)である。 川商リアルエステート株式会社が事業者として、 区画整理を行った計画人口6,000人の大規模住宅地だが、 平成10年の分譲開始から12年が経った今でも全区画の4分の1程度しか売れていない。 加えて、工業と住宅地の一体的整備を提案している隣接する工場用地も未利用地が大半である。 このように現在の土浦市の住環境は、 景観や土地の有効活用の観点から改善が求められている。 また、今後土浦市の人口は減少することが予想されており、 進展すると思われる少子高齢化社会に向けてコンパクトなまちづくりが求められている。

【整備計画】

方針

上記のことを踏まえ、私たちは土浦の自然を活かした住環境づくりに重点を置く。 この施策は、 従来の住宅地開発の方針である"東京や市内に職場のある人向け"から、 "土浦に魅力を感じて新たに定住する人向け"に転換することが根底にある。

都市住民移住モデル

"つちうらしさ"を活かした住環境に魅力を感じて、 新たに定住してもらうために2段階での都市住民移住モデルを提案する。

第一段階

導入として、 クラインガルテンを設け週末を中心に土に触れる楽しさを感じてもらうと同時に、 土浦の魅力を十分に理解してもらう。

クラインガルテン…ドイツ発祥の宿泊施設つき滞在型市民農園。 簡易宿泊施設(ラウベ)と農園をセットで借りて、農作業や自然を楽しむ。 都市と農村の交流を目的とした施設が多く、現在は全国に70ヵ所ほどある。 都心に住む富裕層に人気で常時満室状態。

第二段階

クラインガルデンで農業や土浦についての理解を十分に深めた上で、 さらに土浦での生活を楽しみたいと感じた人達へ緑住農一体型住宅での定住を促す。

具体的提案

これまで提案してきた都市住民移住モデルを実施する候補地として、 田村・沖宿地区のおおつ野ヒルズ周辺をあげる。 田村・沖宿地区の豊富な自然資源(里山や蓮田等)を利用し、 おおつ野ヒルズ西側にクラインガルテンを建設する。 さらに、おおつ野ヒルズの中に、緑住農一体型の住宅ゾーンを配置する。 (下図参照)
図3-3 おおつ野ヒルズ位置

「クラインガルテン土浦」建設計画

おおつ野ヒルズ西側の隣接する土地にクラインガルテン(KG)を建設する。 ここに建設するメリットとして、 「東京からのアクセスがよい点」と 「霞ヶ浦や里山の自然が多く残っている点」と「大規模に土地を確保できる点」が挙げられる。 これらは他のKGにはない魅力として考えることができる。 交通アクセスに関しては、国道354号線バイパスが完成することで、 土浦北ICからのアクセスがさらに向上する。 また、KGの運営には地元農家の協力が不可欠である。 この点についても、おおつ野ヒルズ周辺地区には170軒(H17年)と多くの農家が存在する。 KGで重要とされるこれらの地域農家との連携体制も確保しやすい。 さらに、筑波山と霞ヶ浦の景色が同時に楽しめることも利点である。 このように、 クラインガルデン土浦はKGに必要とされるアクセス・地元農家・景観といった3要素を満たしていることや、 県内の他KG(笠間や八千代)が好調に利用客を確保している現状も考慮すると クラインガルデン土浦は十分に全区画の利用者を見込めると考えられる。

事業場所:土浦市田村町地区(約4ha)
(常磐道土浦北ICから約7km)
事業主:土浦市
予想事業費:8億円
利用規模:20区画(段階的に拡大)
ターゲット:首都圏に住む定年帰農者
地区名農家数
田村85
沖宿65
白鳥25
事業計画内容 図3-4 クラインガルデン運営イメージ 周辺農家数




図 3-5 緑農住のモデル(つくば市中根・金田台地区)


3-3.中心市街地

「赤い意図でつながる中心市街地」

【背景】

土浦市の中心市街地は、郊外への大型店の進出、 モータリゼーションの進展などにより、近年衰退が激しい。 中心部の大型店は相次いで撤退し、 その跡地に高層分譲マンションが立地してきていて、景観は崩れ、 地域のコミュニティも衰退し、治安も悪いように感じる。

