3章 地域計画〜中心市街地
現在の土浦市において、最重要課題は中心市街地の商店街と交通混雑の問題ではないだろうか。
土浦駅周辺は1998年に大規模ショッピングセンター「ウララ」がオープンしたことにより中心市街地活性化の動きが多少は見られるようになった。しかし一歩足を運んで商店街に目をやるとシャッターを閉じている店が多く人通りも少なくて、賑わっているようには見えなかった。本来なら市の玄関口「土浦駅」の付近ということで、乗降客に対する“顔”の役目を果たさなければならない商店街がこれではいけないだろう。そこで何らかの対策を施す必要があると思う。
またそれに関連して中心市街地の交通混雑も深刻である。ウララ以外にあまり賑わっている店がないのに中心市街地は混雑を起こしていた。これはおそらく通過交通のためではないかと我々は推測した。特に買うものがなく、ただ通過するために中心市街地を通る。そのために渋滞が起こり、それが慢性的になっている。
土浦市全体を人口密度で見てみると中心市街地や常磐線沿線に集中していることがわかる。それに対し郊外は土地区画整理事業をいくつも展開しているにもかかわらず、人口密度は高くない。そこでここでは集中している人口を人口密度の低い地域に分散させることが過密の緩和になると思われる。

図31.土浦市人口密度
以上の現況を踏まえて、我々は土浦市を中心部の混雑を緩和するとともに郊外部の発展を促し、市全体である程度均一に発展していくことを提案する。
中心市街地は土浦駅があり、市の顔としての役割を果たさなければならないが、実際は人通りが少なく賑わいが感じられない。また、現在大手スーパーのジャスコが郊外に出店を予定しているが、これが実現するとより一層の衰退が予想される。そこで我々はその機能を果たさせるために中心市街地を、にぎわいを演出する地区と位置付け計画を立てることとする。
1.の提案は中心市街地の混雑を和らげることを目的としているが、逆に中心市街地の衰退もまねきかねない。現在、大手ショッピングセンターのJUSCOが土浦市郊外に出店を計画中であるが、これが実現するとより一層衰退が進むと考えられる。そこでここでは中心市街地という立地を生かした独自の魅力づくりを考える。
| 昭和63年 | 平成3年 | 平成6年 | 平成9年 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| 商店数 | 土浦市 | 1,928 | 1,859 | 1,727 | 1,602 |
| (件) | 中心市街地 | 635 | 581 | 505 | 455 |
| (比率) | 32.90% | 31.30% | 29.20% | 28.40% | |
| 従業員数 | 土浦市 | 9,870 | 9,527 | 10,373 | 10,188 |
| (人) | 中心市街地 | 3,243 | 2,800 | 2,768 | 2,307 |
| (比率) | 32.90% | 29.40% | 26.70% | 22.60% | |
| 売場面積 | 土浦市 | 175,276 | 170,864 | 190,130 | 200,381 |
| (u) | 中心市街地 | 81,248 | 70,355 | 67,508 | 61,560 |
| (比率) | 46.40% | 41.20% | 35.50% | 30.70% | |
| 年間販売額 | 土浦市 | 192,726 | 231,120 | 218,949 | 213,787 |
| (百万円) | 中心市街地 | 57,148 | 59,072 | 54,212 | 47,449 |
| (比率) | 29.70% | 25.60% | 24.80% | 20.50% |
現在、土浦市には大きな変化が起こっている。それは商圏の縮小である。住む人の利なくして商業の発展はなく、商業の発展なくして住み易い地域の発展はありえない。土浦への来街者の人数を増やすことを第一と考え、公営競技の場外投票券発売施設の誘致を考えた。この事業は各自治体が施行する事業であり、社会貢献を果たし、地元に直接、間接的に様々な形で利益を還元できる事業であると考える。公営競技は以前はギャンブルとしてのみとらえられ、否定的な面が誇張されている部分があったが、近年においては一般的なレジャーの選択肢の1つとして社会的に広く認知されてきた。また、若い世代においてはギャンブルと言うよりも推理を楽しむゲームとしてとらえられるようになっている。しかしながら当該施設の設置は、社会的な影響も十分に考慮しなければならない。
駅前はその街の顔でなくてはならず、現在の土浦ではその機能が十分に果たされていないと思われる。駅前を発展させるために最も大事なことは、商業の発展をはかること。また駅前という場所は、常にネットワークの中心でもある。そこで、西友跡地に場外馬券場WINSをつくろうとした計画があったことを知り、その計画案の復活を考えた。

