7章

CUET及びJICA-STRADAを用いた

シミュレーション

 

 

人口・従業者数の立地及び交通需要予測を行なうCUETJICA-STRADAという二つのソフトを用いて、この施策の効果の分析を行なった。施策の効果を計る方法として、今から20年後の土浦市とその周辺35市町村の姿を、施策を行った場合と行わなかった場合を比較する。

 

施策を行わない場合を想定した場合の使用データ

→人口問題研究所HPから得られた、土浦市及び周辺35市町村の2025年における全体の人口。データとして、2025年には36市町村全体で67988人の居住人口が増加すると推測し、これを用いた。

 

施策を行うと想定した場合の使用データ

→私達の施策から、2025年の土浦市の人口を145000人と推測した。TACの卒業生が先に述べた対象地域にその能力を還元していくと予測し、また、川商リアルエステート()の方から頂いた「おおつ野ヒルズ概要ご説明資料」の計画人口も参考にさせていただいた。これらより、第三次産業従業人口が640人、その他産業従業人口が1170人だけそれぞれ増加すると推測した。

 

シミュレーション上の仮定

08年にTACが開学する。

 

TACの農業・商業・観光の3分野からそれぞれ、毎年10人ずつ卒業し、彼らは土浦市内に就業するものとする。

よって、今から20年後(TACが開学してから17年後)の土浦市では、TACからの波及効果として、第三次産業従業人口(商業・観光の卒業生)340人、その他産業従業人口が170人増加すると仮定される。

また、おおつ野ヒルズには今後、神立駅周辺に存在する工業地区へ通勤する方が、多く居住し、職住近接が進むであろうと考えた。そこで、「おおつ野ヒルズ概要ご説明資料」を参考に、計画人口6000人の内、工業従業人口が1000人、さらに商業従業者、研究員などの第三次産業従業人口が300人増加すると推定した。

 

以上から、20年後の土浦市では、第三次産業従業人口が640人、その他産業従業人口1170人だけ増加していると仮定する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


図8 おおつ野ヒルズ概要図(http://www.h-sokken.co.jpより)

 

これらの仮定のもとで、分析を行なった。なお、GISで表現されるのは土浦市、つくば市、牛久市の3市であり、その地形は下のようになっている。また以下では、施策を行なわなかった場合をNo-Plan、施策を行なった場合をDo-Planと表すこととする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


図9  ArcGISによりマッピングされたつくば・土浦・牛久3市の地形

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1.居住人口

居住人口(Do-Plan)

 

居住人口(No-Plan)

 

10 施策を実施しない場合と実施する場合の地区別の居住人口の変化

 

10から、施策を行う事で霞ヶ浦総合運動公園を含む地区と神立駅を含む地区で、僅かながら居住人口が増加していることがわかる。

 なぜ、これら2つの地区で居住人口が増加したのか。その要因の1つとして、中心市街地よりも市郊外に人口が引きつけられるということが挙げられる。上で色が濃くなった2つの地区は、いずれもJR常磐線の駅から比較的近く、感覚的にも人が集まりそうな地区だとも思える。利便性と居住用地代を考えたら、これらの地区に増加居住人口が集中するのは自明のことである。

 

 

2.業務用地代

11 施策を実施しない場合と実施する場合の地区別の業務用地代の変化

 

11より、施策を行うことで、業務用地代の下落率が非常に高かった土浦駅前の地代が僅かではあるが改善され、さらに桜ヶ丘住宅団地を有する地区でも業務用地代の増加が見られる。

 中心市街地で業務用地代が増加した要因としては、やはり産業従業者人口の増加が挙げられる。この地区は長年業務用地代の下落が続いてはいたが、土浦市の顔として、今もなお商業地帯を形成している。20年後においてもこの姿は変わらず、土浦市を含む36市町村間での合計1810(詳細は上記)の産業従業者の増加がほぼダイレクトにこの地域に反映されていると考えられる。

 次に、桜ヶ丘住宅団地を含む地区での、業務用地代の増加の要因について考える。ここは、住宅団地が存在すると同時に、大型ロードサイド店の進出が多く見られる地区でもあるため、企業が利潤を求めて需要が高くなったため、業務用地代が増加していると考えられるため、ロードサイド店が増加することが予想される。これより、この施策が、現在のロードサイドへの商業施設の移転を促進させる働きも併せ持つことがわかった。

 

3.企業利潤

右図は、施策を行なわなかった場合に発生する企業利潤を、施策を行なった場合のそれから差し引いたものである。つまり、差が大きいほど

施策の効果があると考えられる。右図では、色が濃いほど、数値の差が大きくなっている。

牛久市の一部では利潤が下がる地区が見られるが、土浦市だけで見てみると、全ての地区で大幅に企業利潤が増加している。

企業利潤の単位は百万円/年となっており、最も色が濃いゾーンでは年に約1億円の増益が予想される。

 

 

 

 

 

 

 

企業利益{(Do-Plan)-(No-Plan)}

 
 


12 施策を実施しない場合と実施する場合の地区別の企業利益の変化

 

 

4.JICA-STRADAによる交通需要予測

以上のようなシミュレーションから、施策を行う事で、土浦市の居住人口、居住用地代、企業利潤が全て増加し、財政・経済面から見れば非常に頼もしい施策であると考えられる。では、このように、土浦市の魅力が上がることで、交通需要はどのようになるのか。

 

私達は、旧水戸街道沿いに人が集まるようになれば、駅と蔵を結び、高校生の下校路にもなっている亀城モールでも自然と客足が伸びるのではないかと考えた。そこで、旧水戸街道に蔵を集中させることと亀城モールを形成する国道125号線を一方通行にすることを提案した。下に示すものが、この施策を反映させた場合(Do-Plan)とそうでない場合(No-Plan)JICA-STRADAを用いた分析結果である。

 

CUETの分析結果から、企業利潤が土浦市全域で大幅に増加するということ、また業務用地代が一部で増加するということから、土浦市へのトリップ数も増加し、駅前道路のいたるところで交通渋滞が起きるのではないかと考えられる。更に、国道を一方通行にすることは、それに拍車をかけるような施策であり、交通需要予測分析を行う事が必要となってくる。

 

 

 

道路混雑状況(No-Plan)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


13 施策を実施しない場合と実施する場合の土浦駅周辺の道路混雑状況

 

15からもわかる通り、施策を行なった場合、土浦駅前の多くの道路で交通量が増加するとわかる。特に、駅前に伸びる道路では、渋滞が起きてしまっていることが見て取れる。

 

このように、施策を行うことで交通量が増え、渋滞が起こることは問題ではあるが、中心市街地の活性化や、中途半端な蔵づくりの改善、居住人口の増加、業務用地代の改善など施策により解決される問題も多く存在する。総合的に見れば、この施策を行なう価値は十分にあると言えるであろう。