現状分析

第1章 地勢
 土浦市は首都・東京より
70q,県都・水戸市より30q,霞ヶ浦の西に位置する.近隣のつくば市,牛久市とともに「業務核都市」に指定され,首都機能の一翼を担う.近世には霞ヶ浦を利用した水運で栄え,さまざまな物資が江戸に運ばれた.また,交通環境にも恵まれ,成田国際空港へは40qの距離に位置し,JR常磐線,常磐自動車道が市内を貫通する.数年後には近隣のつくば市,阿見町に首都圏中央連絡自動車道も開通予定であり,千葉方面,埼玉方面へのアクセスが改善される.国道も関東と東北を結ぶ国道6号をはじめ,市内を北西から南東へ横切る国道125号,東西に走る国道354号がある.これらは主に土浦駅西口の近辺で交わり,交通の要衝であるとともに渋滞の発生ポイントとなっている.

図1-1 東京からの距離
図1-2 土浦市主要交通路

第2章 人口・世帯
 平成212月現在,土浦市の人口は14930人となっており,世帯数は55787世帯となっている.人口の推移はほぼ横ばいであるが,世帯数は増加傾向にあり,世帯当たりの人数は減少している.年齢別人口はつぼ型となっており土浦市においても少子高齢化が進行している.高齢化率は18.5%であり,今後とも増加傾向が見込まれる.地区別には新治地区および中心市街地において高齢化率が20%を超えており,農村部での高齢化,中心市街地での高齢化が進んでいる..

図1-3 年齢別人口
図1-4 地区別高齢化率
図1-5 土浦市人口推移

第3章 産業
■就業状況
 土浦市の産業別就業者数の割合を見てみると,全国・茨城県と比較して土浦市は第一次産業就業者割合が少なく,第三次産業就業者割合が多いことが分かる.特に第三次産業就業者割合は茨城県で水戸市,つくば市に次いで3番目に多い.

■農業
 農業産出額は96.8億円で県内67市町村中17位である(平成16年度統計).生産品目としてはまずレンコンが挙げられる.茨城県はレンコンの生産量が日本一で,全国の3割,東京市場ではシェア9割が茨城県産である.その中で最も代表的なものが土浦産のレンコンである.土浦はその他にもグラジオラス・アルストロメリア・菊などの花き,米,果樹,野菜などを生産しているが,農家数・経営耕作面積ともに年々減少傾向にある
 新治地区では特に農業が盛んで,第一次産業就業者割合は土浦地区が3.1%であるのに対して新治地区は13.4%となっている.また,特に顕著に見られるのが農業従事者の高齢化の問題である.土浦市の年齢別農業従事者数を見てみると65歳以上の割合が全体の40%を占めている(1-5).今後少子高齢化が進むにつれて,農業従事者の高齢化,担い手不足の問題はますます深刻化するだろう.また,農業離れの進行に伴い遊休農地の増加なども考えられる.土地の有効活用の方法もまた考えるべきであろう.

図1-6 産業別就業者人口割合
図1-7 農家数・経営耕地総面積の推移
図1-8 年齢別農業従事者数の割合(販売農家)

■工業
 製造品出荷額は6,119億円で県内52市町村中5位となっている(平成1712月末).これは近年増加傾向にある(1-6).生産品目としては一般機械がおよそ4,200億円で全体の68.7%を占めており,次いで非鉄金属,食料品となっている.神立地区には工業団地が集積し,土浦市の工業の中心となっている.

図1-9 製造品等出荷額・従業員の推移

■商業
 商業販売額は5,530億円となっており,水戸市,つくば市に次いで県内3位となっている.総売場面積20.7haに対して大規模小売店舗の総売場面積は13.8haで,大規模小売店舗が全体の66.7%を占めている.また,2009年春には上高津地区に新たにイオン土浦ショッピングセンターがオープンする予定で現在工事が進められている.売場面積は約6haで商圏人口は車で30分圏内を見込んでいる.車で30分圏内を15qと想定し,つくば市研究学園のイーアスつくばとともに商圏の円を描いた(1-7)ところ,2つの店舗の商圏の大部分が重なっている様子がわかる.将来,土浦市中心市街地とは勿論,つくば市との競争が予想される.

図1-10 イーアスおよびイオンの商圏

第4章 環境
 土浦市には全国第2位の面積を持つ霞ヶ浦がある.ここでは土浦を代表する環境資源でもある霞ヶ浦の水質を湖沼の水質指標のひとつであるCOD(科学的酸素要求量)とりんの経年変化,また霞ヶ浦に対して環境基準法によりそれぞれの指標に与えられた,環境基準値を図1-8に示す.また同様にそれぞれの水質指標における汚染要因に示す.

 COD(科学的酸素要求量)/目には見えない水に溶けている汚れの度合を示すものであり,水中の汚濁物資を化学的に酸化・分解するために必要な酸素の量のこと.この数値が大きい(=酸素がたくさん必要)ほど汚れの度合いは大きいと考えられる. 湖沼や海域など水の滞留時間の長いところでは,有機物や溶存酸素の消費・生成が行われるため,BODでは水の汚濁度合を正しく測定できない可能性があり,CODが指標として用いられている.

