整凸多面体とは、頂点が全て整数点である凸多面体のことである。 整凸多面体に対し、次数と呼ばれる不変量があり、これは整凸多面体のある意味での"大きさ"を 計った量である。 次数kの整単体を考えると、そのような整単体で"本質的なもの"(lattice pyramid になっていな いもの)は次元が(4k-2)以下であることが知られている。 一方で、整単体はある種の有限アーベル群と1対1に対応することが知られている。 本講演では、(4k-2)次元の次数kの整単体で lattice pyramid になっていないものを、 整単体と1対1に対応する有限アーベル群の言葉を用いた分類について紹介する。 そのような有限アーベル群は二元シンプレックス符号に付随するもののみであることが判明する。 さらに、一般の二元線形符号と(整単体に対応する)有限アーベル群の関係について考察する。
無向グラフGの疎性マトロイドとは,閉路マトロイドの一般化で, 組合せ剛性理論等で現れる基本的な組合せ構造である.本研究で は,疎性マトロイドの多面体がコンパクトに表現できることを証 明する.(岩田覚先生 (東大),加藤直樹先生 (関学大),神山直之 先生 (九大),来嶋秀治先生 (九大) との共同研究.)
Graph grabbing gameとは,頂点に重み(得点)が付いた連結グラフからAliceとBobが 交互にグラフの連結性を保ったまま頂点を取り除き,得点を相手より多く獲得するグ ラフ上のゲームである. 本講演では,このゲームに関する未解決問題や最近得られた結果の証明についても紹 介する予定である.
cd-index は凸多面体の flag の個数を効率的に調べる為にBayerとKlapperに よって導入された多項式である. cd-index は凸多面体だけでなく, 球面と同相 な regular CW-complex や Eulerian poset に対しても定義することが出来, こ れらの flag の個数の研究に非常に有効であることが知られている. 本講演では cd-index に関する基本的な事項を説明した後, cd-index の概念 が球面と同相とは限らない一般の regular CW-complexに拡張できることを紹介 する. この研究は関西大学の柳川浩二教授との共同研究に基づくものである.