図32.土浦市土地利用面積比
WINSの特徴の1つとして、大きなメリットとデメリットが存在する。もしWINSが駅前にできた場合、その集客力は計り知れないものになるだろう。(概算については5、WINSによる集客効果参照)そして、その経済波及効果もまたおおきなものとなるだろう。
しかしその反面、全国30ヶ所のWINSではいずれも周辺道路の交通渋滞や路上駐車による交通混雑・未成年者の馬券購入や傷害事件などの治安悪化といったデメリットもまた抱えている。
いろいろと問題を抱える構想ではあるが、その集客力は相当なものだと考え、新しいものが来なければ現状は変わらないのだという理念のもとに、この構想をたてる。
(2)平日利用についてWINSは基本的に土日しか利用されないため、平日も何かに利用できないかと考えた。そこで平日の利用法については、物産展、フリーマーケット・ガーデニング等の教室・バーチャルモール設立のための端末(また、その指導講座会場)などに用いる。

図33.旧西友跡地
駅前商店街と駐車場を提携し、商店街で買い物をすることで、駐車料金が無料になるようなシステムをつくる。また、モール505をはさむようにバス停を設置し、それによる波及効果も狙う。

図34.WINS予定地周辺主要駐車場図
混雑緩和のため、土浦駅の利用を主と考え、乗用車での来場を規制する意味でも、新たにWINSの駐車場の設置は行わない。また土日は、警察と協力し、路上駐車の取り締まり強化をはかる。
(5)WINSによる集客効果現在、全国の競馬人口は1200万人である。これは全人口の10%にあたり、茨城の県南地域の人口が98万人であるから、県南地域には約10万人程度の競馬人口が概算で存在していることになる。現在これらの人々は東京に流出していることを考えれば、WINSが土浦にできた場合の集客力はかなり見込めるものになると思われる。
(6)ヒアリングここで“もし、土浦に場外馬券場ができたら?”というヒアリング調査を行った。
@ 60代男性 薬局経営 (競馬しない)
商人の立場として賛成。
A 30代男性 会社員 (競馬する)
近い将来iモードで馬券が買えるようになることを考えれば、
現状ではそれほどの必要性はないのではないか?しかし、画面を見ながらという臨場性はやはり大事。
B 30代男性 雀荘経営 (競馬する)
PAT会員(特定の銀行に講座を持ち、NETや電話により馬券を購入。会 員は抽選で選ばれる。現在5万人。今年の3月にさらに5万人。ちなみに競馬人口は1200万人)なので、必要性は感じていない。
C 20代女性 会社員 (競馬しない)
WINSができることで街がにぎわうのなら、賛成。しかしそれなりの対策はして欲しい。
D 30代女性 主婦 (競馬しない)
子供のことを考えれば、賛成しかねる。
もし、WINSが設置されることになれば、競馬をしない住民は環境悪化や交通渋滞といったデメリットばかりを口にするだろう。しかしそれは、WINSの悪い部分だけが特に露出してしまうためにそう見えるのであって、これらは大都市が必ず抱える問題である。
今現実に西友や東武ホテルといった駅前立地という利点があっても撤退している店舗が数多く存在している。例えウララへとつながるペデストリアンデッキをどんなにきれいに整備しても、住民は土浦が衰退していることをしっかりと見ているはずだ。将来、土浦という街を発展させたいと考えるのなら、若者が外へ出ていってしまうようなまちづくりでは駄目だと考え、新しい対策を講じるべきだろう。

図35.WINS設立予定地付近の東武ホテル跡