3. 土浦市の現状分析

3‐1.人口

 増加傾向にあった人口が近年は減少傾向に転じている。 一方で世帯数は微増しており、核家族化進行や単身世帯の増加が伺える。 高齢比率も同様に増加傾向にあり、16.7%となっている。 日本の18.4%、茨城県の17.9%に比べると低いが、土浦市が高齢化社会へと移行している事が分かる。 又土浦市は県南地域の中では人口密度が二番目に大きい。



3‐2.交通

3‐2‐1.JICA-STRADAを用いた人口動向分析

公共交通としては、常磐線と市内外を結ぶバスがある。 土浦駅周辺から公共交通を利用しての移動は、首都圏に向かう人が多い。 土浦駅周辺の中心市街地に向かって、土浦市・つくば市民の移動は自動車が多い。 土浦市全体からの通勤通学移動量は、市内の他、『つくば市・牛久市など周辺市町村と都心へ』が大きい。

3‐2‐2.JICA-STRADAを用いた交通混雑分析

 土浦市内の国道6号線の自動車交通量は、他の幹線道路よりも全体的に多く混雑率も高い。 国道6号線と学園東大通りや国道125号線の結節点における交通量は多く、道路混雑の発生地点となっている。 国道6号線と県道64号線が交わる中貫交差点は、国土交通省常総国事務所のIRサイトでも示すように、県内でも有数の渋滞地点である。
これは、周辺に土浦北工業団地やテクノパーク土浦北などの大規模工業団地が立地しており、 工場へ向かう車や神立駅からの従業員送迎バスなどによる渋滞が起きていると予想される。 他には土浦駅西側を通っている国道125号線の混雑率も高い。 また、阿見町と土浦市を結ぶ幹線道路の交通量が多く、日常生活においてかなりの行き来があると推測される。

 

3‐2‐3.工業

土浦市内は、2つの大規模工業団地を有している。 製品出荷額は県南でトップ(約20%)、県でも第3位(約5%)であり、 県内での主要工業都市としての役割を担っている。 さらに平成7年から分譲が開始されたテクノパーク土浦北に関しては これからも企業誘致を行い、今後も工業都市的性格をより強めていく。 そのため、騒音・振動といった公害問題が深刻化する懸念もある。

 

3‐3.産業

 図4.より市全体として3次産業従業者が多くなっている。 北部地域は、工業団地で製造業が行われている為、2次産業従業者が多い。 又第3次産業に関しては、中心地区は商業・サービス業が多く、 北部地域は大規模な企業の倉庫や運輸・物流に関する施設がある為に従業者数が多いと考えられる。 又常磐自動車道・JR常磐線が通っている南北軸は運輸のある第3次産業が多くなっているのではないか。 市の中央東側・同西側は産業自体が少ない。



3‐3‐1.農業

 霞ヶ浦の周辺地域は低温地性水田地帯でレンコン栽培に適しており、全国第一位の収穫量を誇る。 その他にチューリップ・グラジオラス・アルストロメリア・バラ・ガーベラなどの各種花きの栽培も盛んである 。農家数、農家人口はともに減少傾向である。しかし、300a以上の規模の大きい耕地をもつ農家は増えてきている。

3‐3‐2.商業

商業面では小売店の事業所数が減少傾向(ここ3年で)にあり、 それに対して従業者数・売場面積が増加傾向であり、店舗の大型化が推察できる。 しかし丸井の撤退、土浦市桜町三丁目が商業地の地価下落率全国第10位(平成14年度)など、 中心市街地は商業地としての価値が下がり、又郊外にドン・キホーテやイオンの建設により、 今後更に空洞化が進むと思われる。 さらに土浦市全体の商業地地価下落率では、17.6%で全国第1位(平成15年度)であり、非常に厳しい。 土浦市は平成14年3月28日に公示した「土浦市商業近代化補助金交付」などで、 商業面でのバックアップ体制をとっている。

3‐4.教育

 市内には小学校が17校、中学校が7校ある。ここ5年間の市全体の生徒数は、小学校はほぼ横ばい、 中学校の生徒数は減少傾向にある。今後、宅地整備などにより地域によっては施設整備をする必要性がある。

3‐5.防災

 旧街道沿いや水城だった土浦城の名残で水堀や水路を埋めて、暗渠や道路にしている場所が多く 、道が細く曲がりくねっている。更に、市街地には違法駐車が多く消防車や救急車の素早い現場到着が困難な状況にある。
又、土浦市は南関東地域直下型地震の被害が予測される地域に指定されている。これまでの災害の主流である水害に加え、 震災等の大規模災害が発生する可能性がある。

3‐6.観光・イベント

土浦の主要観光資源として霞ヶ浦・歴史的町並み・上高津貝塚が挙げられる。
霞ヶ浦総合公園は、体育館の他、ネイチャーセンターや水郷プール(夏季休業期間のみ営業)などがある。博物館・資料館の来館者 数は減少傾向にあり更に、その半数以上が無料利用である。
土浦市の大きなイベントはほとんど亀城公園付近で行われている。 市内のイベントで最も集客するのは、土浦全国花火競技大会である。 しかし、2年後に開業予定の大型S.C.の影響で、会場変更などが迫られている。

3‐7.福祉

 5つの福祉センターの他に在宅介護支援センターが各地区に配置されている。 居宅介護事業と在宅介護支援事業は分野が全く異なるが、同じ建物内で事業が行われている。 1事業所に2人体制と人で不足が問題となっている。

3‐8.環境

 土浦市のシンボルでもある霞ヶ浦は、富栄養化による濁りが原因で汚染が進行しており、全国で有数の大きさを誇る湖ながら汚染状況も全国有数である。 富栄養化の原因となるT-NやT-Pの値を見ても分かるように基準値をはるかに上回っている。 土浦市では霞ヶ浦の環境改善に積極的に取り組んでおり、県内の湖沼・河川の環境保全の為、 来年度、土浦市沖宿町と霞ヶ浦町戸崎に跨る地区に、霞ヶ浦環境センター(仮称)完成を予定している。
電力は、一般用・事業用電気使用量が共に増加しており、結果として市内の電力使用量が増加している。 同様にガスなどについても年々使用量が増加してきている。 土浦市では、この対策として昨年から住宅用太陽光発電設置費補助事業をしており、 今年から新たに環境家計簿促進事業も実施していて、今後に期待できる。

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