地区ごとのまちづくり
我々は土浦市を5地区に分けてそれぞれの特色を生かしながら、
福祉を充実させていくという視点と一緒に都市計画を行っていくことにした。
1.新治地区
もともと新治村と呼ばれていた地域が2006年に土浦市と合併してできた地区。
筑波山麓に位置し、スカイスポーツが盛ん。しかし、公共交通が充実していないという大きな課題がある。
【現状】
新治地区は北部の筑波山麓地帯から扇状に中部の畑作地帯が続き、西部にはつくば市との境を流れる桜川沿いに肥沃な水田地帯が広がった農業の盛んな人口9017人、広さ31.99km2の地区である。農業としては、水稲、ナシ、ブドウ、クリ、カキの栽培が盛んであり、土浦市の中でも農業に特化された地区と言える。
新治地区における作付面積は4148a、作付け農家数は1315戸であり全世帯数の52%を占めている。(全世帯2531戸)
また、高齢化がかなり進んでおり地区人口の24%を65歳以上の高齢者が占めている超高齢化社会というのが現状である。
農業を営んでいる割合が高いということから自家用車は所有していると予想できる。よって公共交通を必要とするのは自動車を運転しない高齢者や交通弱者、
また学生(通学に利用)であり、これらの人々をメインターゲットとし、新治の公共交通を考えることにした。
そこで、高齢者や交通弱者にとって最も手軽で使いやすい公共交通はバスであることより新治地区におけるバス交通について調査をしたところ、土浦駅から下妻駅をつなぐバス路線のみが新治地区を通過することがわかった。
【提案】
下図より(鎖線部分が新治地区)地区の中心は通過するが、北部・南部はバス路線がなく公共交通は不足している。
また、新治地区における高齢者と学生の人口割合を地図で表してみたところ、下図のようになった。
確かにバス路線がある地域に多くの住民が生活をしているが、南部や北部に多くの公共交通を必要としている住民がいることもわかる。
そこで新治地区の現況を考慮した結果、路線バスを新設するのではなく、デマンドバスを提案する。
【デマンドバスとは】
デマンド方式ともいい乗客の需要に応じて運行する公共交通の新形態である。デマンドバスにもさまざまな形態があり、
@乗客の需要に応じて運行する基本路線の外に迂回路線を設定する方法。
A乗客の需要を把握し、新しい路線をその都度設定し運行する方法。
などがある。
【土浦市にヒアリング】
また、土浦市の都市計画課にお話を伺ったところ、現在土浦市でデマンド型福祉交通「のりあいタクシー土浦」が平成19年4月から運行し始めているが、
対象が高齢者に限られてしまっている点や会費が高いことより会員数の普及に伸び悩んでいる。
また、今回対象の新治地区においても会員数の伸び悩みが問題とされている。しかし、対象に学生を含んで提案をすることで今までとは異なる変化が生み出されるのではないだろうか。
デマンドバスの会員数は伸び悩んでいるが、市の方針としてはデマンドバスの普及に力を注いでいきたいとの積極的なコメントも聞くことができた。
さて、新治にデマンドバスを提案する上で述べてきたデメリットや、現状の伸び悩みを克服する必要がある。
ここで私たちが提案したいデマンドバスの方式を「にいはり方式」と新たに名づけた。
<にいはり方式デマンドバス>
登校時間や下校時間帯は学生専用の学校循環バスとして運行し、その後病院や商店が開業する時間帯に一般の予約を受け付けることで乗車時間の不安定さに対応。
2.神立地区
駅前から亀城公園を範囲とした歴史的まちなみという資源をもつとともに衰退が進行しているという課題を抱えた地区となっている。
【現状】
神立地区には工場が多く立地している。それに伴い、工場労働者のための住宅が必要となってくるため、
社宅も多く存在している。しかし、社宅の多くは外見が汚く、所々に空き部屋が見られ、賑わいが少なく、住宅としてはよくない状態であるといえる。
神立地区に大規模な工場を所有する日立建機に社宅の入居率(入居者数/収容能力)に関してヒアリングを行った。日立建機土浦工場総務部長の長谷川さんによると
社宅の収容能力は248世帯。工場の従業員1700人のうち社宅入居者は106人であるという。つまり、入居率は42.7%。入居者比率(入居者数/従業員数)は6.2%となる。
