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1.基本理念
(1) まちづくりのキャッチフレーズ
首都圏業務各都市の一翼を担う土浦市は、亀城公園・まちかど蔵などをはじめとした歴史的資源や、霞ケ浦や宍塚大池などの自然資源などの個性的な地域資源に恵まれています。そこで、これらの豊富な資源をつなげ、回遊性をもたせることで、市独自の個性を市民が日常的に感じ、誇りと愛着を持てる環境の創造を行います。回遊性は、土浦市内だけに限ることではなく、つくば・牛久両都市との業務各都市内では、公共交通機関の充実等、お互いの連携を深めていきます。
また最近、中心機能の低下が著しい土浦市では、活気を取り戻すための基盤・環境整備が必要です。市民ひとりひとりが活力と希望に満ち、安心・快適に暮らせるまちづくりを行います。
そこで、市民はもちろん、土浦を訪れた人々等、みんなが「元気に」なり、「動き回りたくなる」まちづくり、土浦の魅力が「つながった」まちづくりを目指したいとの願いを込めて、土浦市のまちづくりのキャッチフレーズを以下のように定めます。
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(2) まちづくりのキャラクター
キャッチフレーズに示したまちづくりの実現に向け、「元気」「回遊性」というイメージを持つ自転車を土浦市のキャラクターとし、自転車を中心としたマスタープランを構成します。まちづくりのキャラクターである「自転車」には、次のような3つの効用があります。

図.2.1 自転車の役割

図.2.2 自転車の効用
・Healthy : 景色を眺めながら自分の体を使って移動するため健康によい
・Ecological:車などのように化石燃料を使わないため地球環境にやさしい
・Human Scale :徒歩よりも移動力があり、車よりも小回りがきき心地よい
(3) まちづくりの基本理念
前項で述べた「まちづくりのキャラクター」による"自転車の持つ3つの効用"をもとに、土浦市のまちづくりの基本理念を以下のように定めます
・Healthy 子供からお年寄りまで誰もが健康で快適に生活できるまち
健康づくりのためのスポーツレクリエーション環境、健康を守る医療・福祉施設の充実を図り、一人一人が生きがいを持って人生の様々なステージを楽しめるまちづくりを行います。
・Ecological よい環境を守り、つくり、育てるまち
豊富に残された歴史的・自然的資源を守り、身近に感じることのできるまち、うる
おいや安らぎを感じることのできる快適でゆとりのある住環境・市街地環境の創出
を行い、市民自らが育成に参加できるまちづくりを行います。
・Human Scale 地域に根ざしたふれあいのあるまち
地域に根ざした産業の保護・育成を推進すると共に、情報通信や広域交通ネットワ
ークの整備を行い、市民同士の交流が盛んな活力あるまちづくりを行います。

図.2.3 基本理念
2.計画指標
前項をふまえ、土浦市のまちづくりの計画フレームとして、以下のような数値目標を設定します。
(1)目標年次
本計画では、目標年次を10年後の2010(平成22)年とします。
(2)将来人口
本計画では、目標とする将来人口を140000人とします。その際、以下のような手順をふみ、将来人口を決定しました。
* 将来人口決定まで*
・コーホート分析
「土浦の統計」によるデータをもとにコーホート分析を行ったところ、その結果は、右のグラフのようになります。これによると、2009年をピークに人口が減少することが予想され、2010年では136000人を少し超える程度にとどまっていることがわかります。

グラフ.2.1 コーホート分析
・土浦市の資源の確保に配慮
土浦市は豊富な自然的資源に恵まれており、人口を増やすことを目的とした自然を破壊しての「開発」行為はそぐわないと考えられます。
・社会情勢の変化に対応
最近の社会の変化として、「地方自治」への期待の高まりや「個性」を活かしたまちの増加など、かつての大規模で均一な都市よりも、コンパクトで地域性を活かした都市、いわゆる"コンパクトシティ"が望まれる傾向があります。これらの変化は、本計画の目指す、個性的な魅力にあふれる市民に愛される土浦市、というスタンスにもあてはまるものです。
以上のような手順・考え方を踏まえ,本計画では、積極的に人口を増やすことは考えず、結果として、前述したような目標人口の設定を行いました.
これを受け,土浦市は、大規模な自然破壊を伴うような大規模な土地利用の改変・開発などは行わず、既成市街地の再整備や自然の保護・活用を行うことで、環境の質を高め、現在いる市民が快適で住みよい環境にすることを基本方針とします。
3.将来都市像
ここでは、まちづくりの基本理念に加え,土浦市の土地利用構想として"Area"を、交通計画構想として"Line"を加えた全部で5つの項目について、それぞれの現況と課題について延べ,将来都市像及びその実現に向けた計画の基本方針について述べます。
(1) Area
○ 現状と課題
土浦市の都心部は土浦駅周辺地区です。商業・業務機能が広域的な中核として存在しています。そして、その周囲、国道6号とJR常磐線に沿う形で、住宅・工業・商業を含む市街地が広がっており、市の外延部には、広大な農村地帯が残っています。これらの農村は、里山などを含み、貴重な自然的資源であるといえます。
かつては、東京から北東へ40kmという地点に位置し、国道6号・常磐自動車道・JR常磐線等の幹線交通が南北を貫くこと、開発可能な平坦地も少なくはないこと、などから首都圏のベッドタウンとして、様々な区画整理事業が行われてきましたが、最近の事業では人口張り付きの伸び悩みや企業誘致の失敗などに見舞われ、苦しい現状です。

