この特別施策では、土浦市のまちづくりのキャラクターである「自転車」を市内外の人に強く印象づけるまちを目指し、自転車の持つ効用を活かした「市民の健康づくり」「豊かな環境づくり」「人にやさしいまちづくり」の実現に向けて、「自転車」を中心としたまちづくりについて紹介します。
土浦市では、自転車の使われ方の違いに着目し、買い物や通勤などの日常的な利用を促す「ライフサイクル事業」と、休日や観光等のレクリエーションや健康増進目的の利用を促す「レクサイクル事業」との2つに分けて施策を行っていきます。
図.5.1 自転車重点整備計画概念図
1.ライフサイクル事業
(1) 駅を中心とした自転車専用道路ネットワーク
土浦市内に存在する4つの駅のある地区を中心として、充分な拡幅のある自転車専用道路を整備し、ネットワーク化します。自転車道は、自動車道と明確に区別をつけることで、自転車にとって走りやすい空間を確保し、よりスピーディに目的を果たした自転車走行を実現します。自転車専用道路と自動車道の間には、植栽を施し、まちに潤いを与える効果も期待できます。
整備は、既存の道路を道幅を変えずに改変する方法をとります。土浦市内の主要な道路タイプに従い、整備方法の例として、以下の図のような2つのパターンを提案します。
@ Pattern A
車道幅が広く、そのため自動車の速度が速いと予測される道路の整備例です。具体的には、土浦駅東口側の霞ケ浦に接する道路がこのタイプにあたります。広い歩道と路側帯を利用して、歩行者と同じレベルへの自転車専用道路を整備します。自転車道と歩行者道は、路面舗装の素材や色を変えることで、明確に区別するほか、余裕のある場合は、歩道と自転車道の間への植樹帯の設置も検討します。
図.5.2 自転車道整備例(Patttern A)
A Pattern B
土浦駅前からモール505に伸びる道など、土浦市内では代表的な道路の整備例です。自動車の制限速度は、およそ40km/hに設定されており、ここでは自転車の走りやすさを重視して、自動車と同じレベルに自転車専用道を設けます。Pattern
Aと同じく、路面舗装の素材・色で区別をつけるほか、余裕のある場合は、車道と自転車道の間への植樹帯の設置も検討します。
図.5.3 自転車道整備例(Pattern B)
(2) 公共交通機関との連携
土浦市内のJR駅及びバス停には、無料の駐輪場を設け、市民の「サイクル&ライド」を推進します。
また、買い物利用などを見込んだ時間帯指定の「自転車持込サービス」を実施します。具体的には、平日の午前10時から午後3時までの間、自転車の電車、バスへの持ち込みを認めます。その際、電車及びバス関係者より「クーポン券」が発行され、それによって、土浦駅前中心市街地での買い物が割り引きとなる制度を設けます。
表.5.1 買い物がお得になるシステム
(3) 市街地における駐輪場の設置
市として優先的に自転車の利用促進を図るため、少なからず自転車台数の増加が考えられます。これに伴い、放置自転車が増えるようなことがあれば、市街地の景観的にも悪く道路環境の悪化につながる恐れがあります。そこで、市街地にも無料
駐輪場を設置し、利用者に対して周辺の商店での買い物がお得になるポイントカードを用意します。これにより放置自転車をなくしていきます。
(4) サイクルセンターの設置
市内の随所には、観光拠点も兼ねたサイクルセンターを設置します。これらサイクルセンターでは、市民が自転車に親しめるような「修理講習会」や「相談」を随時行っていきます。また、故障時のケアなどが自分で簡単にできるよう、修理キットの貸し出しや、専門家の常駐などにより、市民の快適な自転車生活をサポートします。
(6)自転車無料貸し出し制度の実施
つくば市では、先行事例として、無料で貸し出せる自転車として「のりのり自転車」が実施されていますが、市民が不当に私物化したり、乗り捨てが多く見られたり等の問題が起こっています。そこで、土浦市では、自転車を無料貸し出しする条件として、「土浦市内に在住していること」を掲げ、身分証明書の提示を持って、貸し出しに応じるシステムとします。ただし、貸し出し期間を3ヶ月と長く設けることで、十分に市民の足としての役割を果たすものと考えます。また、レンタサイクルとして、経費削減のため、最近問題となっている不法駐輪自転車を活用します。
2.レクサイクル事業
(1)レクサイクリングロード
自転車道の整備に際しては、ライフサイクルゾーンと土浦市の名所をそれぞれつなぐレクサイクリングロードを整備します。土浦市の現状の問題点として既存の資源が活かされておらず、個々のつながりがないという点が挙げられますが、このレクサイクリングロードによってつながりを持たせるとともに、個々の魅力をより高めていきます。また、鎌倉街道などの埋もれてしまっている歴史的資源や、蓮田といった地場産業の産地を通すことによって、土浦市の隠れた魅力を理解してもらうことを期待します。
表.5.3 レクサイクルの拠点
(2)サイクルセンターの設置
ライフサイクル事業にも触れられていることですが、市内の随所に観光拠点を兼ねたサイクルセンターを設置します。ライフサイクル事業では主に市民の生活を対象としたことについて紹介していましたが、ここではレクリエーション利用や観光拠点としての利用について述べます。
まずサイクリングロードを走る上で、長距離を走るとなると当然休憩が必要となります。そこで、ベンチや簡単な飲食ができるような休憩施設を設け、利用者が憩える空間を提供します。また、地域の情報発信源としての役割を持たせるため、土浦市の名所や地場産業、名産、歴史などの紹介を行います。あわせて、お土産屋も設置します。観光客のために、貸し出し自転車のコーナーも設置します。各サイクルセンターの連携を強め、元の場所ではなく、他のサイクルセンターに返却すれば済むシステムとし、だれもが気軽に利用できるようにします。つくばや牛久など、周辺の地域からの利用も想定して、サイクルセンターに駐車場を設置し、パーク&サイクルライドができるようにします。
表.5.4 サイクルセンターの機能
(3)ママチャリ大競争
自転車利用のイメージアップのため、ママチャリで競争を行う「ママチャリ大競争」というイベントを年1回行います。土浦駅前西口の歩行者空間を舞台に、商品である「家族全員ハワイ旅行」をかけ、まちの活性化とともに、家族の団欒を取り戻す絶好のチャンスともなります。また、日頃の練習が勝敗を分ける競技であるため、練習を兼ねた自転車の日常利用を促進するものとなると期待されます。
写真.5.1 代表的なママチャリ
(4)ツール・ド・ツチウラ
自転車のまちとしての土浦市の認知度を全国の自転車愛好家にアピールするために、本格的なステージレース「ツール・ド・ツチウラ」を開催します。期間は約1週間、距離は800km程度を想定します。レース中は公道をシャットアウトし、まちをあげての競技となります。様々なステージを用意し、また長距離なレースであるため、つくば市をはじめとした周辺地域との協力も検討しています。
表.5.5 ステージレースあれこれ