W.重点整備計画

図4-1.重点整備計画概要


 私たちはSEITCHの頭文字からそれぞれ6つの重点整備計画を提案する。  6つの提案は先に述べた4つの基本方針の延長上にある。




W−T.みずうみ特区制度

W−U.学生割引制度の導入

W−V.高校の空き教室を利用した高齢者施設の設置

W−W.農業インターン

W−X.空き蔵の再活用

W−Y.デマンドタクシーの導入





W−T.みずうみ特区制度

【目標】

駅から霞ヶ浦を望めるまち


【提案】

 現在の土浦駅を改修して、5階建てにする。  さらに、現在駅の東側に広がっている地区一体をみずうみ特区と名付け、 建築規制をかけて高層物件を建築できないようにする。  みずうみ特区内には図のようにプロムナードを通し、 道の脇に土浦市の花である桜の木を整備する。  プロムナードは霞ヶ浦まで直結し、 突き当たるところから桜川を跨いで霞ヶ浦総合公園方面に橋を渡す。


図4-2.みずうみ特区


図4-3.土浦駅改築案パース図


図4-4.プロムナード整備前


図4-5.プロムナード整備後イメージ図


【効果】

 駅を5F建てに改修することによって、駅東口から霞ヶ浦を眼前に臨めるようにし、 訪れる人々に対して【土浦市の顔、霞ヶ浦】を印象づける。  また、増床した部分に魅力的なテナントを誘致し、駅自体の集客力向上も図る。  みずうみ特区には高さ制限が定められているため、 全面ガラス張りとなる東口からの眺望が確保される。  駅と霞ヶ浦を直結するプロムナードは、来訪者の霞ヶ浦へのアクセス向上を果たすと共に、 人々の憩いの場としても機能する。

 更に、霞ヶ浦と突き当たる地点から橋によって 霞ヶ浦総合公園に行くことができるようにすることによって、 水と緑が連携した回遊性を持ったプロムナードを実現する。


図4-6.年間観光イメージ図


【駅の改築に関する考察】

・駅の改修

 駅の改修費用:約336億5550万円

 最近新築した「本庄早稲田駅」の建物のみの建設費用が115億2700万円であったので、 1uあたりの建築費は841万円と算出。  改築する土浦駅の建築面積が約4000uであるから 駅の改修費用を約336億5550万円と計算した。

 なお、改築する駅のイメージが本庄早稲田駅の建築面積のみを変えた規模のものを 構想していたので、本庄早稲田駅を改修費用を調べるためのサンプルとした。


・費用対効果

 平成17年度観光客動態調査のデータから今後の霞ヶ浦の観光客数を短期予測した。  この時観光客数が右肩上がりに増えているというトレンドは 今後の4年間も続いていくと仮定する。平成17年に年間7298000人だった 観光客が平成19年には8814076人に増加している。

 駅が改修されない場合、平成23年の観光客動員数は10247390人という予測データが得られる。

 平成17年にTXが開通したことによりつくば山麓の観光客数は5083000人から5846000人に増加した。  これと同様の事象が駅の改修によってもたらされると仮定すれば、 平成20年に駅が改修された場合、霞ヶ浦の観光客動員数は平成23に11785610人と予測できる。

 平成17年度観光客動態調査によると、茨城県県南の観光客の88%は日帰りであった。  そこで観光収益の増加を見るために、 平成23年の予測観光客数と現在の観光客数の差分に着目する。  増加した3449303人の観光客は以前と同様に88%の割合で日帰りするだろう。

 土浦に観光する場合において、宿泊費20000円、飲食費5000円、 その他お土産等に5000円支払うという行動パターンを前提条件としておいてみた。  増加した年間3449303人の観光客全員が以上の行動パターンととれば H23年の観光収益は今より42767600000円増加する計算になる。  駅の改築費用が約336億5550万円なので約90億の経済効果が生まれることになる。




W−U.学生割引制度の導入

【目標】

若い力を生かして活性化


【提案】

 土浦を学割のまちへとSWITCHさせる。
 学割のまちとは、学生は小中高大学生、また市内外を問わず、 市の中心市街地で学割のサービスが受けられるというものである。