そこで、私たちは以下の3つの計画を提案する。
  1. 宅地整備事業
  2. 水路整備事業
  3. 中心部における一方通行規制

【整備計画】

@宅地整備事業

方針

中心市街地における高齢化が急速な進展をみせており、 高齢化率は27%となっている。 実際に中心部でヒアリング調査を行ったところ、地域の自治会等の活動も、 昔から住んでいる高齢者の方が中心で、 若い世代の住人はあまり関わっていないようであった。 高齢者の方だけで、地域コミュニティを維持していくには限界があると感じた。 さらに、モール505や中心部の商店街は空き店舗が目立ち、 ヒアリングにご協力していただいた市民のみなさんのほとんどが 「商店街には何も買うものがないからいかない。」と答えていた。 そこで、これらの問題を解決し、 再び土浦の中心市街地に元気を取り戻すためには、 新たな住宅を供給し新住民を呼び込み、 地域のコミュニティを意図的に形成しなおす必要があると考えられる。

整備内容

対象地区:大和町北地区(図3-6)、川口町周辺
対象地区世帯数:405世帯(平成22年1月1日現在)
目標将来世帯数:600世帯(※平成42年時)

上記の目標数を達成するために、第一段階として、 図3-7のようなモール505の住宅化を提案する。 モール505を住宅化した際、表3-2より、 およそ85戸と目標の半数近くを供給できると想定される。 また、モール505を住宅化する際、 その住宅の形態としては中心市街地に需要の多い 「分譲型コーポラティブ住宅」とする。 ターゲット層としては高齢化の進む中心市街地において 新たな居住者層を取り入れるため子育て世帯を対象とする。 また、モール505を住宅化する際に高架道路からの騒音問題などが想定されるが、 これは防音シャッターなどハード面で十分に対応できると考えられる。 また、周囲より低価格での住宅供給を行うかわりに 地域活動への積極的参加を促し、 地域コミュニティの形成をはかる。 このモール505の住宅化整備により、 新住民が加わった新しい地域コミュニティが形成された後、第二段階として、 対象地区に新たな住宅を整備していく。 このことにより、20年後目標世帯数である600世帯を達成する。

図 3-6 住宅地整備地図 図 3-7 住宅地整備

A水路整備事業

方針

土浦市の中心市街地は以前水路が張り巡らされていて、 水の町としても有名であった。 その水路が埋め立てられる前までは、中心部と霞ヶ浦はつながっていて、 市民にとっても霞ヶ浦は現在と比べて、 身近な存在であったということがヒアリング調査より明らかになった。 現在、土浦市の中心部には緑地環境が非常に乏しく、 市民の憩いの場が亀城公園付近まで行かないとない。 ヒアリング対象者の一人である川口に住む30代女性の方は 「子供を安心して遊ばせる場所がほんとになくて困っている。」 とおっしゃっていた。そこで、先の宅地整備事業と平行し、 中心部と霞ヶ浦をつなぐ水路を整備することで、 よりよい住環境の創出を目指す。


図 3-8 土浦市水路

整備内容


図 3-9 水路整備箇所

整備計画経路:桜川→桜町2丁目付近→中心部→モール505→霞ヶ浦(図3-10参照)
整備計画経路の現状として(3-9参照)
桜町2丁目付近:道路の間にほとんど利用されていない公園のようなスペース
モール505周辺:中心部の住宅地であり、 小中高生の通学路としても利用されているにも関わらず、 交通量が多いなどの問題が挙げられ水路を整備することで 図3-10のように中心市街地に緑を取り入れた空間を創出する。


図 3-10 水路整備地図

桜川に図3-10のような取水口を新たに設置し、中心部へ水を引く。 桜町2丁目付近は道路の間の使われていない公園のようなスペースを 図のように整備することで、市民の憩いの場として整備する。 次に、桜町2丁目付近からモール505にかけては交通量が多く、 土浦市内の主要な道路なので、地下水路とし、川口まで水路を引く。 さらに、モール505周辺においては図のようにモール505に沿って水路を整備し、 霞ヶ浦までつなぐ。水路整備の事業費は約○○円になっている。 この区画は宅地整備事業の対象地区にも設定しているので、 周辺住民にとっての憩いの場としても整備し、 宅地としての魅力も向上させる。

B中心部における一方通行規制

方針

現在125号線が土浦の中心市街地を縦断するように通っているため、 中心部への車の流入、通過交通による慢性的な渋滞が発生している。 そのため、歩行者にとって快適な空間として整備されておらず、 また子供や子育て世代、 高齢者といった交通弱者にとって安心して歩ける空間の創出が必要となってくる。 そこで、 中心市街地において今後それらに配慮した対策を採っていく必要があるといえる。

整備内容

国道125号線の一部(ウララ前〜川口町交差点)を一方通行化し(図3-11の赤い線) 、自動車の交通量を規制する。 また、一方通行化とともに歩道を拡張し、 安心・安全な歩行者の空間を確保する。 歩道拡張における事業費は、表3-3のようになる。 一方通行化による中心市街地での交通量の影響については補完計画でふれる。