図.2.4 人口密度
○ 将来都市像
まず、土浦市の特徴である豊富な自然資源を保全・活用し、人と自然が豊かに触れ合う共生社会を構築していくことを第一原則とします。また、それらに加え、歴史資源も活用した観光施設の整備を促進していきます。
また、混在している土地利用を明確にし、それぞれの土地がそれぞれの異なった魅力を持つまちづくりを進めていきます。魅力づくりに際しては、その土地のポテンシャルを最大限に活かすことができる方針で行います。特に、人口の集中している沿線沿いでは、市街地の集約化や利便度アップなど、積極的な市街地としての整備を行い、広域交流拠点都市にふさわしい活気や賑わいを創出します。
(2) Line
○ 現状と課題
土浦市には、南北に国道6号・常磐自動車道、東西に国道354号・国道125号という、茨城県内はもちろん、首都圏所要都市を結ぶ骨格となる道路が走っています。また、主要地方道路土浦・境線は、土浦市と近接都市との結びつきという大きな役割を果たしています。
このように、重要な道路を数多く抱える土浦市ですが、慢性的な渋滞により、主要な幹線道路は、本来必要とされている機能が果たせなくなっています。また、市街地付近の道路、特に土浦駅前でも、通勤時や休日を中心として混雑しており、これらも早急に解決しなくてはならない問題です。
* Jicaによる現状分析*
〔配分交通量〕
国道6号のバイパス付近、国道125号、土浦駅前付近では、特に混雑が目立ちますが,それは、それらの交通量が交通容量をはるかに越えていることが原因と考えられます。(図.2.5)
通過交通については、その多くが国道6号バイパスに流れていますが、方向の違う目的地に向かう車により、主要地方道路土浦・境線にも多少の通過交通が見られます。また、土浦駅前の混雑は、国道125号における通過交通が要因の一つとなっていると考えられます。(図.2.6)

図.2.5 現在の道路状況

図.2.6 現在の通過交通
〔分担交通量〕
市全体としてバス・電車のような公共交通利用より自動車の利用が多くなっていることが特徴です。
土浦駅周辺地域と近隣都市との結びつきにおいては、つくば市との間には、鉄道がなくバスに頼っていますが、全体に占めるその比率は小さく、多くは自動車による移動に依存しています。水戸周辺など県北地域との間でも、自動車に依存している傾向はあるものの、鉄道利用も少なくはありません。牛久市との間では、バス利用・鉄道利用の両方が見られますが、自動車に依存している傾向は変わりません.
荒川沖駅周辺地域では、土浦・東京・阿見との結びつきが見られ、特に、東京方面への通勤による鉄道利用が目立っています。
自動車の分担交通量

バスの分担交通量

鉄道の交通分担量
線の太さ 単位あたり1000人
図.2.7 分担交通量
○将来都市像
交通の最も大きな問題である混雑への対処としては、自転車をはじめとしたコンパクトな代替交通の導入や、バス交通の充実を図ることにより、自動車交通量を減らすことを第一と考えます。しかし、広域圏を結ぶ主要な幹線道路や主用地方道路土浦・境線に関しては、混雑部分の道路幅員の拡幅も同時に行います。また、市街地、住宅地に限らず、道路空間を歩行者のアメニティ空間として担保していきます。
(3) Healthy
○ 現状と課題
土浦市でも、他の多くの市町村の例に漏れず、高齢化の進行が顕著です。それと同時に、年々の出産率の低下に伴い、少子化の進行が起こっており、このままでは、生産年齢人口の減少・高齢者のための社会的負担増という現実も遠い未来のことではありません。

