3節  霞ヶ浦の活用方法

 

「個性を親しむまち」という基本計画のもと、私たちは土浦市の一番の魅力を霞ヶ浦と考え、霞ヶ浦の有効利用方法を考えた。

 

1 遊休田を利用した水質浄化について

 

1−1 霞ヶ浦の水質の実態

 

霞ヶ浦の水質汚染は、生活系排水(約40%)等の外部要因と、浅い水深(4m)により汚泥から溶出負荷が多くなり植物プランクトンが増殖するという内部要因が考えられ、現在基準値を満たしていない指標も多い。

 

 

 

 

 

 

 

 

図5-3-1 霞ヶ浦水質汚染の外部要因

 

 

(1)COD(化学的酸素要求量):水中の有機物等を酸化剤で酸化するときに消費される酸化剤の量を酸素の量に換算したもの。水質汚濁の指標であり、水道水源としては3mgl以下が基準値(*1)

 

 

 

 

 

図5-3-2 CODの推移

 
                  

 

 

(2)全窒素:水中に含まれる全ての窒素化合物の量。基準値は0.4mgl以下(*1)

 

 

 

 

図5-3-3 全窒素の推移

 

 
 

 

 


(3)全リン:リン化合物全体のこと。基準値は0.03mgl以下 (1)

 

 

 

 

図5-3-4 全リンの推移

 
 

 

 

 

 

 

 


1−2 現在霞ヶ浦で実施されている事業

 

水質保全対策として、現在右図のような霞ヶ浦導水事業、植生浄化、土浦ビオパーク、底泥浚渫、アオコ除去等の事業が行われている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図5-3-5 霞ヶ浦水質保全事業     

 

 

1−3 遊休田を利用した水質浄化の提案

 

1−1、1−2から分かるように、様々な水質浄化事業が行われているものの、いまだ霞ヶ浦の水質は基準値に達しているとは言えない。また、土浦市には全部で72ヶ所遊休農地が存在している。そこで、現在使われていないハス田を利用した水質浄化事業を提案する。

方法−休耕田に@クレソン、せり、キショウブ等の水質浄化作用のある植物を植える

A小さな魚道を設ける。そこに水を通す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図5-3-6 遊休田を利用した水質浄化イメージ

 

 

効果: ・流入水の汚濁度にもよるが全国各地で50%〜90%の全窒素・全リンの削減実証

例あり。

    ・霞ヶ浦で魚道を設ける実験(平成10年度)では、5時間の滞留で約50%除去の結

果。

・様々な方法の組み合わせにより、さらなる水質浄化ができる。

予算: 農林水産省がH11年度から行っている「自然水質浄化機能活用実験事業」の対象

地域に指定されれば、国から全額補助が出ることになっている。

*自然水質浄化機能活用実験事業−8市町村10地区(H11年度)、7市町村(H12年度)が指定されている

市民参加: 市民が霞ヶ浦の現状を把握し、もっと親しむために、この水質浄化事業に市民の参加する機会を設けるべきであると考える。イメージ図にもあるように市民が自らの手で植物を植えたり、魚が泳いでいる場を直に見たりすることができるようする。このことによって、市民は「自分たちが霞ヶ浦を浄化している」という意識を持つようになり、更なる関心や継続的な行動をするようになると考えられる。