1-1 土浦市 の概要

 

土浦市 は H18 年 10 月現在、人口 143,703 人、面積 113.82km2 を有し、隣の つくば市 とともに茨城県南の中心都市の機能を果たしている。現在、 つくば市 、 牛久市 とともに 土浦市 は、業務核都市に指定されている。

土浦の歴史は、古くは、室町時代の土浦城(現在の亀城公園)の築城にさかのぼり、江戸時代には、水戸街道、霞ヶ浦の水運によるこの地方の一大交通拠点として栄えた。近代に入り、常磐線 開通後も土浦駅 ができるなどして県南地域の中心地としての役割は不動であったが、筑波研究学園都市が完成するとその発展にかげりが見え始め、昨年の TX 開通により、衰退に拍車がかかる。

 

1-2  人口フレーム

 

Cuet を用いた人口予測では 2010 年には 土浦市 の人口は 127117 人、 2015 年には 126043 人になると出た。 土浦市 では近年人口は上昇傾向にあったが全国的な少子高齢化の波もありこれ以上増えることはないと考えられる。

 

1-3  商業

1-3-1  就業人口                     

全体的な労働者数は、減少。全国的な傾向と同様、第 1 次、第 2 次産業は減少し、第 3 次産業が増加傾向にある。

表 1-1 土浦市 の産業別人口


H7

H12

第 1 次産業

3419

2950

第 2 次産業

20736

19331

第 3 次産業

49233

50313

合計

73388

72594

 

1-3-2 土浦市 の商業                 

表 1-2  土浦駅周辺の商業施設


<土浦駅周辺>

西友

現在は駐車場。マンション建設予定。

地上百貨店小網屋

マンション建設中。

東武ホテル

ベルズ・イン(建設業者が営業するシティホテル)

丸井

パチンコ、居酒屋(夜間営業なので昼間は人がいない)

京成ホテル

2007 年 3 月に撤退。その後、霞ヶ浦を望むスパ・リゾートホテルに。

 

 駅前にある大型のショッピングセンター( URARA )があるために、人の動線が少し離れた商店街まで向かない。商店街はシャッターの下りている店舗が多く見られた。相次ぐ大型の商業施設の撤退のあとには、マンション建設が進んでいる。中心地居住者が増えることは望ましいが、マンションの 1 階部分には商業系施設が入らない場合が多く、道路沿いの商店の連続性が途切れてしまうことが心配される。また、モータリゼーションによって、郊外の大型店を利用する人が多くなっている。郊外にはロードサイドショップ(ドン・キホーテ、マツモトキヨシ、カスミ、ジョイフル本田、ケーズデンキなど)車で利用しにくい小売店舗やモール 505 は衰退傾向にある。一方、亀城公園近くのエリアではメディアに取り上げられるような店もあり、地域の特色を活かしうまくいっている店舗もある。  今後は増えると予想される中心地人口にいかに、地域商店街を利用してもらうかということを考える必要がある。

<荒川沖駅周辺>

 カスミ荒川沖店を中心とした西口商店街がにぎわっていたが、駅前ショッピングセンター「さんぱる」がオープンしてから衰退し、カスミは撤退。「さんぱる」は駅前という立地の良さもあり、一定の集客を確保している。

<神立地区>

 駅周辺に大きな商業施設はないが、 2 キロ圏内に広い駐車場を備えたチェーンストア(スーパー・カドヤ、イオン)がオープンする。


1-3-3 土浦市 の農業                 

レンコン

土浦市 は昭和45年の水田転作事業以来レンコン栽培が盛んである。元来レンコン栽培に適した低湿性水田地帯であり、現在その生産量は全国1位である。霞ヶ浦湖岸の沖宿、田村、手野、木田余地区と桜川周辺の虫掛地区などに多く栽培されており、主に京浜方面に出荷されている。レンコン麺、れんこんサブレなど、加工食品にも力を入れ、レンコン栽培日本一の土浦として日本全国に発信している。

 

果樹

土浦市 は、みかん栽培の北限であり、りんご栽培の南限でもある筑波山麓に接している。梨、ブドウ、栗、柿の栽培が新治地区を中心に盛んであり、各所に直売所および観光果樹園がある。

 