具体的な仕組み

  ・ 学生証を見せれば学割サービスを受けることができる。
  ・ 参加店は学割指定店のステッカーを貼りアピールする。
  ・ 割引の内容は各店舗に任せる。
  ・ 土浦学生モバイルサイトから総合情報、学生の口コミ、
    クーポンなどのコンテンツを配信。


【効果】

 市内外から学生が集まり、 モール505を中心とした中心市街地は活気ある市街地へとSWITCHされる。


【実現可能性に関する考察】

 川内市、桐生市のヒアリング結果から学生数の多い土浦でなら 採算は見込めるということだったので、 短期的な目標として大いに実施可能性がある。  民間業者のモバイルチラシの事例から、 初期費用を含めても1万円程度でコンテンツを配信できる。


図4-7.学割イメージ図





W−V.高校の空き教室を利用した
                 高齢者施設の設置


【目標】

 自発的な世代間交流の促進


【提案】

 空き教室をデイサービスセンターとして高齢者に開放する。
 高校数が特に多い2中地区において、新治地区や神立地区の高齢者施設と提携し、 月に数回高校生との交流機会を設ける。


 土浦市の将来推計人口を算出すると、 2037年のアクティブシニア層(60歳〜84歳に設定)が43,344人で、 これは土浦市の総人口の30.2%を占める。
 このように全国的な少子高齢化や、団塊世代の集団退職の余波をうけ、 土浦市でも高齢者が増加傾向に転ずると推測される。
 一方、高校生数は減少が予想され、空き教室が増加するものと考えられる。


図4-8.アクティブシニア推計人口


【効果】

 高校生と高齢者が交流する場として空き教室を利用することで、 福祉と教育を同時に考えることができる。
 また、施設を新設する必要がないため初期投資も抑えられる。


【展開方法】

 この計画を進めるにあたり、 始めは高校の数が多い二中地区をモデル地区としてデイサービスサービスを展開していく。
 そしてこの地区で事業が上手くいくのならサービス域を市内全域へと拡大していく。


図4-9.二中地区と高校分布





W−W.農業インターン

【目標】

 第1次産業の担い手を育成し、同時に文化の伝承を図る


【提案】

 農業インターン
 学生を対象とした学校教育の一環としての農業体験の場を農家と共同で提供する。  農畜産物の生産・出荷にとどまらず、 流通業界との提携や自社での加工販売など事業が多角的になり、 農業業界は注目されている。  そのような農業業界で、短い期間といえども農業を体験することは、 土浦を担う若者にとって貴重な経験になり、将来の農業従事者数も増加するだろう。  また農業を通して様々な年齢の人々と交流し土浦の文化に触れることのできるよい機会となり、 さらには文化の伝承役としての役割も担う。

 一口に農業と言っても、それぞれの地区ごとに得意とする作物は異なる。  右の図を見てみると、神立地区と新治地区で農業従事者数が多くなっているが、 神立地区はれんこん、新治地区は花卉やフルーツの栽培が盛んであるという具合に、 それぞれの地区に特色を持っている。  そこで、私たちは、それぞれの特色に合わせたインターンを提供することを考えた。


図4-10.農業従事者数比較


【効果】

 左図のように、各地域の得意とする作物でのインターンを提案する。  このようにすることで、 より学生のニーズを反映したインターンを実施することができるようになる。 また、土浦のどの地区でどの作物が盛んに栽培されているか、 などという地元の情報も勉強することができる。


図4-11.インターン案





W−X.空き蔵の再活用

【目標】

 建築ストックの有効活用と地域に根ざした店舗づくり


【提案】

 廃墟蔵をリノベーションした、学生によるチャレンジショップ・クララをつくり、 人が対流する仕掛けづくりを提案。  土浦市の商工会が中心となって運営を行い、 これからの土浦の担い手になるであろう周囲の学生達の取り組みに対して支援を行う。  "古くからの蔵を訪ねて新しいものを得る" をコンセプトとし、廃墟蔵を再活用する。


