周辺地域においては、土浦市内の市立小学校の各学区域を地域の単位として、以下の四つをキーワードに、交流のある地域づくりを推進します。 将来的には土浦市にとどまらず、つくば市をはじめ周辺市町村の小学校とも連携することを目指します。そのためには各小学校がその地域の核としての役割を担うこと、 そして小学校自体が地域に根ざした特色のある学校作りが必要であると考えます。
○地域特性 〜自然〜
○教育 〜総合学習〜
○住環境 〜おおつ野ヒルズ〜
○交流 〜世代を超えて〜
1.背景
教育を周辺地域の計画におけるテーマに設定する理由として以下の点が挙げられます。 平成11年(1999年)12月実施の第6次土浦市総合計画まちづくりアンケートの結果によれば、 今後推進すべき学校教育についての質問で、「自ら学び自ら考える」能力の育成と個性を生か す教育を充実するという答えが約4分の1を占めトップとなりました。また別の 質問項目である、「望ましい土浦の将来人口は」という問いに対しては約3割の人が約20万人 と答え、回答全体をみると現在よりも人口増あるいはほぼ同規模の人口が望ましいという結果 が得られました。そこで、土浦から人口流出を食い止め、また土浦に人口を呼び込むための施 策として周辺地域に担わせるべき計画に、教育の充実を掲げました。都市の将来を担う子供を 持つ世帯にとって、教育環境は居住地選択において大きな要因となること、そして子供の才能 を開花させることがひいては都市の魅力につながっていくと考えたからです。
Q.今後推進すべき学校教育について
A.1位:「自ら学び自ら考える」能力の育成と個性を生かす教育を充実する(25.5%)
Q.望ましいと思う土浦市の将来人口について
A.1位:約20万人(28.3%) 2位:現在のまま(21.0%) 3位:約15万人(20.8%)
(第6次土浦市総合計画まちづくりアンケート結果より)
2.都市の魅力としての教育
具体的な計画として、小学校共通テーマ設定・小学校ごとの独自テーマ設定・先進的教育 ネットワークの拡充と活用・市内自由学区制を提案します。
●小学校共通のテーマ設定小学校ごとの独自テーマ設定
市立小学校共通のテーマとして環境教育*、ビオトープ**を設定する。
環境教育:地域の自然を知ることで地域社会の一員としての意識を養うことを目的とする。
学校ビオトープ:ビオトープとは、多様な野生動物の生息可能な空間のこと。
環境先進国のドイツ、スイス等ではすでに定着している概念で、
失われていく地域の自然生息系を保全、復元、創出するために、
私達と自然生息系の関わりを理解した上で、効果的にビオトープを管理する。
図VI-7 自然にふれる子供たち
●小学校ごとの独自テーマ設定
市立小学校ごとに、筑波山、霞ヶ浦、亀城、蓮根、新興住宅地、
学園都市などの土浦市および周辺地域特有の財産を学ぶテーマを設定することにより、
総合的学習の時間に対応する。
総合的学習の時間:小学校で平成14年度から始まる新学習指導要領に登場する授業形態で
既存の教科ごとの学習にとどまらない、生きる力・自主的な力を身に
つけることを目的とする。
■cf.千葉市立打瀬小学校の例
―フレンド活動―街区ごとの縦割りグループ。一人っ子が多い傾向の中、
その活動を通して自分と違う世代の人との接し方が自然と身につく。
―打瀬学習― 自分たちでテーマを見つけて調べる総合学習で、打瀬小学校独自の学習スタイル
―オープンスクール形式―自主的な学習を促す調べ学習で、自分から進んで勉強できる。
上大津東小学校の例
ふれあいタイム
異学年交流
図VI-8 土浦市立上大津東小学校の例
上大津東小学校では、すでに特色ある学校づくり、
地域密着型の学校づくりが進められている。
高学年の生徒については、月1回程度のテーマ設定に対応した小学校間
交換授業を実施し、地域間の交流促進を図る。
表VI-1 小学校ごとのテーマ設定 (「−」はこれからのテーマ設定が待たれる。)
他校の周辺環境を通じて相互理解を深め、市の財産を共有する目的で交換学習をすすめる。
ここでは、各学校の総合学習で学んだ知識を発表することを通じて、教師・生徒の交流を主
な内容とする。
●地域に根付いた学習テーマの例
小学校名 | HPの有無 | 近隣の環境 | 主な特徴 | 独自カリキュラム | 先進的ネットワークモデル地域事業指定校 |
土浦小学校 | ○ | 新川・桜川・土浦駅 | - | 縦割り活動 | ○ |
下高津小学校 | ○ | -桜川 | - | 総合的学習 | - |
東小学校 | ○ | - | やぎ・花壇 | 社会人講師・PC | - |
宍塚小学校 | ○ | 宍塚大池 | ビオトープ | 地域学習 | - |
大岩田小学校 | ○ | - | ビオトープ・花壇 | 地域学習 | ○ |
真鍋小学校 | ○ | 桜 | - | - | ○ |
都和小学校 | - | - | - | - | - |
荒川沖小学校 | ○ | 霞ヶ浦・荒川沖駅 | ビオトープ | - | ○ |
中村小学校 | - | - | - | - | - |
土浦第二小学校 | ○ | 温泉・ヨットハーバー | 花壇・釣堀・土俵 | PC | ○ |
上大津東小学校 | ○ | 蓮田・霞ヶ浦 | - | 異学年交流 | - |
上大津西小学校 | - | - | - | - | - |
神立小学校 | ○ | 工業団地 | - | ボランティア活動 | ○ |
右籾小学校 | ○ | 桜川 | - | 地域交流 | - |
都和南小学校 | ○ | 田園 | - | - | ○ |
乙戸小学校 | ー | - | - | - | - |
菅谷小学校 | ○ | 鵜沼・一の瀬川 | - | - | - |
図VI-9地域に根付いた学習テーマの例
●先進的教育ネットワークの拡充と活用
先進的教育ネットワークの全体構想
平成11年度秋より,土浦市内10校(小学校7,中学校3)に,
下り衛星回線,上りISDN電話回線を利用した高速ネットワークが設置されている。
現在,この高速ネットワーク回線が設置された小中学校では,地域・学校間交流
などをはじめ,いろいろな活用についての試行が行われている。
この既存の先進的教育ネットワークを市立小学校全てに配備するとともに、
週末など休校日には、このネットワークを生かした地域住民向けのパソコンスクール
を設けることを提案する。将来的には、つくば市立小学校はじめ周辺市町村を含めた
ネットワークを構築することを目指す。テーマ学習を促進する意図も込められている。
●市内自由学区制
さまざまな家庭形態、いじめの問題、各学校のテーマにあわせ市内は自由学区制とし、
学校選択の機会を広げる。
□学校選択制度
現行の通学区域制度では市立小中学校に入学する場合、住んでいる住所により入学する学
校が決まっている。学校選択制度は、この決まった学校以外に保護者や生徒の希望により、
入学したい学校を選べる制度とする。市立小中学校のすべての学校から選択することができ、
それぞれの学校の受入れ可能な範囲で入学できる制度の提案をする。
cf.東京都江東区、品川区
相対パスで指定する。