花き

グラジオラス、アルストロメリア、ヤナギ、バラ、ガーベラなど、花き栽培が盛んである。グラジオラスは茨城県の銘柄産地の指定を受けており(平成2年)、アルストロメリアは茨城県指定銘柄推進産地となって(平成3年)いる。

 


1-3-4 土浦市 の漁業                 

土浦は霞ヶ浦の豊富な水資源に恵まれ、江戸時代以前より漁業が盛んであった。しかし近年、漁獲量は減少傾向にある。この減少の原因としては、水質の変化によって発生するプランクトンなどが変化し飼料を減少させていること、築堤などの開発や透明度の悪化などで自然湖岸・湖岸植生が失われ、産卵場や稚魚などの生育場所の消失してしまったこと、ブラックバス・ブルーギル・ペヘレイなどに代表される移入種との生存競争等が考えられている。

 

表 1-3  霞ヶ浦の水産資源

霞ヶ浦の漁業

霞ヶ浦は、淡水魚から海魚まで豊かな水資源に恵まれ、古くから漁業が盛んにおこなわれてきていた。 1860 年代には、シラウオ、ワカサギの帆曳き網漁がおこなわれるようになり、漁獲量は増加した。 1960 年代後半にトロール漁業に転換するのにあわせて、漁業の主役は、ハゼやエビに変わっていった。

全般的に漁獲量は 1978 年の漁獲量( 17487t )をピークにして減少傾向が続いている。 1998 年には 2000t 台に突入。 2000 年の漁獲量は 2416t であった。

魚種別に見ても減少傾向は変わらず、例えばワカサギは 1965 年には 2595t 、 1980 年代にも 1000t をこえることもあったが、 90 年代初頭には 400 〜 500t 前後となり、 1999 年以降は 2003 年の 106t を除き漁獲は 100t 未満である。 2000 年の漁獲は 51t でしかない。シラウオも一時 300t 前後と回復傾向にあったが 98 年ごろから 100t 前後になり、 2000 年の漁獲量は 95t だった。また、漁獲量の約半分を占めるエビ・アミ類についても減少傾向にある。

図 1-3  霞ヶ浦の水産資源


養殖漁業においては、特にコイの養殖が有名で、かつては全国一の生産量を誇っており、佐久などの他のコイ産地にも出荷していた。しかし、 2003 年のコイヘルペスウイルス( KHV )の流行により壊滅的打撃を受け、翌年には全業者が廃業を決定した。現在、養殖再開に向けた研究が行われているが、再開のめどは立っていない。

現在では、漁業資源の維持を図るため、ワカサギの人工ふ化・放流、うなぎの稚魚放流、えびの増殖施設整備等が進められている。

 

霞ヶ浦の水質保全

霞ヶ浦は昭和38年ごろから藻類の繁殖が顕著になってきており、以降アオコの大量発生、カビ臭の発生が頻繁に起こるようになる。霞ヶ浦の化学的酸素要求量( COD )、全窒素、全リンを水質環境基準に照らし合わせると、 COD は 7.6mg/l (基準値 3.0mg/l )、全窒素 1.3mg/l (基準値 0.4mg/l )、全リン 0.10mg/l (基準値 0.03mg/l )と、いずれも水質環境基準を下回る(平成 10 年)。

この問題に対し、下水施設の整備および普及等、継続的な浄化施策の推進、自然浄化機能を活用した浄化施設の推進などの対策が採られている。しかし平成 18 年現在においても根本的な解決にまでは至っておらず、水質問題は今後の課題であり続けている。


1-3-5 商業における問題点              

以上のより、主に商業について問題点を整理すると、表 1-4 のようになる。

 

表 1-4  商業における問題点


〈土浦中心市街地〉

・駅前にある大型のショッピングセンター( URARA )があるために、人の動線が少し離れた商店街まで向かない
・商店街はシャッターの下りている店舗が多い
・相次ぐ大型の商業施設の撤退のあとには、マンション建設が進んでいる
→中心地居住者が増えることは望ましいが、マンションの 1 階部分には商業系施設が入らない場合が多く、道路沿いの商店の連続性が途切れてしまうことが心配される
・モータリゼーションによって、郊外の大型店を利用する人が多くなっている
→車で利用しにくい小売店舗やモール 505 は衰退傾向
・亀城公園近くのエリアではメディアに取り上げられるような店もあり、地域の特色を活かしうまくいっている店舗もある
→今後は増えると予想される中心地人口にいかに、地域商店街を利用してもらうかということを考える必要がある