工事費用:640万円


図 3-11 一方通行箇所

高齢化の急速な進展がみられる中、 モール505を住宅化することによって新たな居住者層を取り入れることができ、 現在の地域コミュニティを継続的に維持するだけでなく、 新たな地域コミュニティの形成していくことが可能となり、 地域経済の向上につながると考えられる。 そして、その新たな居住者層を確保するためには、 霞ヶ浦を活用して水路を整備するなど良好な住環境を整備し、 さらに安全な歩行者空間の確保を行う必要がある。


3-4.医療・福祉

「白く輝く医療・福祉」

【背景】

現在、土浦市における医療施設の中核機能を果たしてきた土浦協同病院が、 手狭さや老朽化を理由に移転を計画している。 同病院の移転は周辺地域への影響を考えると、 土浦市にとってとても重要な事項である。 2010年2月10日(茨城新聞より)時点では移転先の候補地としては、 市が薦める候補地は@真鍋一丁目の中川ヒューム管工業土浦工場跡地 とその周辺地区で面積が約十一ヘクタール、 A病院現在地を含めてその南側隣接地と中川ヒューム管土浦工場跡地 の一部で面積約十四ヘクタールである。 それに同病院を運営するJA県厚生連が候補地として挙げる Bイオン土浦ショッピングセンター近くの上高津・宍塚地区1箇所 を加えた計3箇所が挙げられているが、 まだ決定には至っていない。 それらそれぞれの候補地の課題としては、候補地@は高圧線(鉄塔)があり、 医療施設やヘリポートへの影響、 工場で製造された製品の土質への影響が懸念されこと、 Aは@の課題に加え土地が不整形であること、 車両の進入路が限定されること、住宅の移転、市道の移設など、 Bに関しては中心市街地の空洞化を加速させてしまうこと や農地を転用するには手続きに相当の時間がかかることである。 さらに現在挙げられている候補地には上記のような課題があることに加え、 土浦にある自然資源を生かすのに最適な場所とは言えず、 私たちのコンセプトである「都市機能と自然資源の共生」には合っていない。 また、社会的背景として高齢化の進展に伴う医療費の増加や活力の低下が 問題視されており、 それへの対処として病気や怪我の予防を積極的に行っていくことが 重要になってきているということを踏まえ、 この移転計画に替わる私たちのコンセプトに合わせた 新たな土浦協同病院移転計画を提案する。

【整備計画〜新土浦協同病院移転計画〜】

移転計画地

"川口運動公園と京成ホテル跡地を合わせた地区"
選択理由として、立地環境においてこの場所はJA県厚生連の要望である 建設面積10haが確保できることに加え、 土浦駅から近いため利用者のアクセスがしやすいことや 中心市街地への好影響が期待できること、 霞ヶ浦に隣接しており自然資源を有効的に活用できることが挙げられ、 私たちのコンセプトである「都市機能と自然資源の共生」 に合った移転場所と言える。 また現在の病院所在地との距離はあまり離れていないため、 提案する移転計画によって土浦市周辺の患者が病院へ来づらくなる という懸念はないと考える。 さらに、現在市が薦める候補地ではヘリポートの問題が挙げられているが、 我々が提案する移転地は隣が霞ヶ浦であるため、 ヘリの出入りに支障をきたす恐れはないといえる。 移転可能性としては、川口運動公園は老朽化が著しいことに加え、 土浦市は運動公園機能を移転させる目的に、 常名地区に新たな運動公園用の土地を取得しているため、 その土地への移転を推し進めることで、 川口運動公園の代わりとなる施設を整備できると考える。 京成ホテル跡地に関しては、近年の不況により、 進められていた開発事業が凍結されたままとなっているため、 その土地の有効活用が期待できる。 このことから提案する地区への移転可能性は十分にあると考えている。


図 3-12 一方通行箇所

整備内容

霞ヶ浦をやすらぎ空間の創出に活用し、リハビリや散歩、 コミュニケーションなどをするための入院患者・来客者用の広場を設置するほか、 病院周辺に病気や怪我の予防のための健康遊具などを設置した 一般市民用の公園を整備する。 これにより、入院患者などのストレス解消が期待できるうえ、 病院内の人だけでなく、市民に対しても開かれた病院となり、 市民に公園を使ってもらうことで市民の健康増進にもつながる。 そして、より快適な医療・福祉が実現できると考える。


図 3-13 病院周辺イメージ