社宅入居率はほぼ横ばいで推移していると長谷川さんは話している。
一方神立に存在する公営住宅の入居率はほぼ100%となっている。このことから公営住宅の需要はかなり高いといえる。
【提案】
老朽化したまま放置されている社宅はそのものの住環境の魅力を低下させ、さらに入居率が低下。結果、老朽化し、さらに魅力が低下してしまうこととなる。
そこで我々は私企業の社宅をリニューアルし、マンションとして開放することを提案する。
これにより、社宅そのものは団地としての魅力を再生し、入居者であふれる住宅となることができる。地域に対しては良質な住宅をさらに多く供給することができ、神立地区における住宅の自由度が増し、社会福祉の実現が可能となる。
社宅を所有する企業に対しても家賃による収入があるというメリットがある。
課題としては、私企業の所有物である社宅に行政がどこまでかかわることができるか。
リニューアルの間、社宅の入居者の暫定的な住居をどうするかといった問題がある。
これらの課題の克服のためには、市が積極的に企業と居住者の仲介に勤めることが求められる。
【まとめ】
マンションの整備により、神立地区をより住みやすいまちへと整備し、地域住民の親密なコミュニティの形成をはかることができると考える。
3.中心市街地
駅前から亀城公園を範囲とした歴史的まちなみという資源をもつとともに衰退が進行しているという課題を抱えた地区となっている。
【現状】
この地区には古来茨城県南部の商業都市として栄え、江戸時代には霞ヶ浦という背景から水運が盛んになった。
その後も旧日本軍が基地をおき、軍都として栄えることとなった。
しかし、ここ数十年でこの地区に軒を連ねていた大型商業施設は郊外に出店した商業施設に客を奪われてしまった。
それによって次々とこの地区から商業施設が撤退していき、昔にあった賑わいは失われ空洞化が進展していった。
この地区には江戸時代から続く町並みが現存しておりこの歴史的資源と地区を走るコミュニティバス「キララ」ちゃんバス、
そして中心地であるこの地に住むまちなか居住者がいるという条件から「トランジットモール」の導入を提案したい。
中心市街地の一部の道路を歩行者専用道路にすることによって車の脅威にさらされずにまちあるきを楽しむことができる。
トランジットモール実施地区
【メリットとデメリット】
メリットは先にも述べたとおり
@ 自動車と歩行者が接触することがない
A 子供や高齢者も安心してまち歩きを楽しむことができる
などが挙げられる。
一方デメリットとしては
@ 自動車乗り入れ禁止によるアクセス制限
A トランジットモール化に伴う迂回による交通渋滞の発生
B 公共交通と共生する歩行者の安全確保
ということがあげられる。
特にJICAによる交通量分析によるとこの地区を自動車専用道にすることによって閉鎖した道路の南側に交通が集中し新たな交通渋滞が発生している。
しかし、現状でも交通渋滞は発生しており、しかも2車線の道路で発生している。
あらたに渋滞となったところは4車線の道路であるので通過交通の多い道路となっていることが予想される。
4.荒川沖地域
駅前から亀城公園を範囲とした歴史的まちなみという資源をもつとともに衰退が進行しているという課題を抱えた地区となっている。
【現状】
この地区には古来茨城県南部の商業都市として栄え、江戸時代には霞ヶ浦という背景から水運が盛んになった。
その後も旧日本軍が基地をおき、軍都として栄えることとなった。
しかし、ここ数十年でこの地区に軒を連ねていた大型商業施設は郊外に出店した商業施設に客を奪われてしまった。
それによって次々とこの地区から商業施設が撤退していき、昔にあった賑わいは失われ空洞化が進展していった。
駅東側では阿見町との町境が入り組んでおり密接な結びつきがある。また交通量の多い国道六号線がすぐ西側を南北に通っていて、沿道にはロードサイドショップが林立している姿を見ることができる。
また駅東側には自衛隊の基地が立地しているが、これは昔、戦前から日本軍の海軍基地があったということが関係しており霞ヶ浦沿岸には旧日本軍の施設などが現存している。
また北東側には多くの一戸建て分譲住宅地がありまた団地なども点在している。このことから20年後や30年後に局地での高齢化が心配される。
