近年の社会情勢の傾向として、地方分権の時代が到来しているといえる。各自治体は地方分権時代を見据えた、生き残りをかけた様々な施策を打ち出している。しかしその全てが成功をおさめ、人々を多く引き付けたとはいえない。うまくいかなかった施策の中には、その地域の風土や文化を軽視しているものが多くあるといえる。地方の都市が生き残っていくためには、その土地の歴史や風土を尊重し、もとからある地域資源や都市ストックを有効に利用しながら、その土地に似合った計画を進めていかなければならない。
土浦市は東京から60km圏内にあることや筑波研究学園都市と隣接していることからも、それらのベットタウンとしての機能をもっている。しかし近年の価値観の多様化から、郊外を目指して来る都市住民は少なくなった。郊外に作られた大型ニュータウンの中には居住者の確保が困難になってきているものもある。また近年の自動車依存社会の影響で、ライフスタイルも大きく変化してきた。そのため、それまで市民が慣れ親しんできた風景が変化してきている。
このような事実からも、意図的に人口増加を見込んだ政策は行うことよりも、土浦市に住んでいる市民の生活を重点的に考えていくことが重要であると考えた。そこで市民が日常の生活の中で、土浦らしさを改めて感じ、ひととのふれあいを通すことによって生きがいを感じることのできる都市を目的としている。土浦市の豊かな自然・歴史・風土・都市ストック等を生かし、そのもののもつよさや価値を改めて知ることによって、土浦に住む喜びが感じられるまちづくりを行いたい。
以上のようなことからキャッチフレーズを
日々是行楽!
市全域で、日常の生活の中で行楽しよう!
とする。
ここでいう行楽とは、「経済的論理に毒された観光の意味が排除されたこと。景色のいいところに行くことや、風物を見ることだけではなく、風景の中で人々が楽しみ、人と人が交流する意味を含む」(塩見 寛「まちの個性を、どう読み取るか」静岡新聞社・2001 より引用) ことである。つまり日常の身近な場所で、日常の生活(例えば、買い物や散歩や移動)を通して、土浦という場所を楽しみ、人と人が触れ合う風景が見られるまちづくりを行う。
2−2.計画人口
土浦市の現在の人口は135675人であり、毎年少しずつであるが増加している。2010年の人口推計のために、コーホート要因法を用いて将来人口を算出した。
これは1.基準人口(1995年国勢調査による男女各歳別人口)、2.将来の生残率、3.将来の出生率、4.将来の出生性比(2,3,4:厚生省人口問題研究所が仮定、推計したデータ)、地域人口移動率(厚生省人口問題研究所が推計した都道府県別、5歳別データ)の5つのデータより推計された。
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国勢調査人口
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将来推計人口
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年齢
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1990年
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1995年
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2000年
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2005年
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2010年
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人口総数
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127471
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132243
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136698
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140322
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142362
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0−19
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35048
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30806
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28669
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27706
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27197
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20−39
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35394
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37523
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39394
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39570
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37200
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40−65
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43673
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47252
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48411
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49180
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49501
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65歳以上
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13356
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16662
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20224
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23866
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28464
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上の表を見てもわかるように人口総数は増加しているが、0〜39歳の人口が減少し、40〜64歳、そして65歳以上の人口が増加している。特に65歳以上人口の増加率が高い。そのため今後の土浦市では高齢化が進行すると考えられる。
そのため、土浦市の計画としては高齢者に配慮した政策が必要であると考える。
この計画では意図的な人口の増加を見込んだ政策は行わないため、計画人口は14万人とする。
2−3.現状把握および基本計画
市民の移動手段として自動車は欠かせないものとなっている。茨城県生活行動圏調査によると日常の行動(買い物、余暇など)において自動車を使う人の割合は2000年度時点で90%を超えている(図参照)。自動車利用による市民の便益は大きい。例えば、乗り換えをせずに目的地まで到達できる、天候による行動制約が弱いなどである。しかし、それによりもたらされる悪影響も大きい。例えば、自動車ユーザーにとって便利なロードサイドショップが乱立することにより中部の商業が衰退するかもしれない、中心部における慢性的な交通混雑が生じる、などである。図は現在の土浦市の交通状況をjicaにより見たものである。図中の赤色の線は道路混雑がひどいところである。現場の写真はそのような場所の写真の一部である。土浦ではjicaによる把握はできなかったが、他にも渋滞のポイントが多々ある。
TUDYによる分析の結果から、土浦、神立、荒川沖駅周辺部で人口密度が高く、市の北西部および北東部で人口密度が低くなっている。また、住宅立地魅力度は、市北部および中心部で極めて低く、中心部周辺で高い。このことから、人口が中心部および駅周辺から次第に市周辺部へ移動していくと考えられる。
商業立地魅力度は、国道6号線沿いで高く、今後も増加傾向が続くものと予想される。これはおそらくロードサイドショップの需要が高いためで、このことが中心市街地の空洞化を促進していると考えられる。
現況土地利用は、中心部で商業が盛んであり、神立付近で工業が盛んである。駅の周辺部で住宅地が多く、市の北東、北西部で農林地が多い。