 内容としては、

   @カフェ
   Aギャラリー、ワークショップのスペース
   Bライブハウス

等にし、若者から高齢者まで幅広く興味を持ってもらえるものにする。  また、店のサービス形態を、ターゲットを分ける上で、昼、夕方、夜間に分ける。


図4-12.クララコンセプト図


@カフェ

 主婦をターゲットにカフェ等では井戸端会議を開くことの出来るスペースを提供する。  そこで、土浦の特産であるレンコンや新治村のフルーツを使った創作料理、 スイーツ等を提供する。昼間気軽に外で集まれるスペースを作ることにより、 人と人との連携の強化、新たなコミュニティの創出を図る。  夕方は、学生が集まるスペースとし、メニューも比較的値段を抑え、 新治村のフルーツを使ったドリンクバー等を提供する。  学生が集まれるスペースを提供することにより、学生の品位も向上し、 まちの景観をより一層高めることも出来る。  学生同士の交流も活発になり、学生間のコミュニティ育成にも役立つ。  夜間は、予備校生や会社帰りのサラリーマン等をターゲットにする。  昼間の特産品を使用した食べ物を提供することに加え、 会社帰りのサラリーマンお酒を飲みながら談笑できるバー、 ラウンジのようなスペースを提供する。


Aギャラリー

 蔵に芸術系学生の作品などを展示する。  若者が自由に作品を作り、それを展示することで、 周囲の学生にも親近感が沸きやすくなり、 今まで土浦を訪れることも少なかった学生も足を運ぶようになり、 まちの活性化に繋がる。  休日などに空き蔵を使用して、 様々なことを体験できるワークショップを開催する。  講師は土浦に昔から住んでいる高齢者でもよい。  昔からの伝統工芸等の体験等を開催することで、 高齢者が若者に技能伝承できる場も提供することができ、 生きがい作りにも繋がっていく。


Bライブハウス

 年代に関わらず分け隔てなく楽しめる"音楽"を通して、交流を図る。  付近の学生が休日にそこで演奏会を開いたり、 また音楽活動をしている人々の演奏の場として提供する。  また、昔からの伝統的な音楽の演奏会等も開催し、 幅広い年代がひとつの空間で楽しめるスペースとなる。  複数の蔵を、"クララ"として、長期的に20年をかけて整備していく。  また、川越市、栃木市、香取市等が連携して行っている 「小江戸サミット」にも参加することで、周囲の都市との連携も強め、 歴史のまち土浦を発信していく。


図4-13.蔵を再活用した"クララ"内装イメージ図





W−Y.デマンドタクシーの導入

【目標】

 交通弱者に外出機会を創出することによる地域活性化

【提案】

 デマンドタクシーとは、タクシーの自由度と、 バスの公共性を併せ持った交通システムである。  利用者のニーズに応じてバスが路線を柔軟に変更できるので、 ドアtoドアの公共交通が提供できる。  また、多人数による乗り合い制を用いるため、 タクシーと比べると運賃も格段と安く済む。  昨年10月から土浦市でもデマンドタクシーを試験的に導入している。  土浦市においてのデマンドタクシーは高齢者に対する移動手段という位置づけとなっている。  それに対して私たちは、サービス内容を拡大して高齢者に限らず、 交通弱者全般に外出機会を創出することを目指す。  更に隣接市のデマンドタクシーとの連携をしてより広域なサービスエリアを提供する。


図4-14.デマンドタクシー


【目標】

 交通弱者に外出機会を創出することによる地域活性化


【現在運行しているデマンドタクシーの概要】

   ・事業名:のりあいタクシー土浦
   ・2006年10月運行開始
   ・対象:市内在住の65歳以上の高齢者
   ・範囲:土浦市内
   ・料金:登録会費+1回500円
   ・1日5便、予約制


【効果】

 安価で自由度の高いデマンドタクシーをあらゆる層の人たちに対して導入することで、 交通弱者の外出機会を創出し、地域活性化に貢献する。  隣接市との連携から、市外の人たちも土浦市にアクセスしやすくすることによって、 より多くの人たちが来訪する環境を整える。