【提案】
土浦市が行ったこの地区(詳しくは六中地区)について住民が望む
優先施策についてのアンケートでは「公共公益施設の整備」が30.3%、「駐車場の整備」が18.2%、「バスなどの交通機関の整備」が13.1%、「買い物環境の整備」が同じく18.2%という内容であった。
このことを受けて私達は駐車場の整備は我々の目標である福祉に重点を置いた施策(交通弱者への配慮や事故増加を防ぐといったこと)に対してそぐわないと考えた。
また「買い物環境の整備」は交通の整備が進めば補完できるところがあるとしそれに対する施策は行わないことにした。
ここでは「公共公益施設の整備」と「バスなどの交通機関の整備」に関する施策を考えた。
1.福祉特化型循環バスを導入
既存路線では市内南にある総合病院にいく場合地域によっては乗換えが必要な場合もあり、
本地区に多く立地する戸建て分譲住宅地と総合病院を結んでいく交通手段にかけると考えた。
この場合このような分譲住宅地では局地での高齢化が心配されるため未来を見据えて施策をする今回では早期に解決するべき問題であると考えた。
大まかなルートとしては各住宅地を経由して霞ヶ浦総合公園を通り「霞ヶ浦医療センター」と「三輪会山手医院」を経由するといったもので、病院にも運動にも便利な循環型のバス路線である。
この場合、現状では少子高齢化が進んでいるのでこれからより重要な路線になるのではないかと考えられる。
ある程度の需要を見込めるかどうかを調べるために路線が通る地域の人口を町丁目別に出して合計したところ、約35000人居住していることがわかった。
このように多くの人口を抱える地域ならば運行は可能であると考えた。
この路線によって交通弱者になった高齢者が不便なく各施設を利用できると思われる。
2.新図書館設置
「公共公益施設の整備」として図書館新設を提案したい。土浦駅東口再開発地区に図書館が新設される。
がしかし土浦市中心部に二つ図書館があるとしても花室川沿いから役3.6kmと若年層なら歩ける距離だが
高齢者に歩く距離には厳しいものがあり本地区の住民からはやはり気軽に行ける距離ではないことは確かだ。
また土浦市民一人当たりの蔵書数が1.5冊/人、つくば市のそれが3.5冊/人ということで一人頭2冊も少ないという事実がある。
図書館第三分室が駅北西側にあるが、しかし利用者の中に
はここへ向かう途中、交通量の多い国道六号線を渡らなくてはならないため歩行者などの交通弱者にとっては利用しにくい位置にあり、
また分室ということで十分なサービスが受けられないといった点もある。
そこで我々は土浦駅東再開発地区に新設される図書館と第三分室の間、花室川近辺に蔵書数1万程度の図書館を新設するという提案を考えた。
これは近くに住宅地が多いことや、ちょうど先の二つの図書館の間にあるので利用者が図書館を利用する際に移動する距離を縮めることができる。
さらに、今まで第三分室を利用するために国道六号線を渡っていた利用者には自動車との接触機会を減らすことが期待できる。
【まとめ】
このようにして荒川沖地区に以上の施策を行うことによって、今後住宅地に増加していく高齢者にとって便利なバス路線が整備され、
今まで長い時間をかけて図書館を利用していた住民には図書館が整備されて自動車との接触機会が減り安心して利用が可能になるということが言える。
5.親水空間
前述されているように豊富な親水空間をいかに活かすかについてだが、ここでは未利用の河川敷の整備、という点に着目した。
【現状】
土浦市の一人当たり公園面積は5.91uで、全国平均の8.70uを大きく下回る。また表からも分かるように土浦市の公園の整備状況は決して十分なものとは言えない。
【まとめ】
提案にもあるように未利用の河川敷を整備して新たな都市公園とすることによって下のような効果を生み出すことができる。
実際に現在未利用である河川敷を整備して都市公園にすることによって、土浦市の一人当たり公園面積は下図のように全国平均のそれを上回ることになる
良好な住環境の創出、子供の遊び場や運動場としての公園のもつ役割は土浦市においても非常に大きいものである。
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