5.5 水上ネットワークの整備

【目的】
・定期船の交通機関としての発展
・霞ヶ浦の対岸地域とのつながりを持たせる。




【現状】
現在の霞ヶ浦を隔てた交通
現在霞ヶ浦は茨城県南部の地域を東西に分けている。公共交通手段は電車があるが、土浦から霞ヶ浦を越えて東側の地域に行くには一度水戸から東京に出なければならない。道路は国道125号線と354号線があるが、バスなどの公共手段はなく自家用車で移動するしか手段がない。
  現在、霞ヶ浦の水上ネットワークとしては、土浦−潮来間がある。しかし、利用者が少なく運行は年4回で、その他、要望があれば運行している。(団体・往復で80000円)交通費としては割高であるといえる。
  運行時間は、土浦−潮来間が45分で、自動車の所要時間とほぼ変わらない。












【計画の内容】
昔は交通手段として頻繁に使われていた霞ヶ浦の交通も、自動車の発達に伴い大幅に減少した。しかし、自動車は、若年層や高齢者などの交通弱者にとっては移動手段としては使えない。また、現在霞ヶ浦を隔てた東西を繋ぐ交通は自動車か電車のみである。今後の土浦のイオン誘致による商圏の拡大(イオンにより現在の10倍は商圏拡大が見込まれる)や花火大会、予定されるツェッペリン号による新たな観光の誕生に伴う土浦への流入手段の拡大のため、交通機関としての発展を見据えた霞ヶ浦の水上公共交通のシステムを提案する。

(1)対岸への意識づけ
現在霞ヶ浦の周辺地域にはフラワーパークや公園、博物館といった公共施設が多く建設されています。その中でも鹿島市はサッカースタジアムがあり海岸もあるので若年層からの支持が高い地域と考えられます。

鹿島市周辺の資源
@鹿島サッカースタジアム
鹿島アントラーズのJリーグ試合は年20回。その他、ナビスコカップ、天皇杯や高校サッカーなどの会場となり、また他にもイベント会場としてもよく使われる。

A下津海水浴場
JRカシマサッカースタジアム駅からバスで15分のところにある海水浴場。
海開きは7/16〜8/16
綺麗な湖岸で、有名ではないが人気がある。

B鹿島港
世界最大の掘込湾港。その大きさは横浜港の4倍ある。
鉄の輸入が多く、一体は重化学工業地帯。
日本に輸入される多くのものがこの湾を通過する。倉庫産業も盛ん。

C波崎サッカー合宿
サッカータウンとしてのまち。
多くのサッカー場付ホテルが存在し、リーズナブルな価格で多くのサッカーチームの合宿所として利用されている。

これらの資源を利用し、土浦市内の若年層を対象として、対岸地域のアピールを市が主体となって行う。

(2)利用運賃負担削減のための提案
 現在、土浦−潮来間で水上交通は存在している。潮来まで行くとJR鹿島線があるので海岸の方までアクセスが可能である。また、土浦―潮来間を自動車で行く場合と船で行く場合それほど時間は変わらない。しかし、問題は現在の船の運賃である。
船の現在の運賃は、土浦―潮来間が大人片道3,500円子供1,700円で自動車や電車で行くよりも割高である。また経営上、1回の運行で20人以上乗せないと採算がとれない。よって、交通運賃のための地域通貨を提案し、水上交通の乗りやすさを考える。

鹿島との交流を考えた場合、対象はサッカースタジアムの資源により若年層が主な対象となりうる。また、若年層を対象とすることにより霞ヶ浦の環境教育にも繋がる。
一方、都市の中で考えた場合共働きの家庭が増えたため、昼間一人でいる児童と一人暮らしの高齢者が今後ますます増えることが予想される。これを解決するため児童と高齢者の間でやり取りされる高齢者支援地域通貨を提案する。

≪地域通貨の流れ≫ ※以下、地域通貨の一単位を100円としてその流れを追っていく。
市役所が100円の地域通過を発行する。
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市内に住む高齢者はその通貨を50%の値段(50円)で買う。
↓
市内の小中高生(若年層対象)は高齢者に買い物などのサービスを提供する。
↓
市内の小中高生は100円の地域通過を船の運賃分貯めて船に乗る。
↓
船舶会社は地域通貨100円分のうち50%(50円)を収入とし、残り50%を市役所の利益とする。