第3章 基本計画
第1節 計画の体系
第2節 景観の整備
景観形成の理念として、以前は「アメニティ」という言葉が使われ、「アメニティ」の中に景観が位置づけられ、「アメニティ」を実現する手段として景観があった。市亜k市「アメニティ」という言葉には様々な意味が含まれ、また「アメニティ」以外にも景観の目標が見出されたため、近年景観形成の目標はただ単に「アメニティ」の実現ではなく、その都市の「美しさ」、「わかりやすさ」、「親しみやすさ」、「個性(アイデンティティ)」などをつくることになってきた。そこで土浦らしさを感じるようなような計画を提案する。
水路の復元による魅力的な街路の形成について
歴史的資産を保存し継承していくことは、その都市や地域のアイデンティティを守ると同時に、そこに住む人々の愛郷精神を育むことにもなる。かつては霞ヶ浦の水が亀城公園を中心に同心円状に堀が張り巡らされていた。現在、土浦市には亀城公園の周りに一部だけが残された形で堀が保存されているが、そのほとんどが主要幹線道路などに覆われ、暗渠化されている。
道路となっている部分の一部開渠化を行う。これに伴い、道路幅員を減少させ一方通行にするなどで、歩行者空間の快適性、安全性の向上を図る。
一方通行化などによる規制により中心市街地内からの通過交通の排除を図る。
第3節 自然環境の保全・整備
@現状の優良な農地および農村風景の保全について
地域の産業であるレンコン農業の促進とともに優良な農地の保全を図る。また、農村の風景を後世に伝える。
A桜川、新川の河岸整備計画について
近年、水辺に求められる機能として、治水、利水等の各機能と並んで、親水という機能が位置づけられている。この言葉は元来は河川計画の立場から提案されたものであり、水辺の持つレクリエーション機能、心理的満足機能、空間機能、防災機能などの機能を併せた機能と位置づけられている。水辺が自然に存在するだけではなく、人間との心理的・精神的な関わりをも含んだ概念である。
今日では、水辺と人が関わり合うことを広く「親水」と呼び、様々な場で用いられる言葉となっている。
桜川、新川の場合を考えたとき、ここはやはり親水河川であるべきではないだろうか。しかも人が集まるような大々的なイベントやモノがあるというのではなく、もっと基本的な河川と触れ合えるかとか、水はきれいですんでいるか、整備は十分なされているかという点が重要である。いかに付近の住民や土浦の人たちに触れ合えているのかということが土浦全体を通じてももっとも大切なっことではないだろうか。
そこで現在存在する桜川・新川堤防沿いの桜並木の保全、及びその場所に人が集まることができる空間の整備。自動車道と分離させた歩行者専用道の整備。この二点を重点的に見直した計画を提案する。
第4節 地域コミュニティの形成
歴史的建造物(特に土浦駅西側、亀城公園付近)の保存により市民が土浦の歴史を知り共有することを目指す。ここでシンボルロードである。シンボルロードとは、中央に公園を持った大通りや、その街の象徴となる道路を言い、特に道路に設置される工作物や街路樹、そして道路に面する建築物のデザインをコントロールすることにより、街の象徴として意図的に演出された道路を言う。
都市景観を形成する際に景観軸を構成することとなり、わかりやすい街や個性ある街を形成するうえで重要な構成要素となっている。
シンボルロードには、駅前からの大通りや商店街のある道路などが対象となることが多い。街路樹が重要な要素となることが多く、その都市の樹木などが植えられることが多い。だが、この地域の歴史的建造物や蔵のような形の商店などを用いた通りを形成し、土浦のシンボルロード的役割を持たせた保全や活用を行っていく。
また、そこを生涯学習の場として開放することで地域コミュニティの育成を図る。
第5節 交通体系の整備
交通体系の整備として、@湖畔道路 A桜川の川岸道路 Bノンステップバス循環ルートを整備する。それぞれ@霞ケ浦を意識した暮らしができる A土浦の東西軸のつながりを重視する B土浦の中心部の交通体系に地域性を持たせることを考慮に入れ土浦市のマスタープランの最も基本的な土台を作り上げることを意識した。