〈荒川沖地区〉

・カスミ荒川沖店を中心とした西口商店街がにぎわっていたが、駅前ショッピングセンター「さんぱる」がオープンしてから衰退し
→カスミは撤退
・「さんぱる」は駅前という立地の良さもあり、一定の集客を確保している

〈神立地区〉

・駅周辺に大きな商業施設はないが、 2 キロ圏内に広い駐車場を備えたチェーンストア(スーパー・カドヤ、イオン)がオープンする。


1-4  交通

 

土浦市 におけるモータリゼーションの進展は図 1-4 、図 1-5 の2つによって示されており、それによれば、 H15 年現在1.8人に一台の割合で保有されている。また、図 1-5 からは、 土浦市 、 新治村 を含め、険難地域全体で自動車の利用率が高いことが理解できる。( 土浦市 は 61.5 %に上る。)

図 1-5  発生集中交通量の代表交通手段割合

図 1-4 土浦市 における自動車保有台数と自動車 1 台当たり人口の推移


このように、 土浦市 、 新治村 を含め、県南地域全体で自動車の利用率が高いことが理解できる。(縦方向に国道 6 号、常磐自動車道が走り、水戸、都内へのアクセスに使用される。横方向には国道 354 号、 125 号があり、稲敷、鹿島、つくばへのアクセスに用いられる。また、近接都市を結ぶ・筑波線、土浦龍ヶ崎線があり、近隣市町村へのアクセスを可能にしている。)

しかし、このように一見、高度なインフラが整備されているようであるが、実情は国道 6 号の幅員の狭さ(片側 1 車線)に起因する、国道6号と、その他の幹線道路との交差点を中心とした慢性的な渋滞が問題となっている。また、 土浦市 中心街は、戦災の被害を受けず、結果として江戸時代からの道路網が残り、なおかつ江戸時代の水路を埋め立てて道路を建設して出来た市街地であり、ゆえに道路が狭く、湾曲している。

図 1-6 でも示されているが、混雑もひどく1.2を超える混雑度スポットが多数存在する。

全体としては、主要幹線道路の多くで混雑度が1.0を超えるなど、全体的に道路混雑が激しい。その対策として、国道6号、354号などのバイパス整備が進められている。しかし、都市計画道路の全44路線のうち、 19 路線が未着手であるなど道路整備状況は難航している。

図 1-6  交通混雑状況

(注:混雑度=交通量 / 道路容量)


1-5  観光

 筑波山に対する全国的な認知度はあるものの、土浦・かすみがうら周辺地域は千葉や茨城などの周辺地区にしか認知度がない。そのため、日帰り旅行が中心となった観光客しか誘致できていない。

 こうしたことを踏まえ、土浦・かすみがうら周辺地区の全国的な認知度の向上を目指すことが必要だと思われる。また、比較的認知度の高い筑波山を具体的な観光ルートに取り入れさらなる集客を目指していくことが必要とされている。

 

 

図 1-7  観光ルートの構築

 

1-6  福祉・教育

統計によると、年少人口 (14 歳以下 ) と生産年齢人口 (15~65 歳 ) は年々減少し高齢者人口は増加してきている図19より ) 。全国的な少子高齢化は 土浦市 も例外ではないことがわかる。 土浦市 は「第6次 土浦市 総合計画」で『「生き生きと輝く人と環境にやさしいまち土浦」を目指して』としており、児童福祉、母子・父子福祉、障害者福祉、高齢者福祉、シルバー人材センター等の社会福祉を率先して行っている。また、医療についても緊急時の連絡先や、休日担当医などを市報等で連絡をしている。

図 1-8  地域別高齢者の割合

土浦市 には大学2校、公立高校5校、私立高校3校、公立中学校8校、私立中学校2校、小学校20校が存在している。これは茨城県の中では比較的多く、高等学校の大学進学率は上昇傾向にある。中でも土浦第一高等学校の進学

率は県内でも高い。

図 1-9  年齢別人口の割合