グラフ.2.2 3階層別人口
また、最近増えつつある多様な家族形態の中で、核家族化や共働き家庭の増加などは、人と触れ合うことの少ない孤独な老人や子供たちを生み出していることが懸念されています。加えて、最近世間を賑わせた事件の中には、幼児虐待を行う保育所の存在など、共働きで子供を預けるお母さんにとって不安材料となるものもありました。
こうした変化する社会情勢の中で、誰もが健康的に、安心して、自分らしい生き方を選び、毎日を過ごしていけるような施策が求められていると考えられます。
○ 将来都市像
高齢化・少子化への対策を中心に、誰にとっても公平な資金・サービス援助の面からの社会制度づくりの創出に努めます。また、ハードの整備としては、誰もが自分の力でなんでも出来る、どこにでも行けるまちを目指し、バリアフリーの環境づくりを推進します。
最も大切なこととして、「生きがいを持って生きる」ということが挙げられますが、そのための仕組み・ハードを提供し、子供からお年寄りまで、誰もが生き生きと自分らしい毎日を送れる社会を構築します。
(4) Ecological
○ 現状と課題
土浦市には、霞ケ浦の水資源や宍塚大池をはじめとした緑地、豊かに広がる農村風景など、古くから育まれ、現在まで残されてきた貴重な自然資源が存在しています。また、貝塚やまちかど蔵をはじめとした歴史的町並み、亀城公園などの歴史資源も豊富です。しかし、これらの豊かな環境は、土浦市民をはじめ、近隣都市の住民にとってこれまであまり身近なものとして位置づけられていませんでした。それは、これらの整備・アピール方法に問題があったことが原因と考えられます。

図.2.8 市内の地域資源
また、市内の住宅地環境については、特に並木の不足やブロック塀の普及が目立ち、緑が少ないアメニティ性の低い環境であることが気になります。駅前を中心とした中心市街地も同様で、市全体として、潤いのない、乾いた印象を与えます。
○ 将来都市像
自然環境については、現在あるものを最大限保全し、市民に親しみやすいものとなるような活用を進めていきます。具体的には、霞ケ浦や桜川などの水資源を市民が身近に感じることのできる駅前づくりなどを進めていきます。
市全体としては、これ以上人口を増やすようなことはせず、そのため大規模な自然改変を伴うような開発は行いません。それよりも現在の住民のために、住宅地や市街地において、より快適で潤いのある空間の創造に努めます。そうした環境づくりには、市民が自ら積極的に関わるよう配慮し、「誇りの持てるまち」の構築に直接携わることで、市への愛着の高まりを期待します。
(5) Human Scale
○ 現状と課題
土浦市では日本第2位の湖沼面積を誇る霞ヶ浦(西浦)を有し、古くから帆引き舟によるわかさぎ漁などが盛んに行われていました。現在ではトロール船による漁が主流となり、帆引き船による漁は行われなくなりましたが、観光用として夏には白い帆を張った帆引き船を見ることができます。また、霞ヶ浦周辺には湿地が広がっていたことから、昭和の初期頃かられんこんが作られるようになり、現在では全国有数のれんこんの産地となっています。
しかし、こうした優良な地場産業が、土浦市民の間に本当に親しみをもたれ、あるいは認識されているかというと、そうとは言えない状況にあります。そこで、より市民に地域の産業を理解し、親しみを持ってもらうことのできるように、より積極的なPRをはじめとした、ふれあいの機会をつくる必要があります。
また、歩行者・自転車の移動に関しては、必ずしも安全・快適に移動できる環境が整備されているとはいえない状況にあります。ヒューマンスケールなまちづくりを目指すためにも、歩行者・自転車が安心して移動できるような歩行空間の確保が求められています。
○ 将来都市像
土浦市のわかさぎは、江戸時代に時の将軍に佃煮を献上したことから、公魚という漢字で表されるようになったという由来があり、非常に由緒ある名産品であるといえます。また、土浦市の土地の特徴として、霞ヶ浦周辺に湿地帯が広がっていたことかられんこんの栽培に有利な土地であったということが幸いし、市の主要作物にまで発展しました。こうしたことから、土浦市の地場産業はまさに、地域の風土に根ざした産業となっています。この優良な産業
を、さらに地域の住民にも根ざした産業となるように、市民ひとりひとりがふれあうことができるように、サイクルセンターを利用した積極的なPRを行うと同時に、子供たちに対する社会教育を充実させ、数世代にも渡って伝えられていくような産業を目指します。
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れんこんの生産量(1996年産) 1位 茨城県 23,600t 2位 徳島県 11,900t 3位 愛知県 7,290t |
表.2.1 れんこん生産量
また、コンパクトシティを目指して自転車の利用を促進し、自転車道の整備を積極的に進めます。
5.施策・事業の展開
基本構想のまとめとして、これまで紹介した"まちづくりの理念・将来像"の実現を示す具体的な施策として、「将来都市像」に応じた、5つの柱に沿った基本計画(部門別計画・地区別計画・特別施策)を編成します。

図.2.9 5つの将来都市像