@湖畔道路の建設について
昼間は湖畔の景観を楽しみ夜間は対岸の夜景を楽しめるレクリエーション性を持たせる。また、瀧田地区、上高津地区等のニュータウン計画との兼ね合いも考慮に入れ、新しい交通システムの提案として霞ヶ浦湖畔道路の整備を行う。それに伴い駐車場を併設した湖畔道路沿いの公園の整備を行う。既存の湖畔道路も一応存在するのだが整備の不良が目立つため、あまり利用されていない。ゆえに道路の補修、拡張に重点をおく。
A桜川の河岸道路の建設について
桜川河岸の整備計画を受け、河岸の風景を車窓からも楽しめるものとするとともに、中心市街地へ向かう交通量の一部を分担する。また、つながりの薄い土浦駅東側地区とのパイプラインとしての役割も担う。
Bノンステップバス循環ルートについて
まず、現行のバスルートのことを考慮し、住人の意見を着た結果、現状のバスルートには特に不満は見られなかった。唯一、バスの本数については少ないという意見が非常に多かった。また、利用目的について聞いたところ、通学や通勤、買い物や通院といったものが多かった。現行のバスルートに生活する上での不便というものを感じているわけではないのだが、土浦の歴史や文化、町並みに触れるといったルートがとられているとは言い難い。直接不満が出たわけではないが、生活している老人がバスへの乗り降りが現状では満足行くものではないという点も多々目に付いた。
そこで今後の高齢化社会に対応して、高齢者および障害を持つ人も移動しやすい環境の形成を図る。また、中心市街地内の自動車交通を制限することを受け、市街地内の交通の補完を目的とする。
現行のバス路線も利用されていないとゆうこともなく、交通混雑を引き起こしているわけではない。ゆえに現行のバス路線との競合を避けることを考慮した金沢市のようなバス循環ルートの設定をする。
循環バス金沢市の例
ひととまちを結ぶバス ふらっとバスは小型
なので、金沢の狭く入りくんだ住宅地の道も
無理なく通行できます。
また、「武蔵ヶ辻」や「香林坊」をはじめと
した商店街を走行し買物にとても便利です。
此花ルートでは、一般の車が入れない横安江町商店街を通行します。
第6節 住環境の整備
既存のニュータウン計画の見直しによる住環境の充実
19世紀初頭の英国で、E.ハワードの提唱のもと、都市と田園の長所を取り入れ、低密度で職住がバランスした新都市として、計画的に開発されたのが本来のニュータウンである。
ニュータウン開発においては、基本的に非都市的土地利用の上に、人工的・計画的に新しい都市を開くという性格から、施設配置や街区形成、交通システムなどに様々な試みが行われている。
現在住宅地として整備が進められている地区(瀧田地区、上高津地区等)の住宅の張り付きが芳しくないことを踏まえ、現行の計画の見直しを行う。その原因として、この地区に住む魅力が欠けており、また生活する上での便利さが不十分であるということが考えられる。そこで、昼間は霞ケ浦を、夜間は対岸の夜景を臨むことのできるという点を前面に押し出した住宅地の整備を行う。また不便さについては湖岸道路の整備によって、土浦駅周辺部への交通システムを効率化によって中心部の結びつき、地域性の向上という点においても改善を図る。
第7節 文化・商業・娯楽施設の充実
@土浦駅東側の整備について
市民ホール、ショッピングモール、映画館といった文化、商業、娯楽といった多様な目的を持つ施設の建設により、人の賑わいを生む。また、東側地区を中心とした開発が西側地区への活性化につながることを期待する。
A商店街活性化の方策
ソフトな取り組みとしては消費者ニーズに合った店舗・業種構成への転換、価格設定や営業時間の変更を含めた個店の魅力向上、共同のスタンプ事業、イベント開催等が考えられる。
ハードな取り組みとしては、魅力的な商店街の町並みの形成のために、店舗については改装・建替、ファサードやデザインの統一、看板・広告についてはデザインの規制誘導、街頭デザイン、サイン計画の実施等がある。また、買い物客が便利で安全快適に買い物を楽しめるように、アーケードの設置や歩道の設置・拡幅、歩道舗装の高質化、モール整備等の歩行者空間整備がある。