環境基準値/水質の環境基準は,環境基本法に基づいて定められたもので,人の健康を保護し,生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準とされている.環境基準のうち,生活環境項目については,利水目的に応じた水域類型を設け,それぞれの水域類型ごとに,pHCOD等の項目について基準値が設定されている.

図1-11 経年変化で見る霞ヶ浦の水質
図1-12 水質汚濁要因別負荷割合

第5章 交通
 交通需要予測ソフトJICA-STRADAと都市経済予測ソフトCUETを用いたシミュレーションにより,現在と将来の渋滞予測を行った.まず,図1-10で現在の道路状況を示す.このシミュレーションによると,現在土浦市内で混雑が発生している地点は荒川沖の国道6号,および土浦駅西口の国道125号の2か所(黒の点線で囲んだ地点)となった.

次に,計画の目標年次である2029年には現在計画中の道路がすべて計画通りに完成したと想定し(※)シミュレーションを行った.国道6号土浦牛久バイパス開通の影響からか,荒川沖の混雑は改善された.しかし,土浦駅西口の混雑は依然解消されていない.

  シミュレーションに反映させた点
  
現在計画中の道路(首都圏中央連絡自動車道およびアクセス道路,国道6号   牛久土浦バイパスなど)の全通.
   現在計画中の3,000u以上の商業施設(阿見プレミアムアウトレット,イオン土  浦SCなど)が完成.
  人口についてはTX沿線(つくば市,つくばみらい市,守谷市)はつくば市の予測 にしたがって増加,その他の市町村は土浦市のコーホート分析と同じように減少 すると仮定.地区全体で4,000人減少と仮定.


図1-13 現在の道路状況
図1-14 2029年の道路予想

また,この土浦駅西口に集まる交通の内訳を調べた.下表が示すように内々交通が占める割合が圧倒的に多い.沿線の商店街や駅の利用が主な目的だと考えられる.

図1-15 2029年の土浦駅西口道路予想
表1-1 2029年の国道125号最混雑区間の1日当たり通過台数

■地域通貨とコミュニティバス「キララちゃん」
 土浦市内ではNPO法人「まちづくり活性化バス土浦」が「キララちゃん」というコミュニティバスを運営している.NPO法人がコミュニティバスを運営するという事例は全国でも珍しい仕組みであり,またこのコミュニティバスと商店街を結ぶ仕組みとして地域通貨「キララ」というものを発行している.コミュニティバスは中心市街地の活性化という目的を持って運行されており,それに付随して発行されるキララも同様の目的を持つ.現在のシステムと現状は以下のようになっている.

@キララちゃんに乗車し,当日乗車証明券を受け取る
A協賛店で1000円以上の買い物をすると,上記券と引き換えに100キララ発行
B100キララを100円分の乗車券としてキララちゃんにて利用可能

図1−17 土浦市路線バス
図1-16 キララのシステム

■公共交通機関
 土浦市内には前述のコミュニティバスと関東鉄道が運行する路線バスが走っている.土浦駅からつくばセンタービルや近隣の駅,主要施設に向かうバス路線が伸びている.また,土浦駅西口がターミナルとなっており,国道125号沿いなどの市街地ではかなり密に路線があるといえる.

■教育
 本市には多くの教育機関が集積しており,高校に関しては公立私立合わせ8校が立地し,県南の都市の中で最多である.学業やスポーツで実績を上げている学校もあり,特色ある教育の場が提供されている.また平成17年度国勢調査では市内の高校の在学生徒数は8,798名であり,市内の中学の在学生徒数が4,758名であることから周辺都市から多くの生徒が通学していると考えられる.大学に関しては,市内に1校存在しているが,周辺市町村にも複数の大学が設置されており,相対的に見て土浦で学ぶ学生は少なくなっている.しかし我が国初の学術都市・筑波研究学園都市が隣接していることから,高度な高等教育を受けられる環境にあり,教育環境は良好である.

表1−2 周辺都市の生徒数

表1−3 中心市街地の商業

図1−18 周辺都市の生徒数

■中心市街地
 近年の相次ぐ大型店舗の撤退等の理由により,表1-3の通り,中心市街地での商業機能が低下している.かつては,近隣の市町村から買い物に訪れる人々が多く,駅から北の商店街「モール505」に向かうように歩行者が流れていた.しかし再開発ビル「ウララ」の出現後,駅前の3つの百貨店及び大型スーパーが閉店し,既存の商店街も衰退していった.また,近年のモータリゼーション化に伴い土浦市郊外や近隣市町村のロードサイド化の影響で,駐車場代のかかる土浦駅前市街地に買い物に来る人も減った.その結果,駅とウララ間はある程度の人通り,賑わいが見られるが,反対に商店街を歩く人の姿は減少し,寂しい空間となってしまっている.また,TXの影響(H17開通)もあり市内のJR利用客数も年々減少傾向が見られる

図1-19 JR市内駅別乗客数